第191話 『チェロ・ソナタ第1番』 ブラームス

 これこそ、ブラームス先生なのだ!


 この、苦虫をお口いっぱいに詰め込んで、顔中苦痛でゆがみながら、さらに涙を顔中が川になるくらいに流しながら、それでもそこからは、世にも『うつうつ』でありながら『うつくしい』旋律が溢れ出てくるのです。


 『第1楽章』冒頭から現れる、なんという苦しみに溢れた美しい主題!


 身もだえするような音楽なのに、その構成は完ぺきで、まったく揺るぎがない。


 ブラムス先生は、どうして、このように完ぺきに嘆くことが可能だったのか?


 マーラー先生は、そのためなら、多少、破綻の危険を冒してでも音楽の規模を拡大していったけれど、ブラムス先生は古典的な美学を崩さないのです。


 世代の違いと言えば、それまでですけども。


 マー先生の予告した(かな?)ように、やがてやってきた20世紀前半は、破壊と拡大と誇大妄想の時代となりました。


 『第1楽章』と『第2楽章』は1862年。


 『第3楽章』は1865年の作曲。(シベリウス先生、ニルセン先生が生まれた年です。)


  日本は幕末。



********** うつ ●~* 👿 💣 👼 うつ ********** 



 


 

 

 


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