第96話 『ピアノ協奏曲ヘ短調』 リリエフォシュ

 地味と言えば、地味。


 一回聞いただけだと、なんとなく過ぎ去ってしまうかも。


 しかし、これが、またなんとも、ピュアな音楽。


 静かに、やましんを、慰めてくれるのです。


  第1楽章は、同じスウェーデンのアマチュア音楽王、クルト・アッテベリ先生の『ピアノ協奏曲』に、やや似た雰囲気もあります。(『レアオン詩編集』の『シンディングさんのピアノ協奏曲』もご参照ください。)


 でも、「詰め込めるものは、何でも詰め込んじゃえ~!」という雰囲気のアッテベリ先生に対して、重たいものはすべて捨ててしまって、骨組みと質素な薄い生地の上着を羽織っているだけ、という感じ。


 この潔さは、立派で、手際の良さは、やはりプロかと。


 第2楽章は、特に、素敵です。


 少しだけ舞踏的な雰囲気を持つ終楽章ですが、『派手さ』というものには無縁。


 そこがいいのです。


 やましんの気分が落ち込んでるときは、あまり派手過ぎると、うるさくて、慰めにならないことも多いのです。


 実際、派手で目立つことが、なにかと優先されるこの世の中、この目立たない地味さは、貴重です。


 ルーベン・リリエフォシュさまは、1871年9月30日、スウェーデン、ウプサラ生まれで、ステンハンマル先生と同じお歳し。


 亡くなったのは、1936年3月4日。


 この曲が作曲されたのは、1899年とのことなので、まだ20歳代。


 おなじCDには、『交響曲変ホ長調』も入っております。(スウェーデン、スターリング CDS-1017-2)


 曲と並んで、録音もまたちょっと地味で、その点、少し損しているかも。



     ***   ***   ***






 


 












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る