第583話 『ヴォカリ-ズ 作品34の14』 ラフマニノフ
大指揮者(名物指揮者・怪人指揮者でもあった?)ゴロワーノフ氏の奥様でありました、アントニーナ・ネジダーノヴァさまのために、1912年に作曲された作品(1915年に改訂)とのことなのですが、さまざまな楽器、さまざまな編曲で聞かれるので、なにが本物かわからないくらいですが、題名から考えても声楽曲であるうう。とは、想像がつくところで、本来は、ソプラノとピアノのための作品です。
ともあれ、ラフマ先生の作品中、『ピアノ協奏曲第2番』と並んで、誰でも知ってる、と、言ってよいのではないかしら、と思う位の有名な音楽。
そうして、夜の癒しには、(まあ、昼でもいいのですが)欠かせないと言えるくらい名高い作品であります。
ヴォカリーズ(歌詞を持たないお歌のこと)作品としては、ヴィラ・ロボスさまの『ブラジル風バッハ』の第5番と並ぶ、両横綱格の作品です。
この、ふたつ、の、作品、なんだか、とても、親近性があるように、思います。
かたや、ロシア、かたや、ブラジルです。
ま、これは、摩訶不思議な、旋律ですね。
そもそも、これは、ロシア的な息吹が感じられる、旋律なのでありましょうか。
ラフマ先生は、チャイコフスキー先生を尊敬していた方で、国民楽派ではなく、西欧派の流れの方でありますから、さして、ロシア風じゃなくて、不思議はないのですが、といって、じゃ、これは、どこ風?
と、いえば、どうも、どこ風とは、言いにくいような。
一方、ピアノ協奏曲第2番あたりには、ロシア風なところもあり、さらに、演奏の仕方によると、ハリウッド風にも聞こえる、きわどいところがあります。
やましん、ラフマニノフ先生は、苦手意識がある作曲家さまですが、それは、なにが、原因かといえば、よく、わからないのです。
つまり、よくわからない、ところが、ある作曲家さまな、わけです。(あんたの言ってるほうが、よくわからないぞ。………はい。すみません。はい。……)
さて、この作品、本来、ソプラノ、または、テナー、でもOK、と書かれていたんだそうでありますが、やましん、テナーで歌われたのは、聞いたことがない。
ただし、カウンター・テナーによる録音はあります。
やましんの手元で、直ぐ出て来たのは、ブライアン・アサワさまによる演奏。
日系のアメリカ人で、たいへんな名人でしたが、なんと、2016年に、50歳で亡くなってしまったようです。
バックは、ネヴィル・マリナーさまの指揮による、管弦楽伴奏になっております。
このCDには、ヴィラ・ロボスさまの、上記の曲も入ってます。
もともと、歌詞がないので、ロシア歌曲とはいえ、ロシア語はわからなくてOK。
一方、本家、ソプラノとピアノによる演奏で、やましんが聴いているのは、ガリーナ・ヴィシネフスカヤさまと、ロストロポーヴィチさまによる録音。
もちろん、ロストロポーヴィチさまは、20世紀後半最高のチェロの名手ですが、ピアノも名人。(一回だけ、実演を聞いたことあります。チェロで。ですが。)
ご夫婦による、幸せな録音。
うらやましい限りですな。
たしかに、やましんの周囲でも、音楽家さまは音楽家さまと、ご結婚をなさいます場合が多いようです。
もちろん、そうじゃない方も、ありましたが。
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