第409話 『展覧会の絵』 ムソルグスキー/ラヴェル
不思議が池の幸子さん(以下幸子さん)
『やましんさん、こんな、すごい曲、ほってたの?』
やましん
『いやあ、そうかなあ。かいたきもあるところがある。でも、ま、この曲、ちょっと、個人的に、トラウマ音楽のひとつなんです。』
幸子さん
『あらま? なんで?』
やましん
『いやあ、高校生時代、やましんの高校は、楽器も、戦後まもなくみたいな楽器しかなく、ティンパニさえなく、フルートも、まあ、よく、音が出るな❗クラスのぺらぺらキーで、フレンチホルンは二本しかなく、あとは、ぼこぼこのメロフォンだったり、とても、こんな曲は出来なかったんですよお。』
幸子さん
『ま、へたくそ、楽団だったんだ。』
やましん
『ま、そうです。だから、これやれる、金持ち学校は、うらやましかった。きんきらの楽器がいっぱい並んで、みたことない、チューブが出てくるわ、かっこいいわ。』
幸子さん
『なんか、やましんさんの、人生、そのものですね。ゆびくわえて、見てるだけ。』
やましん
『ま、そうです。そうです。それが、役割なんです。』
幸子さん
『はあ………ま、たしかに、豪華な音楽ですよね。』
やましん
『ま、これは、ラヴェル先生の力も大きい。もちろん、ラヴェル先生以外の編曲もありますよ。あの、ストコフスキ先生も、独自のバージョンを作ってます。聞きなれてるせいもあって、ラヴェル先生バージョンが、聴きやすいけどね。』
幸子さん
『池の女神さまのかなでも、クラシック通の幸子が言うのもなんですけど、かなり、これ、怪しい音楽ですよね。リズムも、最初から、均等じゃないし。』
やましん
『おかしな、リズムですね。でも、民衆の音楽は、こうなんだ、と、あえて、主張しているわけですよ。これが、ロシアの生きた音楽だ、と。ラヴェル先生も、それに惹かれたんじゃないですか?』
幸子さん
『なるほどですが、女神さま、みんな、いっしょには、なかなか、踊れないなあ。あし、踏みそう。』
やましん
『こういう、二拍子と三拍子がくっついたようなリズムは、例えば、シベリウス先生の『クレルヴォ』にも、でてきます。ちょっと雰囲気は違いますが。』
幸子さん
『あまり、幸子みたいに、美しいかんじでもない。『牛車』なんかも、どろどろ。』
やましん
『そこが、よいわけです。洗練されてない音楽です。ラヴェル先生も、そこに、注目して、どろどろ、じわじわ、ぎしぎし、編曲してる。』
幸子さん
『怪物も出ますね。』
やましん
『ま、幸子さんも、神様と化け物のあいのこですが。』
幸子さん
『ぶ! 幸子は、女王さまによって女神さまに任じられた、由緒正しい、幽霊ですよ。』
やましん
『失礼いたしました。カタコンベの雰囲気は、たしかに、不気味ですが、幽霊さんが出る訳じゃない。でも、魔女のおうち、の音楽は、スッゴい!
それが、最後の『キエフの大門』になだれ込むあまりは、壮大ですね。』
さち子さん
『でも、これ、ちょっと、さみしいところがある。』
やましん
『ですね。これが、すごく、良い。やましんも、この、沈み込み度が好きです。ムソルグスキー先生は、ほんと、個性のかたまり、ですね。公務員としては、出席、いや、出世できず、最後はお酒🍶に溺れたらしいですが、本人は、相当、苦しかったんだろうなあ。ひとは、なんだかんだ言いますが、苦しいのは本人だけだもの。』
幸子さん
『ま、おまんじゅう食べて、寝ちゃいなさい。はい、おしまい。』
・・・・・・うつ 🐔 🐔🐔 うつ・・・・・・・・・・・・・
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