天翔け! 蓮甘商店街
九里方 兼人
天翔け! 蓮甘商店街
イントロダクション
――この物語はフィクションであり、登場する団体名、個人名は架空のもので、実在のものとは一切関係がありません。
よくこういう書き出しで始まる物語がある。
映画でも流れるテロップだ。
これは要するに、これから語る話は嘘だから真に受けないでね、真似しないでね、という但し書きである。
でないと真似をして怪我をしたり、間違った知識で恥をかいたり、名誉を傷つけられたとかいって訴えられてしまうから。
昔アメリカで宇宙人襲来のラジオドラマを流したら、それを真に受けた人達が集団でパニックを起こしたという話がある。
だからそんな事にならないよう、訴えられないよう、始め、または最後に注意を促しておくんだ。
だけど、はたしてそれだけだろうか、と僕は思う。
本当は宇宙人もファンタジーも存在して、世界は常に危険にさらされているのではないか。
そして政府は時折宇宙人なんかと交戦していて、その事実を隠蔽(いんぺい)しているのではないか。
とあるジャーナリストがそれを突き止めたとして、そのまま記事にしたら政府に見つかって消されてしまう。
だから「これは事実ではないですよ」という但し書きを入れる事で、政府の目から逃れているのかもしれない。
フィクションを隠れ蓑(みの)に、何とかこの事実を世間に残そうとしている物も、世の中には紛れているのではないか。
なぜそんな話をするのかというと、僕が今から語る話がまさにそれだから。
この物語は事実であり、僕が実際に体験した事だ。
ああ、予め言っておくと全てが事実じゃない。もちろんだよね。小説として公開するんだから所々盛ってある。それは否定しない。
でも……、それでも僕は彼女の事を世に残したかった。
彼女は架空の存在なんかじゃない。生きている。それだけは紛れもない事実なんだ。
そう……、彼女はからっぽの存在なんかじゃない。
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