第635話 『ヴァイオリン・ソナタイ短調 JS177』 シベリウス

 これは、以前はほとんど知られていなかった

若い時期の作品。


 1884年の作品です。


 まだ、学生時代の作品で、シベリウス先生の個性が発揮されている訳ではないし、とくに、特徴もない、と、されます。


 まあ、たしかに。


 しかし、これ、やましんの立場から言いますと、なかなか、じゅわじゅわな音楽で、結構、癒し度があるのです。(個人差あります。)


 第1楽章、いきなりの主題。


 いいじゃないですかあ。


 とっても、シンプルイズベスト。


 じーん、と来る、懐かしさがたまりません。


 たしかに、昔の色かもしれませんね。


 最近は、ばんばん、リズムが叫んでいないと、あまり、受けないようです。


 とくに、第2楽章。アンダンティーノ。


 泣きそうになります。


 短いですが、私は、こうした音楽は、たいそう、好きであります。


 メヌエットを通って、最後、ロンドプレスト。


 良いです。


 確かに、まだ、完成された世界ではないかもしれませんが、この時期のシベリウス先生は、こう考えて、こう、書いたのです。


 それは、とても大切なことです。


 シベリウス先生は、後日、こうした習作期の作品が世に出て、自分の評価に傷がつくことを、恐れていたようです。


 そこで、こうした作品は、隠してしまい、公表を禁じた。


 でも、破棄はしていなかったわけです。


 不完全な作品は、残したくない。


 それは、プロのかたならば、そう、考えるのは、不思議ではないでしょう。

 

 しかし、時代は変わります。


 日本の社会も、基本、結果主義、数字主義で、最後のデータだけが、評価されるわけですが、モーツァルト先生のような、早熟な天才もあれば、ゆっくり、時間をかけて成熟する、しべ先生的発展もあるわけです。


 その、過程をいくらかでも、知ることは、遅咲きの人の励みにもなるだろう。


 と、勝手な理屈をこねております。


 実際のところ、ベルリン、ウィーン留学後に、プロになったしべ先生の作品は、それ以前と以降では、別の大陸にあるようなくらいの、溝が感じられるのです。


 しかし、同じ人ですから、完全にある日、突然、断絶したとは、なかなか、考えにくいですが、現実的には、『クレルヴォ』以前(ベルグルンドさまのレコードが出るまでは、『エン・サガ』以前……)は、ほとんど、具体的な情報がありませんでした。


 20世紀末になり、ご遺族から、それ以前の若い時代の作品が、まとめて研究に供されることになりました。


 さらに、一般にも、公開されるところと、なったわけです。


 私が、まだ、生きてる内にそうなったのは、感謝に絶えません。


 すると、じっさい、なかなか、良い音楽が聞けることにもなり、大変に、楽しいです。


 切って捨てる手法もありますが、丁寧に拾う手法も、だから、まったく、わるくないです。


 そうすると、2曲の、ヴァイオリン・ソナタだけからでも、デビュー後の音楽につながる流れが、少しですが、浮き上がるのです。


 あ、もちろん、悪口ではないですから。

 



 あらら、睡眠薬が効いてきましたあ。


 いやあ、もわもわかんが、たまりません。


 上野公園の石段がならんでますな。

                   

 京成の古い地下ホームが良かったなあ。 


 あはあ、楽しかった。


 美味しい焼きそばを、やきましょう。



・・・・・・・うつ   🌸🌸 🌸   うつ・・・・・



  電車が来るのです。


 さくらは、電車に乗れない。


 あへら、のってるじゃん。


 

 よい、音楽はたのしいですね。

 


  🌸  🌸  🌸  🌸  🌸



*恐れ入ります。かなりお薬が効いていたらしく、お仕舞いのあたりは、いったい、なにを書いたのか、本人も困惑ですが、おそらく、昭和30年代の、上野や秋葉原界隈の想い出が、フラッシュバックしたのかもしれません。


 睡眠薬は、すっごく効く日と、あまり効かない日があるようです。


 私は、あの、こい茶色の、身体中が鋲だらけの戦車みたいな電車を、上から見る様子が大好きでした。


 

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