姉、眼鏡、永遠
アニメやライトノベルなどでは妹可愛い、最高だ、といった内容のものをよく見る気がする。けれど、俺にはその気持ちが一切分からない。
なぜ、姉が最高、といった話がないんだ!と常々思っている。
俺には姉が一人いる。理知的な眼鏡の似合う、濡れ羽色の長い美しい髪を持っている、美しい女性。性格も素晴らしく、今は超一流企業に勤めている。まさに、俺の理想の女性だ。
はっきり言っておくが、俺はシスコンではない。純粋に姉のことを愛しているだけだ。
そして、今、俺は姉と二人で暮らしている。俺が大学にはいるのと同時に、父親の海外転勤。母親もそれについていってしまい、姉弟の二人暮らしがそこから始まっていた。
愛する人と二人、一つ屋根の下での生活。
正直、俺は新婚気分だった。長い付き合いを経て、二人はようやく結ばれた、そんな気分だった。
けれど、そんな生活も永遠ではなかった。大学四年になり、ようやく企業から内定をもらった頃に突然、姉が見知らぬ男性を家に連れてきた。そして、
「私、この人と結婚するの」
と、俺に告げてきた。俺は内定の喜びが消え失せ、絶望にうちひしがれた。
それからのことを俺はよく覚えていない。
姉は宣言通り、俺が大学を卒業すると同時に結婚をして、家を出ていった。
俺はただ、家と会社を往復するだけの無彩色の日々を送るだけだった。
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