第230話 『カンタータ 妖精王の娘』 ガーゼ

 少しまえにご登場いただいた、ニルス・ウィルヘルム・ガーゼ先生(1817~1890 デンマーク)の代表作と言えるのが、これであります。


 作曲されたのは、1853年であります。


 ガーゼ(ガーデ、ゲーゼ、とも)先生は、24歳の時に書いた『オシアンの余韻』でコペンハーゲン音楽協会の賞を受け、さらに『第1交響曲』が、こんどはお国の基金から受賞し、おかげさまでライプチィヒに留学。


 メンデルスゾーン先生の次席として活躍(メンデ先生のヴァイリン協奏曲ホ短調の初演の指揮もしたり・・・)し、メンデ先生の死後1年間は、ゲバントハウスの責任者として活躍。(このオーケストラは現役で活躍中。)


 戦争やらの影響があってか、1850年に帰国し、北欧音楽界の『どん』的な存在として活動。


 グリーグ先生に、ノルウェー初の交響曲を書くよう進言したと言われ、また若きニルセン先生に音楽院の門戸を開き・・・、と、北欧には無くてはならない音楽家でありました。(参考書 :『北欧の音楽』 J.ホートンさま著、大束省三さま訳 1971年 東海大学出版会 参考LP :パイオニア H-6063 国内盤 解説・訳詞付き) 


 メンデ先生の影響もあってか、『カンタータ』と呼ばれる、劇のつかない音楽劇の分野でたくさんの作品を残したけれど、この『妖精王の娘』を超えるものは、ついに書けなかったということで、つまり、これこそ、ガーゼ先生の最高作品ということになるのでありましょう。


 ま、なんと言っても、印象的で、美しい。


 お話自体は、婚礼を翌日に控えた『オーロフ』さんが、母の戒めをよく聞かず、夜更けに『妖精の丘』に入り込み、そこで妖精王の娘と出会い、呪いを受け、家に帰り着いた後、息絶えてしまった。と、いうような、もしかしたら、いくらか教訓話みたいな(婚礼の前の晩によけいな、おいたをしてはなりません。。。)感じもする伝説をもとにしたお話し。


 『妖精』と呼ばれるような存在が出てくるのは、いかにもヨーロッパ的かもしれませんが、実際、深夜の森と言うところは、不気味な神秘的な場所ですよね。


 ヘンゼルとグレーテルにあっても、森は重要な要素ですし、白雪姫でも、そうでしょうし、森は狩りにはなくてはならないところだし、妖精や鬼たちが活躍する場所でもあります。


 ドヴォルザーク先生の『ルサルカ』でも、森と湖は重要な要素です。


 シベリウス先生の音楽にとっても、欠かせない。


 やましんも、森はあこがれなのです。


 それは、やましんの子供時代の思い出には、大都会と、こんもりとした森がセットになっているからです。


 でも、現代社会では、森は後退してゆきましたねぇ・・・・・


 やましんが遊んだ、『ねんどやま』は削り取られ、でっかい団地になり、森は小さくなり、かつて住んでいた鳥たちは、どこかに去りました。


 あ、それはともかく、これは実に『じゅわじゅわ』っとする、良い音楽です。


 ガーゼ先生の良いところが、うまく集積された傑作!



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