第401話 『ピアノソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》』 その4 ベートーヴェン
さて、第3楽章です。
手元の、若き日のアシュケナージさまのCDでは、18分3秒かかります。
この、あたかも奈落の底で聴くような、深々とした音楽は、そう簡単に人を近づけさせない雰囲気さえ漂わせるのです。
まあ、あるいみ、クラシック嫌いな方を、ますます嫌いにさせ、逆に、なんだか、俺は特別なんだあ、とかいう意味もない優越気分を、マックスに持っていきそうな、よくない効果を引き起こす可能性がある、つまり、おっそろしく、長い、楽章であります。
というより、こんなもの、おっとりと聴いてられるのは、仕事もゆかずに、遊んでるあんたくらいだろ。
と、いわれるかもしれません。
ただ、これは、簡単に反論ができるものでありまして、世界中に広がる名高いピアニストさんの録音や、楽譜や、論文などが、なぜあるの?
1819年に完成以来、200年間、おおくの人類の(すべてじゃないだろうけど。)お宝だったのは、なぜ?
という、ことです。
そこで、心を鎮めて、(え、やましん、いま、カップそばを作成しておりますが・・・できあがりました。)楽譜を眺めてみれば、八分の六拍子。シャープが3つ。《アダージョ・ソステヌート》。
最初の二つの音(はば、二オクターブにわたる、AとCis)は、完成してしばらくたってから、付け加えるように、ベー先生が指示したものらしいです。
これは、そもそも、なにか?
といわれて、ことばで、完璧に述べられたら、やましんなんか、やってないでしょう。
ことばにならないから、音楽なんだ、という回答は、正しいでしょうけれど、ベー先生の場合は、ちょっと、それでは悲しいかも。
ただ、こいつは、第1楽章冒頭の、Bの音(し♭)とは、たぶん、ちょと意味が違うのではないか。
そうだなあ・・・この当時は、まだ宇宙の誕生について、ビッグバンだとか、インフレーションだとか、宇宙背景放射とか、宇宙の晴れ上がり、とか、宇宙は実は沢山出来たのかも・・・、とか、科学的に、言われていたわけでもなく、なんですが、なんとなく、そうした、ものを冒頭から匂わせている感じはするのです。
かんじですよ、かんじ。
シベ先生が(シベリウス先生です)《タピオラ》を書いたころは、ずいぶん科学も発展していたでしょうけれど。
だから、《タピオラ》の『H』の音は、宇宙最初の元素、水素の『H』、と、関連させていた可能性だってありますが、さて、ベー先生の場合は、どうなのか?
わからないです。
ただ、なんとなく、どこか、共通する、ものを、感じてしまうので、あります。
つまり、ものすごく、宇宙的なイメージを抱かせることは、間違いがないのです。
ただ、長いから、ではありません。
この、音の使い方が、尋常ではないように思います。
ベー先生が、宇宙についての考察を、音楽的に繰り広げた、その可能性は、ありそうですよね。
もちろん、ベー先生が、宇宙人と接触していたとか、珍説を言うつもりはございませんが、まあ、いめーじとしては、そういう強烈なものがあるのです。
さらに、最終楽章につながる、ラルゴの部分は、どきっとさせられますが、また、なにか、いったん、突如、秩序がぶっこわれたような気にもなり、なおさら尋常ではない。
ここも、かなり、なぞ。
もしかしたら、宗教的な意図があったかもしれないけど、ベー先生は、あまり特定の神様を、必要以上に、志向しない気はしますが・・・。
ここらあたりは、やましんごときには、深入りは、無理。
やがて、ときはなたれたように、最終楽章の、フーガがぶっとぶのです。
つづく・・・
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