第31話 再会①
「ふう、やっと戻ってきたけど……なんだか朝より賑やかになってないか?」
「そうですね。朝聞いた勇者様でしたっけ?がもう来ているんでしょうか」
「うーん、とりあえず魔石回収の報告に行こう」
6層でガルーダとの戦いを終えて副都へと戻ってきた空太達を迎えたのは、朝以上の賑わいを見せる町の光景だった。
「やっとギルドが見えてきたけど……」
「塔を中心に大きな人垣が……。マスター、もしかして勇者様が塔の中に」
「たぶんいると思う。中に入れるかな」
空太達が塔の入り口を探して歩いていると、人垣の最後尾に塔に背を向けてギルド職員の1人が立っていた。
「すみません、依頼の報告をしたいのですが中に入れますか?」
「はい、大丈夫です。冒険者証をお願いします」
空太達は言われるままに冒険者証を渡す。
「はい、大丈夫です。すみません、今は見ての通りの人の数なので依頼報告の方だけ中に入れるようにしてるんです。それでは中へ移動します」
冒険者証の確認が終わったギルド職員は小さな声で魔法を唱える。すると空太達の足元が光り出し、塔の中へと移動していた。
「それではカウンターの方で報告をお願いします。私はもう一度外に出ますので、外に出るときは中にいる他のギルド職員に運んでもらってください」
そういうと空太達を運んだギルド職員は姿を消した。空太は言われた通り依頼報告のためにカウンターへ向かうと見知った顔の人がギルド職員と話をしていた。
(朝聞いた勇者ってクラスメイトだと思ってたけど、来てるのは光達だけなんだな。なんだか話しかけれるような雰囲気じゃなさそうだし報告だけして帰るか)
「すみません、依頼の報告をお願いします」
空太達は冒険者証と一緒に魔石をカウンターに置き依頼の報告をする。いつもと同じように冒険者証を受け取り出入り口付近にいるギルド職員の元へ向かおうとすると……。
「相田君……だよね?聞き覚えのある声だったから。無事だったんだね」
向かう途中で光達のグループの1人、月村 香織に声をかけられる。
「ちょっと香織、急に離れるなんてどうしたの。って、相田君?」
「うん。久しぶり。それより大丈夫?なんか話をしてたみたいだけど」
「あっ、そうだった。相田君の声に似てたから気になって飛び出してきちゃった。話が終わったらあとの光君たちも連れてくるからよかったら待っててくれるかな?」
そう言うと香織は連れ戻しに来ていた宮本 飛鳥と一緒に戻っていった。
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