彼女は犬を飼っている

夢月七海

x日目


『最近、犬を飼い始めました』


 二日ぶりのソウコのツイートは、たった一言だけだった。

 その前のツイートが、『彼と別れました』だったため、ずっと心配していたアユカは、それを読んでやっと安心できた。


 これがきっかけで、前向きになれたのかもしれないと、アユカは好意的に捉えていた。

 長年付き合っていた恋人と別れたと知った時、アユカは彼女を慰めようと、ラインで別の友人・ユミエと一緒に食事に誘うなどしていたが、既読が付いてもソウコからの返信は無かった。

 それもきっと、今まで飼い犬の世話が忙しかったからだろうと考えて、あゆみは早速ソウコのツイートへの返信を打つ。


『いいなー わたしも飼いたい! ちなみに、種類は何?』

『柴犬 まだ子犬だからしつけが大変だよ?』

『でも絶対かわいいでしょ! 名前は決まってるの?』

『今すっごく悩んでる 女の子だからすごくかわいい名前にしたいけれどね』

『今度見に来てもいい?』

『うん でもまだ吠えたりするからしつけが終わってからね』

『わかった! すごく楽しみ!』


 アユカは終始顔を綻ばせながら、ソウコとやり取りしていた。

 しかし、最後に返信した直後に、何故ソウコが犬の写真を載せていないのかが気になった。

 それを訊いてみようと思ったが、三分前にセットしていたタイマーが鳴ったので、アユカはスマホをテーブルの上に置いて、カップラーメンの蓋を開けた。


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