無の魔皇と戒めの魔女
Carmilla
第1話
数百年も前のある日を境に、世界では"魔法"が一般化され出した。
人間の体内には身体能力のように、個人それぞれ量の違う魔力がある事が判明したからだ。
更に、その魔力には属性もあり。
炎、風、水、雷、土が基本属性となっている。
ただし、凄く希少な存在ではあるが"毒"という属性も存在し、その名の通り有害な毒を操る事も出来るが、その毒を上手く使いこなし医療に役立てる者もいる。
それよりも遥かに僅かな存在、今は存在しないとすら思われている属性。
それこそが"特異属性"である。
唯一無二の属性であり、その属性による魔法は強大なものばかり。
そして、特異属性を持つのは女性のみ。
ただ1人を除いて。
それでは、女性のみに価値が出てしまうと神様が思ったのか。
男性にはその属性を極めた者にのみ与えられる、特殊な魔力形態"
魔神装は、圧倒的な強さを誇る魔力で、ある者は島は丸ごと浮遊させ、またある者は絶対に溶けることのない氷を溶かし、とその伝承は数え切れない程だ。
そんな魔神装を使いこなす者を、いつしか"
そして、いつしか魔皇は英雄と、特異属性を持つ女性は忌まわしき存在と、謳われるようになっている。
特異属性を何もかもというのはおかしい。
だが、その一部は強力過ぎる故にころっと文明を終わらせてしまったのも原因なのだろう。
その時の恐怖が今も尚、人々が特異属性を毛嫌いする理由の大半だろう。
だからこそ、今は彼女らをこう呼ぶんだ。
────"戒めの魔女"、と。
×××
この物語の主人公である俺、カルデ・ルートルマンは魔法学の最先端学園。
グロウディア魔導学園の高等部に所属している。
数年前まで刑務所にいた普通の男子高校生だよ。
普通の男子高校生は刑務所何かに入ったりしない、って?
そんなの俺だってわかってる。
ただ、これは
俺はとある授業で魔法を使った、その際何も起きなかったのだ。
それで魔力専門の施設へ連れて行った所、俺は特異属性らしい。
それで刑務所送り、ただ釈放されるのもすぐだったよ。
なんでって、俺の特異属性が『無』だから危険性などなく。
何より魔神装が出来てしまうもんだから、一応"無の魔皇"って事で一件落着。
ただ、俺は全く腑に落ちてない。
ようするに俺は、偏見で捕まり、挙げ句危険性がないという建前の無能扱いをされ追い出されたんだ。
魔神装が出来る?そりゃすごいよな。
けど、俺の魔神装はそれこそ、ほぼ全身タイツの変態だ。
俺が何した?恵まれてるのが悪いのか?
俺は確かに恵まれてるよ、だってな.....
「どうしたのー??カルデ!」
俺に元気よく突進しながら、胸を押し当てて来た可愛い女子こそが俺の幼なじみ、フゥ・アンライトだ。
学園一の美少女であり、ミスグロウディアの幼なじみ。
見た目もそうだが、明るい性格に、文武両道、更には家事まで完璧にこなせてしまうという神スペック。
そんな彼女が幼なじみとか俺、恵まれすぎたな。
茶髪ロングがまた似合っている。
「ああ、それがな。」
「カルデは魔女じゃなかったの?」
「まず俺は男なんだから魔女なわけないだろ。……でも、俺って何なんだろうな。」
特異属性があり、意味のないとはいえ魔神装が出来、魔女は特異属性とは別に基本属性が使えるらしいが、俺には基本属性すら備わっていない。
この世界の不適合者だったりしてな。
「それもそっか!これから来るよね?部活。」
「ああ、むしろこの学園に来るのはそれが大半の理由だ。」
今は午前、だがその部活に出ていれば学問は完全免除。
その名も魔力研究会。
を名乗った国の施設みたいなもんだ。
グロウディアの魔法成績上位者のみが入れる場所で、主には魔力の研究を建前に魔女の観測をしている。
いつどこから現れるかわからない魔女を、一早く見つけ対処する。
それがここだ。
ちなみに俺が所属出来てる理由は、どんなクソ魔力でも魔皇は魔皇だからだ。
職権乱用だ。
けど、これくらいはな?
まあ、ここ百年くらい魔女の発見はないらしい。
だから、俺らの代で出てくるなんて奇跡もないだろう。
こういうのフラグって言うんだよな。
これが俺らと魔女の物語のスタートだった。
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