第195話 『ラカスタヴァ(恋する者)』 シベリウス

 シベ先生の合唱曲作品の中で、もっとも有名な曲のひとつ。


 1894年に、ヘルシンキ男声合唱団が主催したコンクールに応募して第2番になったという作品です。


 4年後というから1898年に混声合唱用に編曲し、さらに1911年~12年に弦楽オーケストラ用の曲にも編曲されていて、こちらのほうも良く聞かれますし、言葉が付かない分、外国人にもストレスが少なくて聞けると言うメリットがあります。


 とはいえ、やはり合唱音楽として聴くと、ソリストも入るし、独特の雰囲気が沸き上がって来るので、そこはやはり本来の合唱音楽じゃないと得られないものということがあります。


 やはり、人間の声が入ると、聞く方も、ぐっと緊張するものがあるのですなあ。


 「何言ってるんだろう?」


 と、思う訳ですよね。


 で、対訳を調べてみるわけです。


 すると、歌詞というものは、自分が何を言いたいのかを、自ら解説してくれているという訳なので、音楽の趣旨が理解しやすいということになるわけです。


 もっとも、歌が付かない場合は、逆に言えば自由な発想が許されることになるわけで、まあ、そこはそれぞれというわけです。


 また、前にも出てきましたように、時の権力者さんが自ら、あるいはそれを『忖度して』歌詞を変えてしまうこともあるので、そうなると当初の作曲家さんの意図が伝わらなくなることもあるし、また逆に、危ない内容だったものが、すっかり大人しい内容に変身することもあるわけで、(たとえば、モーツアルト先生の書いた、18禁のような『カノン』が、子供向けのこもりうたになったりとか、『むすんでひらいて』が、お遊戯歌だったり、時には軍歌だったりしたりとか・・・『おうた』というものは、けっこう危険で怪しい側面もあるのです。)


 この合唱曲のテキストは『カンテレタル』(フィンランドの民族叙情詩(歌)集。叙事詩の方は『カレワラ』としてまとめられました。)から取られています。


 結構多彩な表現技法が採用されていて、これを、実際に歌うのは、かなり難しいだろうなあと思います。


 しかし、いかにもシベ先生らしく、終始美しい旋律に貫かれた、いくらか『うつうつ』ではありますが、傑作合唱曲であります。


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