第70話 『ヴァイオリン協奏曲』 ドヴォルザーク

 普通、『ドボコン』とか『ドヴォコン』などと言った場合は、『チェロ協奏曲』を指すと考える方が多いのではないか、という気はいたします。


 確かにドヴォ先生の『チェロ協奏曲ロ短調』は、その分野の中では『王位』にあると言って、大方の同意が得られるんじゃないか、と思うのです。


 そりゃあまあ、「いやいやあ、シューマン先生の方がよい!」とか「サン=サーンスさんの1番が良い」とか、まあ、いろいろとご意見は出るでしょうけれども。


 しかし、やましんは、ドヴォ先生の協奏曲といえば、どちらかと言うと、この曲であります。


 それは、癒し効果において、確かに『チェロコン』さんでは、特に第3楽章終盤に、集中して素晴らしい部分がやって来るので、こちらもけっして見逃せませんが、やや重量級の大曲なので、聞いていて最終的に、ちょっと聞く側にも疲れというものが、出てしまうのです。


 そこにゆくと、割合体が軽く、身のこなしがスマートな『ヴァイオリン協奏曲イ短調』さんは、メロディ-の美しさ、その癒し効果の抜群な高さが、全体的に程よく行き渡っておりまして、またあまり疲れを残さないという点で、優れていると思います。(あくまで、個人的な感想であり、けっこう、個人差はあるでしょう。どっちが傑作か、ここで言わなきゃお仕置きだ! と言われましたら、そりゃあまあ、チェロコンさんのほうが上、でしょうけれど。)


 初演は、1883年10月14日。(『チェロ協奏曲』のほうは、1896年3月19日 )


 この曲、なみいる『ヴァイオリン協奏曲』の名作の中では、ちょっと、まだ不遇な感じがしますが、聞いてみると「こりゃあ、いいな!」と思っていただける作品だとは、思うのです。


 『第1楽章』の出だしも印象的ですし、ソロ・ヴァイオリンの入り方も、なかなかカッコいいです。


 最初から、いかにもドヴォ先生らしい、わかりやすい、すばらしく良い旋律のオン・パレードです。 


 たぶん、日本人には、むしろ親しみやすい音楽だと思うのです。


 『第1楽章』自体は、次の『第2楽章』の序奏のような感じもしないでもないくらい、それほど長くはないです。


 その『第2楽章』は、あたかも、めったに見ない、とても目出度い、よい『夢』のように、素晴らしいです。(おかしな比喩ですが、やましんは大体前述のように毎日、悪夢なので・・・)


 ここは、この曲の『核』です。


 素晴らしい音楽です。


 もう、『うるうる』です。 


 『じゅわーっ』と来ます。


 次の『第3楽章』は、これは大変、巧妙に作られた舞曲風の音楽ですが、最後しっかり盛り上がるし、これまた、相当、気持ちよい音楽です。


 軽やかな爽快感が、残ります。



 






 







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