第435話 『フルート協奏曲』その2 《第1楽章》 尾高 尚忠
さて、参考にいたします楽譜は、ムラマツさまから出された、ピアノ伴奏用楽譜で、フルオーケストラ用のバージョンから、ご長男さまが編曲なさったもの。(1973年)
《アレグロ・コン・スピリト》で、シャープが三つ、四分の三拍子。
まず、あたまから、オケ(ピアノ)が、どかん! ときますが、四分休符一個置いて、すぐに、ソロ・フルートが入ります。
この、冒頭の音!
一番高い、Gisの音です。(ソのシャープ)。
フォルテなのが、まだいささか安心感はあるとしても、しろとには、たいがい、大変出しにくい音のひとつ。(ひとつしたの、Fisも出しにくい。)
やましんがやると、相当に、しっかり、音出ししてからでないと、切り裂きジャックに襲われたよな、悲鳴になります。
ストレスが溜まっていたりすると、なおさらです。
くちびるが、悲痛なうめき声と共に、ぶるぶると震えちゃいます。
これが、天に上るような音で、す~~っと出ないとうまくありません。
二分音符で、二小節目の冒頭の八分音符にタイでつながります。
そのあと、きりもみ状態で、下のミのシャープ(つまり、実音ファ)まで降りたと思ったら、すぐに一番上のAの音(ラですね)まで駆け上がります。
最後は、クレッシェンドして、フォルテふたつ。
伴奏が、その音型を模倣したら、こんどは、Fis の音から、同じように、駆け下りて、駆け上がりますが、Gはナチュラルになって、最後、高いH(シ)まで行きまして、すこし形を変えて、分割された音型になり、さらに四分の二拍子になって、繰り返し音型を、しつっこく吹きます。
ここまでが、まずひとくぎりで、第1主題の提示部でありましょう。
明るく、楽しく、のびやかな、まことに良い音楽なのですが、これが、なかなか演奏は簡単じゃないです。
簡単に言えば、ちょっと、いや、かなり、吹きにくい。
必ずしも、フルート的じゃない。
まあ、そこは、アマチュアを対象に考えていない曲ですから、あたりまえなのですが。
難しいことを、簡単にやってしまえないと、よろしくありません。
やましんには、なかなか、すっごく、難しい。
もう、かなり昔ですが、現在、日本を代表する、ある、名女性フルーティストさまが、まだ高校生だった時代に、同じ演奏会のステージで、この第1楽章を、さらっと吹いてしまったのは、びっくしでしたが、その後反省会で、ワッフルをやましんのおとなりで食べている姿などは、ごく普通の女子高生で、その演奏は、まったく想像ができないのですが、才能とは、恐ろしいものです。
サイン、もらっときゃ、良かったかなあ。
しかし、ごくふつうの、名もなきおじさまが、こいつを、なんとかして、演奏してやろうなんてするなんてのも、なかなか、おつなものじゃあ、ございませんか。
⛵ ⛵ ⛵
聞かされる方は、きっと、ひやひやでしょうけれども。(つまり、数年内に、ステージで、無謀にも、やる気があるということ。先生に止められるかも? もっとも、この日曜日には、発表会する予定があるのですが、現在うつ状態中で、かなりあぶない。こんかいは、シューマン先生その他。)
さて、そのあと、やや展開部ぎみに、音楽を発展させた後(たいへん難しい。)、がらっと雰囲気の違う、まあ、すばらしい、美しい、旋律が現れます。
これが、二つ目の主題であります。
これを聞かずして、人生、いったい、どうするのでしょうか。
天下の名旋律で、ありますぞ。
ここだけなら、わりと、吹きやすい。
でも、そのあと、超難しい、さらに、吹きにくい、展開部がやってきます。
ここは、じっくりさらわないと、すぐには、とうてい、吹けないです。(じっくりやっても、もだめかも。)
再現部は、管弦楽(ピアノさん)が、まず主導権をいただき、そのあと、ソロが受け継ぎます。
第2主題の再現部は、♭が五つになります。
ぷろのかたは、臨時記号がいくつあろうが、びくともしませんが、しろとは、そう、簡単には行きません。
最近、目が見えにくいこともあり、細かい記号は、勘弁してほしいな。
でも、容赦なし。
トゥリラー(おとをぐるぐる回すんですね)と、細かい音の連鎖を頻発させつつ、フィナーレに突入いたします。
指が、からまり、もつれます。
聞く方に関しては、なかなか、じゅわじゅわ度が高く、癒し効果のある音楽(個人差あります。)です。
もう一回申しますが、生きてるうちに、聞かなきゃ損、かもですので。
しかし、しかし、第2楽章が、また、すばらしい音楽であります。
第2楽章につづく***************
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