超鋼機神ハカイオー

いも男爵

第1話 破壊と殺戮のパレード。

 パレードが行われていた。


 主役となっているのは、大地を覆い尽くす巨大ロボットの大軍で、僅かな乱れもない完璧な動きで進んでいた。

 ロボット達は、左腕から発射するビームによって周囲の建物を原型が分からなくなるほど徹底的に壊し、巨大な鋼鉄の足で逃げ惑う人々を容赦なく踏み潰していった。

 破壊と殺戮のパレードは、対象物が無くなるまで続いた。


 全ての音が止み、停止したロボット軍団の前には、軍服に似た服を着た三人組の男が立っていて、破壊し尽された風景を眺めていた。

 「ロレッド様、この星の滅亡も完了ですね」

 左側に立っている長髪で細身の男が、真ん中の男に話かけた。

 「しかしなんとも歯応えのない星でしたな。生き物は指先一つで殺せましたし」

 右側にいる二人よりも背が高く若干太目の男が、聞かれてもいないのに自分の意見を口にした。

 ロレッドと呼ばれた男は、無言のまま二人から離れ、目の前にある巨大な瓦礫を右手だけでどかした。

 その下に居たのは、銀髪で耳の尖った緑色の肌をした男だった。

 「た、助けて」

 男は、掠れるような声で助けを求めた。

 ロレッドは返事をせず、男の頭を鷲掴みにして、瓦礫の中から引っ張り出した。

 「ありがとう・・・・」

 男は、両目に涙を浮かべながら礼を言った。

 

 「アッサム、報告ミスだぞ」

 ロレッドが、左側の男に間違いを指摘した。

 「申し訳ありません」

 「プログラム更新の余地有りだな」

 「バウンドは黙っていろ」

 アッサムが、隣に立っているバウンドを睨みながら言った。

 「早く降ろしてくれ」

 男が、苦しそうに言った。

 ロレッドが、黙って掴み続けていると、男の体が赤く発光し、湯気を上げ始めた。

 「やめろ! やめてくれ~! ちくしょ~! 俺達がいったい何をした?! 他の星と戦争したこともないのに~!」

 男は、大声で喚きながら両手でロレッドの腕を殴ったものの効果は無かった。

 「お前達は"弱い"から滅ぶんだ」

 質問への答えを口にしている間に男は粉々に爆散し、細かな肉片を周囲にぶちまけた。

 ロレッドも多数の肉片を浴びたが、蒸発して跡形もなく消えた


 「ロレッド様、偵察隊から報告が入りました。新たに弱き者が居る惑星を発見したとのことです」

 アッサムが、報告してきた。

 「どんな星だ?」

 「水に覆われた青い星とのことです」

 「その星へ向かうぞ」

 ロレッドが歩き始めるとアッサムとバウンドが付き従い、起動したロボット軍団が地響きを立てながら後に続いた。

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