幸せな日々

雪野 ゆずり

第1話 それぞれの1番

~ゆずりの思い~

 私の友達がまた、『ま・た』恋人を作った。前の彼氏と別れた時は「もう絶対彼氏なんて作んない!」って豪語してたくせに…。はぁ、また毎日のようにのろけられるんだろうな…。うう、憂鬱だな…。

 まあ、私の五紀にかなう人なんてそう相違ないだろうけどね!

 でも、言われた時はさすがにびっくりした。たしか、高校の研修旅行のホテルで言われたんだよな、丁度二人部屋だったしね。今でも、思い出せるな…。

「ね、ねえ、ゆず、ちょっとご報告がありまして…。」

「え、何?もしかして彼氏出来たの?」

 ちょっと茶化したつもりだったんだよね。だって、『もう高校生の間は男の人と付き合わない!』って私に向かって言ったんだもん。

「え!?な、何で分かったの?」

 うわ、マジか…。それが率直な感想だった。

「ちょ、ゆず、ひかないでよ!」

 身体は正直なもので、体が自然と動いてしまった。

「いや、だって、『もう作んない!』とかなんとか言ってなかった?」

「う、そ、それは…。」

 そこではなびは黙ってしまった。う~ん、なんというか…。

「恋多き乙女だね」

「だ、だって、前から気になってたし、それに、向こうから告白してくるんだもん。」

「こりゃ長続きしないわ~。」

 本気でそう思った。

「失礼な!」

「えー?だってそう思ったんだもん。」

「うわーん、ゆずがいじめるよー!」

 そう言って大笑いしたんだよな~。


 それから学校に戻ると二人はよく学校でお話ししてて、正直「うらやましいな」って思った。五紀は他校だから学校でお話しすることもないし、行事を一緒に過ごすことも出来ないもん。やっぱり、少し寂しいな…。

 五紀にそう言うと、笑ってこう言った。

「確かにな、俺もうらやましいもん。ゆずりの気持ちわかるな。」

「そうだよね!私だけじゃないよね!良かった。」

「でもさ、考えてみれば、こう思えるのは俺たちだけなんだよな。しかも、こう学校で会えない分、その時間を大切に思えるだろ。」

「そっか、そう思うと楽しいかも。」

「だろ?」

 さすが五紀だな。いつも私が落ち込んでたり、悩んでたりすると、考えをポジティブな方向に持って行ってくれるし、元気をくれるもん。

 やっぱり、五紀が一番だな!


~はなびの思い~

 もー、全く!彼氏ができたことだって一瞬でばれたし、その上ひかれるし…。

 ゆずは私の事よく知ってるところもあるけど、それにしたってひきすぎだよ~!ゆずにだって彼氏いるんだから、もっと喜んでくれてもいいのに!

 んま、いっか!それにしても研修旅行のあの夜は色々ドキドキだったな…。


 つ、ついに言わなければいけない時が来てしまった…。ああ、どうしよう、すごい緊張する!

「ね、ねえ、ゆず、ちょっと報告が…。」

 ああもう~、顔が熱いよ~!きっとバレバレなんだろうな…。

「え、何?もしかして彼氏できたの?」

 …え?や、やっぱバレてんじゃーん!あう~…。

「え!?な、何で分かるの?」

 私がそう言うと、ゆずは私から遠ざかった。

 で、出たー!ゆずの引き顔!

「ちょ、ゆず、ひかないでよ!」

「いや、だって、『もう作んない!』とかなんとか言ってなかった?」

「う、そ、それは…。」

 私はなんて言えばいいのか分からなくなって黙ってしまった。

「恋多き乙女だね」

 ゆずの言葉にとっさに答えが出てきた。

「だ、だって、前から気になってたし、それに、向こうから告白してくるんだもん。」

「こりゃ長続きしないわ~。」

 う…ゆずめぇぇ

「失礼な!」

「えー?だってそう思ったんだもん。」

「うわーん、ゆずがいじめるよー!」

 そう言って大笑いしたな~。


 それから学校に戻っても私と柳(あ、私のかれしで~す!)はずっとホクホクして仲良しなのでした~!でもね、『うらやましい』って周りから言われるの。でも、ちゃんとけんかだってするんだよ!まあ、けんかしても、柳が自分から謝ってくれるから、そういうところも大好きなんだ!

 っていうか、ゆずだってたまに彼氏といるところ見るけど、私、フツーにうらやましいんですけど!

「柳ー、私達さ周りからうらやましがられるけど、どういうこと?」

「俺もなんだよなぁ…。まあ、はなびは可愛いからな!俺の一番の彼女だし!」

「もー!何よー!」

「だって、俺の彼女だろ?自慢の!」

「そんな大きい声で言わないでよ!恥ずかしい///。」

「柳のせいでしょ!」

「あはは、ごめんごめん!」

「ムカつく!その笑顔!」

「うわ、ひっで!…大好きだよ、はなび。」

「な…///」

「ほら、帰るぞ。」

「はーい!」

 こんな幸せがいつまでも続きますように!

 もちろん、ゆずたちの幸せも願ってるよ!

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