合体、魔剣、期待

 勇者となって世界を救う、それが俺の夢だった。

 小さい頃からこの世界には魔物が溢れ、日々生きていくのも大変だった。だから、気付けばそんな大層な夢を抱いていた。

 毎日毎日鍛練を続けたおかげで、俺は村の周囲の魔物なら容易に倒せるようになった。だから、俺は村を出て世界を救う旅を始めた。


 旅の途中では魔法使いや格闘家など仲間も増えてきた。皆、俺の自慢の素晴らしい仲間たちだ。

 だから、俺は期待していた。この仲間たちとなら必ず、世界を救える、と。


 しかし、運命のいたずらからか、とあるダンジョンで魔剣を拾ってしまってから事態は急変した。

 世の中に数多くある魔剣。それらはどれも不思議な力が込められている。中には所持するものにとって有利なものも存在する。しかし、大半は不利になるものばかりだった。

 そして、俺が手にしたものもそうしたものだった。


 俺が魔剣を手にした途端、周りの魔物たちが合体してしまい、より強力な魔物になってしまった。

 そいつはあっという間に俺の仲間たちを皆殺しにしてしまった。

 このまま俺もここで殺されてしまうのか、と思っていたら、その魔物は俺に対して忠誠を誓った。

 俺はその魔物を使役し、諸悪の根元である魔王を倒すことができた。


 しかし、あまりにも強大な魔物を連れていたせいで、今は俺が魔王として全世界から命を狙われている。

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