第302話 『サムソンとデリラ』 サン=サーンス

 サン=サン先生は、歌劇を『13』書いたらしいですが、良く今でも上演されるのは、これだけのようです。


 あ、『レアオン』で、『歌劇 黄色い女王』のことを書きましたが、そちらは、日本が絡んでいる作品であります。


 『序曲』が、なかなか楽しい、良い曲なので、チャンスがあれば、『序曲』だけでも、是非どうぞ。


 それは、余談ですが、『サムソンとデリラ』は、旧約聖書の、『土師記』が、お話の出どころで、1868年から作曲が始まりましたが、全曲の初演は、1877年、ドイツ、ワイマールにて。


 フランスでの部分的な上演が、みな不評であったけれど、一方、フランツ・リスト先生が興味を持ち、ドイツ語での上演が可能になったようです。


 それでも、母国フランスでは、なかなか受け入れてもらえず、やっと成功を収めたのは、1892年だったようであります。


 それからは、人気作として定着していったようです。


 このオペラは、愛憎渦巻く、かなりややこしい筋で、旧約聖書が出どころという事でもあり、そこらあたりが、けっこう、スペクタクルとか、娯楽では済みにくかったのかもしれないです。


 最後は、サムソンの神的な怪力で、柱が壊され、その場所(寺院)自体が崩壊して終わります。


 その場すべてが、『崩壊』、『壊滅』、みたいな状況になります。



 しかし、ここは『うつうつ』であります。


 やましんは、崩壊済みです。


 サン=サン先生らしい、魅力的な音楽が展開されますが、特に、癒し効果が高いのは、第2幕の二重唱『あなたの声に私の心も開く』でありましょう。


 ここにたどり着くまでに、ちょっと、断片的に、匂わせたりもしています。


 用意周到。


 これは、映像で見ると、癒しと言うよりは、挑発、誘惑以外のなにものでもありません。


 ま、実際、そうなわけですが。


 偽りが、恋を生み出します。


 しかし、二人の背後には、個人を越えた、お互いの憎みあう種族(ヘブライ人と、ペリシテ人)があります。


 舞台は、パレスチナ、ガザ地区。


 実際の、ペリシテ人とは、どちらの人びとなのか?


 地中海方面から来たらしい、クレタ島なのではないか、………でも、このあたりの背景は、たいへん複雑で、難しいようですので、どうやら、やましんのてにはおえず、退散させていただきます。✨😌✨


 で、さらに、有名なのが、第3幕の第2場の『バッカナール』です。


 ペリシテ人の崇拝する、ダゴンの寺院内で踊られる、たいへんに、エキゾチックな音楽。


 サン=サン先生、お得意の音楽。


 フランス歌劇には、バレーがだいたい、もれなく、付いてきます。


 このあと、力を奪われていた、捕らわれの、サムソンがあらわれ、ペリシテ人から嘲笑されるなか、神に祈り、力を取り戻し、寺院の柱を破壊し、みな、生き埋めとなります。


 この、ペリシテ人のおもちゃにされる場面の音楽が、いかにも、いじめの音楽なのだ!


 それを、フーガ的に聴かせる。


 サン=サン先生、おそるべし!


 旧約聖書の方には、そのあと、サムソンが葬られた記事があります。


 やましんごときには、理解しにくい、かなり怖いストレートなお話しでありますが、その背後にあるものを見透かすような力はございません。


 この、オペラ自体は、ロマン的に飾られてはいますが、お話し自体は、原典にそったものです。


 なお、古事記も、かなり、ストレートに残酷なところがあるような。


 古代は、怖かった?


 あ、余談ですが、今回DVDを掛けながら思いました。


 オペラのライブは、楽しいけど、聞くだけなら、足音などがうるさいな。


 CDで、やましんは、十分かな。


 でも、最後、柱が倒れる場面は、やはり、DVDが面白い。


 やましんが見たDVDでは、サムソンが柱を倒す前に、ちょっと、ほかの人が当たって、ちらっ、と揺らめいたり!


 ま、こうしたくらいは、些細なことです。


 オペラの舞台で起こった珍事は数知れず。


 さらに、余談で、出だしの音楽は、なにか、すこし、ゴジラのテーマに、似ているような………

 



・・・・・・・・・・うつ  💃 🕺 うつ・・・・・・・・・・・・




 

 




 


  

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