第27話 『交響曲第4番』 チャイコフスキー
ぼくにとって、最大の『苦手うつうつうトラウマ交響曲』であります。
そんなもの出してくるな! ということなのですが。
これを超えないと、あと何も書けない感じでございましたので、満を持して(?)ここに登場。
中学生時代、反抗期のやましんが、これをジャンジャン夜中に鳴らしておりましたところ、母が「頭が痛いからやめて!」と、何度も頼んできたのですが、無視してさらに音を大きくして最後まで聞いてしまったのであります。
まあ、物理的暴力では無くても、明らかに、音による家庭内暴力だったわけです。
幸い母は、その後も3年前まで生きていてくれたのですが、それにしても、これは罪深い事であった、お母さん、ごめんなさい。と、謝罪いたします。
ほかにも、まだまだ、たくさんありますけれど。
この作品は、そのトラウマを明らかに助長させる作り方になっているのです。
すなわち、冒頭の凶暴な主題が、全曲を貫き、しばしば姿をあらわすのであります。
これが、『トラウマ』でなくて、いったいなんの『ウマ』でしょうか。
思うに、チャイコ先生自身が、相当な何かに取りつかれていたのではないか、と思うのです。
一般的には『運命』の主題と言われておりますが、では、それはいったい何なのか、というと、どうもはっきりしません。
この『運命』とは、果たして何か?
本人がどのように頑張っても、変えることができない何ものか?
しかし、これは長らく人間たちが闘ってきた、訳の分からない「何ものか」であります。
チャイコ先生の思っていたこの『運命』というのは、いったい何だったのでしょうか。
いまのところ、ぼくにはわかっておりません。
でも、この作品、どうやらチャイコ先生の自信作だったようなのですね。
次の『第5番』は、初演当初から人気が出ましたが、ご本人はそれがとっても不安だったようです。『第4番』の方が、よほど気に入っていたようなのです。
でも、やましんは『第5番』の方がお付き合いしやすいのです。
こちらも冒頭に『運命の主題』と呼ばれるものが出て来ます。
見た目は、『4番』の主題よりもいっそう不気味で、怪しい怪物のようであります。
しかし、硬直的で、まったく姿を変えない『4番』の凶暴な主題とは違って、変幻自在です。
ファンタジーがあります。
最後は、『妖怪』から『英雄』に変身してしまいます。
このあたりの面白さが、大衆受けもし、チャイコ先生に『トラウマ』のあるやましんにも、どこか対応しやすい所以なのでありましょう。
そこで、この難攻不落の『第4番』、今回特別に、カラヤンさんのDGのLPを引っ張り出して(実は、まあ長年床に置かれたままだったのですが)、久しぶりに聞きましたが、やはりこれはつらいです。拷問に近かったです。
しかし、確かに、ベルリン・フィルは上手いですねえ。
まだ比較的お若かったカラヤンさんも、チャイコ先生とは相性がいいのか、やりすぎぐらいに、自信たっぷりに、ぐいぐいと押してゆきます。
ぼくの「トラウマ」対象曲さんを、「これでもかあ~!」と、追い詰めてゆきます。
「おお、カラヤン先生、行きます!!」
でも・・・
「まあまあ、そこまでやらなくても、もう少し優しくしましょうよ。」
と、言いたくなりました。
おかげさまで、2時間は経った今でも、心がひどく締め付けられています。
「うつうつ」であります。
なので、今回をもって、当分この曲を聞くのは止めましょう。
ただし、あえて申しますが、皆様方にとっては、そういうわけではございませんので、これもまた、確かに歴史的な傑作交響曲であります。
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