第29話 うさぎ再び
「おはよう、ルナ。もう起きてたんだ。それにしてもなんだか外が騒がしいな」
「おはよう、空太」
5層を攻略した次の日、空太は借りている宿の部屋の中で目を覚ますといつも以上に騒がしい音が耳に入ってきた。空太が独り言をつぶやいていると横で目をこすりながらフォーチュンが目を覚ます。
「おはようございます、マスター。いつもよりなんだか外が賑やかなような……」
「祭りでもあるのかな?ちょっと聞いてみるか」
空太達は部屋を出ると、宿屋の店員に外のにぎやかさについて尋ねる。
「えっ?ご存じないですか?今日王都から異世界からきた勇者様が来るみたいです。異世界の勇者様なんてめったにいないのでみんな一目見ようと準備しているみたいです」
「そうなんですね。ありがとうございます」
(異世界から来た勇者……。クラスのみんなだよな?クラスのみんなからはどう思われてるんだろう。機会があったら会いに行ってみようかな)
店員にお礼を言い三人はいつものようにギルドで依頼を受けるとリブラルへ足を延ばした。
「よし、昨日手に入った指輪を使ってみるか。6層へ!」
リブラルに到着した空太は昨日手に入れた指輪を取り出し、階層を唱える。すると、指輪から光があふれ3人を包み込む。光が消えると、そこにあった影は残っていなかった。
「草原……、それに後ろは洞窟。ということは成功したんだな。とりあえず6層の探索か……。っとその前にフォーチュン、目をつむって」
「わかりました」
フォーチュンは首をかしげながら目をつむる。目をつむっていることを確認した空太はフォーチュンに聞こえないように魔法を唱えカードを召喚する。
「よし、もう目を開けていいよ」
「はい、わかりまし……」
フォーチュンは目を開け空太の召喚したカードを見ると途中で言葉が途切れる。
「マスター、もしかしてもう一度……」
「うん、もう一度ドローできたから今回は永久召喚で召喚してみた」
「ありがとうございます。またよろしくね?」
フォーチュンは再び召喚された電気うさぎを腕に抱えなでながら問いかけていた。
「フォーチュン、私にも……」
「いいですよ、はい」
フォーチュンはルナに電気うさぎを渡すと優しくなで始める。
「かわいい、それにもふもふしてる」
「今回こそ……。ルナ、俺にも……」
そう言い空太は電気うさぎに手を伸ばす。
「いたたたた。やっぱり駄目か。いつになったら普通に撫でれるんだろう」
相変わらず電気を浴びせられ撫でれなかった空太だったが気を取りすと、2人と1匹を連れて探索し始めた。
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