第504話 『みかんの花咲くおか』 海沼 實

 詞は加藤省吾さま。


 一般的には、童謡唱歌の範疇に入れられるようですが、戦後、まもなく、書かれた、童謡と、歌謡曲と、歌曲の輪がひとつになっているあたりに存在する、つまり、日本語歌曲の傑作のひとつ。


 やましんにとって、『とんがり帽子』(鐘の鳴る丘の主題歌)や、『リンゴのうた』、『長崎の鐘』あたりは、ちょっと、お兄様お姉さまの領域でしたが、それでも、まだ新しい、テレビといふ、不思議な機械から、しょっちゅう聞こえていたんだと思います。


 つまり、知らない間に、知っていたお歌のなかまです。


 なにか、尋常ではない、やましんには、すぐ、ないけど、確かにある、たいへん、重たい世界でした。


 そこゆくと、この、『みかんの花咲く丘』は、もう少し、近かったです。


 それは、両親が、瀬戸内の生まれだったからというのが、大きい。


 ただ、この、お歌の場所は、伊豆半島で、やましんが育ったとこからは、むしろ、すぐそこでありました。


 もちろん、ここには、戦争の陰があるのですが、わりと、すらっと、歌ってしまいます。


 悲しくはない、こともない、けど。明るい希望の歌です。


 さて、いま、人生にゆきずまって、寝てばかりのやましん。

 

 お布団に、ころがってるばかりで、どする?


 ああ、コロナさまが収まれば、海に行きたいな。


 ミカン畑を、歩きたいな。


 きさま、まだ。いきはじ、さらしてるのか?


 そうなのです。


 でも、ちがうんです。


 なにかを、・・・・蝶々が、枝のさきにとまり、何かが起こるのを、確かめたい。


 そこに、あるのですよ。


 そこだあ!   🍊  🍑



 ・・・・・・うつ  🍊 🍊 🍊 うつ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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