第75話 『ヘンゼルとグレーテル』 フンパーディンク
『メルヒェンオペラ』にして、『クリスマス家族オペラ』の代表作。
欧米においては、クリスマスに上演され、それを家族などで見に行くのは『定番』とのことらしいです。
フンパーディンクさまは(1854~1921)、前述のように、ラインベルガーさまの門下生でしたが、のちにワーグナーさんと出会い、助手をしていたそうです。
ただの助手でもなくて、ワーグナーさんにいくらか影響を与えたとも言われますが、どこがそうなのかは存じません。
このオペラ、人気作ですが、なかなか実際に歌うのは難しいという作品。
お話自体が、御詳しい方ならば、いくらでも蘊蓄が出てくるであろうお話で、中世の飢饉や間引きというような悲しい過去を引きずってるとも言われるお話です。
改定が繰り返され、削られたり付け加わったりしているので、どれが本物か、しろとには、なかなか分からないのですが、このオペラ版では、お母さんも、相当、疲れてはいるけど、実は善良なひと、という設定になっていまして、最後はハッピーエンドになります。
やましんも、好きとは言っても実はかなり長いので、だいたい『前奏曲』・・・フンパーディンクさまは、ワーグナーさん流に『前奏曲』としています・・・から、『第1幕』のお終いまで聴くことで、満足することが多いです。
『前奏曲』は、これだけで聞かれることも多い名曲。
かなり、『じゅわじゅわ~~』な音楽です。
第1幕になって、最初にまとまって歌われる『ガサガサなるのはなんでしょう』から、有名な『私と一緒におどりましょう』までは、一気に聞いてしまえます。(このお歌、昔、NHKの歌番組で、しょっちゅう登場していた気がします。なつかしいなつかしい、素晴らしいお歌。傑作。)
そのあとの、お母さんの、かなりヒステリックなお歌は、ちょっと聞く人の神経を逆なでしそうな壮絶なものですが、こいつは実に歌うのは難しいと思われます。つまりは、聞かせどころ。
次のお父さんのお歌は、これがまた、このお父さんの性格を表すような、ちょっとオーバーで現実離れしているけど、楽しくおおらかな性格のよいお歌。
このお父さんとお母さんの性格の対比が、とても良くできているのです。
その後、『眠りの精の音楽』があり、敵役の『魔女』さんが出て来ます。
実は、この『魔女』さんは、ヘンゼルとグレーテルに次ぐ、準主役なわけです。
なので、大変重要な役柄。
『魔女さん』ぬきでは、このオペラが成り立たない。
この世の中、嫌われ役が優れていないと、なかなか、うまくゆかないものですから。
ただし、最近どちかの大統領さんが、さかんに言っていましたが、『魔女狩り』というのは、西洋史では、絶対に落とせない暗い暗い歴史の一部であろうかと思いますが、ちょっとここで一言では言えない難問です。
さて、フンパーディンクさんも、ずいぶん昔の人のようですが(まあ、そうなんですが・・)息子さんは演出家で、1960年にこのオペラの演出の為に来日なさったそうです。
ときに、主役の二人は、実際は大人が演ずるわけですが、あまりに可愛らしすぎても変だし、と言って、また、あまりに朗々と歌われてもおかしいし、かなり難しい役柄かと思います。はい。
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