第1032話 『交響曲第3番ニ短調』 ブルックナー


 ここんとこ、ブルックナー先生が連発してない?


 と言えば、ま、そうなんです。


 やましんは、ブルックナー先生のファンとは、申せません。


 かといって、拒否する気持ちもありません。


 辞書的なことは、基本的にそちらに譲りますが、ブルックナー先生の場合、改訂魔だったのか、お弟子さんのせいなのか、同じ題名でも、中身が同じではない場合がかなりあります。


 こちら、交響曲第3番は、そのなかでも、かなりややこしい感じです。


 先ほど聴いたのは、インバル先生指揮の、1872/73年第1稿で、こちらの全曲録音は、徹底して原典にこだわった録音として知られます。


 一方、いま、鳴っておりますのは、スクロヴァチェフスキ先生指揮の全曲録音で、ケースには、1887/89年稿としてあります。


 とはいえ、第1楽章など、演奏時間がかなり減っているというような見た目以外は、やはり、スコアがないとわかりませんし、あっても、たぶん、やましんでは、解らないぞ。


 ただし、第1稿より、安定して聴きやすい、のかしら、とは、思います。


 第1稿には、かなり、強烈で、むきなところが見られるような。


 しかし、ブルックナーファンのかたには、ほってはおけない問題であるとは、思います。


 また、なんだか、楽しそうだし。


 ときに、この交響曲は、ワーグナー先生に捧げられたとされ、1873年、ブルックナー先生、バイロイトに赴きまして、直々に、憧れのワーグナー先生に面会して、見てほしいと、申し入れたそうな。


 ワーグナー先生、非常に忙しくて、いったん断ったようですが、ブルックナー先生、あとに引かず、折れたワーグナー先生は、第2番とまだ未完成の第3番を見てくれて、それなりに、高く評価したらしいです。


 それで、ブルックナー先生、有頂天になり、お酒飲みすぎて、帰ってから、献呈することになったのが、どっちだったかわからなくなった。


 で、簡単な確認のお手紙を書いたんだと。


 原文とか見てないし、見ても、解らないぞ、ですが『献呈させていただくのは、トランペットで始まるほうでしたか。。。』


 ワーグナー先生は、『そうです、そうです。』とか、ちゃんと返事をなさったようです。

 

 ワーグナー先生、偉い!


 ただ、後日、笑い話のねたにした、とかなのですが、ワーグナー先生に、はなしのねたに、してもらえるなんて、そうありますまい。


 で、この交響曲の第1稿を聞いてみると、なるほど、ワーグナー先生の作品の一節をもじった部分がありまして、これは、しろとにもわかります。(ワーグナー先生の音楽をいくらか聞いている必要は、ありますね。)


 で、ときに、『ワーグナー』交響曲と呼ばれたりします。


 ブルックナー先生は、やましんと、ちょっと似てるところがあったかもしれないのは、自分に対する自信がなかなか持てない人だったようです。


 似てないのは、じつは、誰よりも音楽理論も、技法も知り尽くしていて、ブルックナー先生に、音楽に関する知識で歯が立つ人なんて、(ブラームスさんとか、ワーグナーさんとか、そこらあたりは別として、)ほんとは、ほとんどいなかった。という、ところですか。


 この交響曲、第1稿にしても、改訂したバージョンにしても、早い話し、当時のかなりの人には、理解を絶していたらしく、初演を予定していた指揮者さまにも、ウィーン・フィルにも拒否されてしまい、ワーグナー先生の引用なども含め、大分けずったりして、やっとこさ、1877年、ウィーン・フィルで初演はしたものの、指揮は予定していたかたが、こんどは直前に亡くなり、やむなく、自分でやったらしいですが、うまくゆかなかったようです。(詳しくは『クラシック名曲 初演&初録音事典』平林直哉さま著、を、お読みください。すっごくためになる素晴らしいご本です。)


 というわけですが、たしかに、ご本人の、第4番以降の交響曲には、まだ、及ばないけど、立派な作品です。


 ブルックナーファンではないかたにも、むしろ、聴きやすいかも。


 ちょっとまとめると。


 第1稿……1872.73年。


 第2稿……1876.77年。


 第3稿……1888.89年。

 

 あれ、だと、スクロヴァチェフスキさまのCDに印刷している、1887年てのは、なに?

 印刷ミスかい?


 ブルックナー先生は、やはり、謎だらけだあ。



◇◇◇◇◇◇◇◇ うつ  🍺🍺  うつ ◇◇◇◇◇◇◇




 

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