一話完結の気持ちの整理

猫城

第1話

あの日から私の中で何かが欠けた

『〇〇が不慮の事故でなくなりました』

3月の中頃、私の父親のような存在の人が亡くなったという知らせが私に届いた。私はそれを信じられなかった。

そしてなにより、涙が流れてくれなかった。

心の中では悲しい気持ちで溢れているのに、それが身体に反映されない。

そして、もう一つ信じられないことがあった。

『またな、ごめん、幸せに、急にいなくなって悪い』

その人が亡くなったという知らせを受けた次の日に、私が見かけた一文である。

これを誰が投稿したのか、私には分からない、でも、そいつ以外有り得なかった。

何故、と言われても、証拠は、と言われても、それを答えることは難しい、何故なら、確信に近い、感だからである。

今、その人が生きているのか、亡くなっているのか、それを完全に知る方法が私にはない。

何故なら、私とその人が出会ったのは、こことは別の小説投稿サイトだからである。

その人は私が初めて投稿した作品に、初めて、感想をくれた。

いや、その人たちは、が正解ではあるが……

その人たちと、会ったことは無い。所謂、ネットだけの関係……声も……なにもかも分からない。

しかし、その人たちの職業は知っている。

そして、顔も、恐らくこの人だったんだろうな……というのは分かる。

あの人が出張で来ていた本屋、恐らく、ほんの少し顔があったあの人が私の父親のような人なのだろう。

出来ることなら、もう1度、話したかった。


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