第765話 『さすらいびと幻想曲 D760』 シューベルト

 魔法の音楽。


 ほんとの名前は『幻想曲ハ長調』


 4楽章形式なので、『ピアノ・ソナタ』としてもおかしくはないけれど、やっぱりベートーベン先生を尊敬していたシューベルト先生には、ちょっと、引っ掛かるところはあったのかな。


 1822年に、出版されたとのこと。


 もちろん、べー先生も、まだ、ご健在活躍中。


 ハ長調の誉れ高い音楽から始まるけれど、一種の、ダーク・ファンタジーみたいなところがありまして、かなり、危ないところがある作品なので、昔から、やましんは、あまり、近寄らないのです。


 冒頭部分からして、たしかにハ長調の主和音から始まるとはいえ、二オクターブ以上にわたり、びっしり音が詰まっています。


 これ、手の小さいやましんには、ちょっと届かないな。


 まあ、そもそも、ピアノは弾けませんが。


 第2楽章には、歌曲『さすらいびと』の主題による、悲哀に満ちた、かなり危ない変奏曲。


 短調と長調をいったりきたりするのは、シューベルト先生の得意技ですが、いつもにまして、細かい音が使われていて、しかも、なかなか、豪快な響きも要求してくる。


 そうですね、まあ、舞台悲劇みたいかしら。


 と、おもっていたら、プレストの第3楽章に突入。


 第1楽章の主題そのものの、変奏曲みたいですが、これがまた、見た目は華やかなのに、なんだか、こわあ〰️〰️い、森のトンネルに入ったりもします。


 でも、ふたたび、元気になって、フーガが始まる。


 全体的に、上がったり下がったりが激しい作品ですが、もう、思いっきり跳びはねます。


 シューベルト先生自身が、上手く、弾ききれなかったくらい、演奏が難しい作品、という伝説が伝わりますが、その真偽はわからないけれど、あまり、表だってヴィルトゥオーゾ的にはならないシューベルト先生にしては、ピアノの技巧フル回転で最後に至りまして、ちょと、ベートーベン先生風なポーズを決めながら、カッコよく終わります。


 ピアニストさまには、舞台受けする作品に違いありません。


 なので、人気の高い傑作ですが、やましんには、なぜだか、怖い作品なんです。

 

 なにか、覚えてはいないけど、そこにつながる、恐るべき現象が、過去にあったのか。


 まだのかたは、是非とも体験してみてください。


 あ、ついでに、歌曲のほうも、ぜひ、どうぞ。




・・・・・・・・・うつ   👻 👻  👻  うつ・・・・・・・・

 

 


 

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