第53話 『月の光』 ドビュッシー

 今夜は、お月様と、金星さんが、ワンカットで縦に並んでおりました。


 しかもお月様は、陰の部分がやや赤く染まって、周辺が浮き上がって見えていました。


 いやあ、よい眺めでしたねぇ。


 ややこしい浮世の事など、まったく関係がないのが素晴らしいです。


 南の空の方に目を向ければ、木星さんと土星さんが輝いています。


 まだ、西の空には春の星座が残ってますが、半分くらいから先は、夏の星座が見えてきます。


 冬の凍てつくような空とは違って、なんとなくのどかなのは、よいのですが、蚊に刺され始めるのがいやなところです


 夏の星空観察と、虫避け対策は、セットのような感じです。


 ちなみに、子供の頃、煙を吐く夜行列車で、遥かにお出かけした両親の里では、満天の天の川が見えていたのを覚えています。


 田んぼの脇の小川には、ほたるも飛び交いましたが、ぼくといとこは、幽霊だと言って騒いでおりました。


 町の明かりはほとんどなく、周囲に見える明かりは、向こうの神社の裸電球だけという感じ。


 しかし、かえるさんがぎゃーぎゃーと鳴き叫び、そりゃあもう賑やかでした。


 しかも、ものすごくでっかいのがいました。


 その田舎も、今は天の川も、もう見えないようです。


 あの、輝く天の川の光景は、忘れられないです。


 あれ、ドビュ先生はどこに行ったのかな?





 







 


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