第七話
あの洞窟でまっている、Twinsにはそうかいてあった。
空をみると曇り空月さえ隠れていた、自転車のLEDライトを取り外し洞窟内へと入っていく。
「茜ー?」
俺の声が洞窟内に反響する。ごつごつした岩場の床を奥に向って進んでいく。
突然後頭部に鋭い衝撃が入り俺は洞窟内に倒れた。頭から血が出ているのが暗闇でもわかった。俺は持っていたLEDライトで辺りを照らすと誰かの足首が見える。
「あか――……なん……」
俺の言葉が其処で止まった、茜じゃなくて押切部長が其処に立っているからだ。
「ちっ一撃は無理ね」
俺は言葉が出ずに先輩の持っている大きな石を見ていた。その石が俺の手を潰しLEDライトをも壊す。
「不思議そうな顔をしてるわね。安心してあの子は私が立派に育てるわ、色恋なんてさせて引退なんかさせない、邪魔なのよ。何か後15cm飛べたら願いこと聞いてくれとか言えたもんね。反吐が出るわ、不思議そうな顔をしてるわね……」
「足……」
昼間みた包帯を巻いた足では無く、その足は綺麗な物だった。
「ああ、足ねどっち道大会には間に合わなかったし、次いでだから痛いって言い張ったら捻挫にしてくれたわ。思っていた通り彼女予想外の事になると精神が弱いのよ。二宮君と付き合って万が一高飛びを辞めたらどうするのよ、私の夢は彼女が一番になる事。ううん私の手で一番にする事よ。それがお祖父ちゃんとの約束なんだからっ」
どうするもこうするもない。何の約束から俺は知らないし個人の自由じゃないか……。それになんで15cmの事を知っているんだ。
「そうそう、このTwins。貴方と私の専用よ。わからない? 貴方が茜と思っていたのは全部私、誰か茜のIDなんてアンタ見たいのに教えるのよ。それじゃもうそろそろ死んでもらおうかしら。遅かれ早かれこうしないと行けないかもって思っていたし、心配しなくても朝までには此処は満潮になるので証拠も残らないから安心して、茜さんは私がそだてるから」
「狂ってる……たすけ」
既に俺の脚にも岩を落とし動けないようにする押切先輩、痛みで体が丸くなる。
「狂ってる? 未来の高飛び選手いいえ、金メダリストを守る為よ感謝してほしいぐらいだわ。ほら大好きな茜さんに助けでも求めたら?」
俺の血だらけな指に部長がポケットから取り出した携帯画面を握らせる、その画面には俺と茜が会話した茜側からのTwinsの画面が映し出されていた。そして俺の頭上に……。
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