第931話 『ヴァイオリン・ソナタホ短調』 アリャビエフ


 アリャビエフ先生(1787~1851)は、歌曲『ナイチンゲール』がたいへん、有名ですが、かなり大量の作品があるわりに、あまり、聞く機会はない感じです。


 人生の前半は、軍人さんだったようです。


 当時は、出版されたこともほとんどなく、『ナイチンゲール』以外は、忘れられた存在になっていたようですが、作品の主力は、室内楽、器楽曲だったようで、20世紀も半ばくらいになり、ようやく、楽譜の出版などもなされたりして、再認識されてきたという状態なんだとか。



 いま、聴いていたのは、かつて、メロディアから出ていたCDです。(MCD 184)


 ソロは、Ambarpumyanさま(読めない。ごめんなさい)。


 録音は、1986年となっております。


 グリンカ先生の『弦楽四重奏曲ヘ長調』などと、いっしょに入っております。


 このソナタ、3楽章形式で、モーツァルトさまから、ベートーベンさま、シューベルトさまあたりの時代の、古典派から、初期ロマン派あたりにかけての音楽の流れの上にありまして、第1楽章は、まず、たいへんに、きっちりと整理された、いくぶん緊張感がある、良い音楽です。


 作曲は、独学だっようですが、たいした手腕だったような。(ただ、CDには、Dobrokhotova さまによる校訂バージョンとあります。)


 第2楽章が、なかなかの、じゅわじゅわです。これは、良いです。


 モーツァルトさまと、シューベルトさまの間を行くような感じですが、古典的な範からは、外れない。


 『ナイチンゲール』のような、ロシア的な雰囲気は、まったく感じられません。


 第3楽章は、いい感じの、ロンドです。


 アリャビエフ先生は、賭博がらみの殺人容疑で、シベリア送りになっていましたが、最終的には、許されて、モスクワに戻ったあと、亡くなったようです。


 シベリアでも、作曲はしていたようです。


 ただし、政治的な、冤罪だったのではないかとの見方もあるんだそうです。


 なお、近く、三枚組のCDが出るようですが、そこに入ってるヴァイオリン・ソナタホ短調は、いま、聴いてたものと、同じ演奏者のお名前になっているようでした。


 『ナイチンゲール』のイメージとは、まったく違うのが、むしろ、興味深いし、なんだか、新鮮な感じもしました。


 まだ、民族主義の流れが進行する前です。




・・・・・・・・・・ うつ 🐥 うつ ・・・・・・・・・・


 



 



 

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