第240話 『リノスの歌』 ジョリベ

 かっこいい題名です。


 なにか、深い、いわく因縁がありそうです。


 実際、そうなんですねぇ。


 これは、フルート吹きには、恐怖をさえ覚えさせる難曲。


 ピアニストも、きと、たいへんだ。


 F.ギランさま著の『ギリシャ神話』(青土社 1992年 中島健さま訳)を見ますと、ウーラニーアと音楽家のアムピマロスの間にできたこどもが、『リノス』で(あるいは、アポローンとカリオペーの子とも、アポローンと、テレプシコラーの子とも言われる)メロディ-やリズムを発明したとされていたそうな。


 アポローンに歌のコンテストで挑戦し、アポローンに殺された(すごすぎたから?)とされるとのこと。


 1944年に、パリ音楽院の卒業試験用の曲として作曲され、その年の卒業生には、あの、ジャン・ピエール・ランパル様がいらっしゃったとのこと。


 『ギリシャの古代文明における『挽歌』の変形、すなわち葬送の『悲歌』、叫びと踊が交錯する『哀歌』である。』と、ジョリベ先生(1905~1974)は述べていらっしゃるとのことでありまする。


 『ゲンダイオンガク』としては、古風な面もちを導入していて、また終盤には独特のリズムをもつ『ダンス』が歌われます。8分の7拍子。やましんは、きっと、転んでしまいます。


 作曲年代からして、『戦争』というものが、そこに反映されていないほうが不思議ですから、この葬送の『悲歌』『哀歌』は、戦争に斃れた人たちに対するものだったのかもしれないです。


 神話に関しては、上記とは違う筋が解説されている(リノスはオルフェウスの兄弟で、ヘラクレスの音楽の師だったが、彼はうまく、たて琴を演奏できなくて、リノスから叱られ、復讐の為に師を殺してしまった・・・とか)ものもあります。


 ときに、ジョリベ先生には『五つの呪文』というフルートの独奏曲もありまして、やましん、まだ元気だったころ、挑戦しかけたことがあるのですが、性が合わなくて(つまり、技術と根性が足りなくて!)断念したことがあります。


 全身全霊で自分を捨てて臨まなければ、吹けない作品で、『リノスの歌』も、またそうなんだとは思いますが、ランパル先生級の名人さんくらいになると、まったく、なにごとでもないように、苦も無く吹いてしまいます。


 このギャップは、凡人と天才を隔てる、絶対に越えられない壁でありまして、ま、やましんあたりが、気にしても仕方のないものです。



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