15CMの関係

風吹 志秋

15CMの関係 上

「ねぇ、ちょっと聞いていい?」


 耳に染み入るような大人びた声。彼女の声は、たとえそこが騒々しい教室の中であったとしても、なぜだかよく通る。

 彼女が質問してから5秒、10秒……返事はない。そこで気が付いた。


「俺に聞いてる?」


 彼女に顔を向けると、整った横顔が目に入る。彼女は視線だけをこちらに送り、目が合った。


「他に誰もいないでしょ」


 周りを見回す。確かに俺以外には誰もいない。

 彼女のことを再び見る。目は合わなかった。彼女の意識は目の前にあるテレビへと向けられている。何度か見覚えのあるCMが流れていた。


「ごめん、ちょっと待ってくれる?」


 無感情な、言葉だけの謝罪とお願い。少し失礼な気がしたが、かといって反発する理由はない。テレビを見るしかないくらい暇なんだ。彼女の願いを聞くことにしよう。

 彼女はCMの流れるテレビ画面を熱心に見ている。好きな俳優でも出ているのだろうか。けれども、次のCMに移っても彼女はテレビから目を離さなかった。

 沈黙。CMの音声がこの場を支配する。俺は気まずさを感じ、キョロキョロと視線を動かした。


 俺と彼女の間には小さな机が1つ。その上には無造作にテレビのリモコンが置かれている。頭上からのぼんやりとした灯りが俺と彼女の存在を照らしていた。先ほども確認したが、やはり俺の周囲には俺と彼女の他に誰もいない。2人きり。近くに窓がないこのスペースには、外の状況が伝わってこない。もしもテレビが黙ってしまったら、この世に残った最後の人類と錯覚してしまうかもしれない。


 なぜ俺はこんな状況にいるのだろうか、ゆっくりと思い返す。


 今は修学旅行中だ。2泊3日の2日目の夜。イベントだか何だか知らないが、肝試しが行われることになっていた。

 しかし、俺は体調を崩してしまい、部屋で休むことにした。少しの間は部屋で体を休めつつスマホをいじっていたが、やがて退屈になり、俺は部屋を出てテレビのおいてある小さなスペースへ移動。

 俺以外に誰もいない棟の中、貸し切り状態だと思っていたが、今から10分ほど前、突然彼女は姿を現した。恐らくは俺と同じように休んでいたのだろう。彼女は俺に目も向けず、俺の向かいの椅子へ座り、俺の見ていたクイズ番組へ意識を向けたのだった。


 俺が回想を終えると、CMが終わり次のバラエティ番組が始まるところだった。


「いい?」


 ずっとテレビと対面していた彼女の顔が、こちらを捉えていた。


「あ、あぁ。何?」


 はっきりとしない返事になってしまった。それは仕方がないだろう。彼女と2人きりで会話したことなど、これまでに1度もないのだ。だが、彼女には緊張したような様子は見られなかった。切れ長の眼から強い視線を感じる。


「今流れてたCMの中でどれが好き?」


 彼女は淡々とした調子で、しかし、その声色とは裏腹にこちらをジッと見つめていた。


「え? CM?」


 我ながら間抜けな声が出てしまった。あまりに予想外な質問だった。


「クイズ番組が終わった後にCMが入って、短い番組が間に流れた後、次の番組が始まるまでにもう1度CMが入ったでしょ。合計15個のCMがあったのだけど、どれが印象に残ったかを聞いてるの」

「あぁ、そういうことか」


 15個もやっていたのか、多いな。いや、番組と番組の間はそんなものだろうか。CMがいくつ流れたかなんて俺は数えたことがないが、彼女は数えていたのだろうか。なぜそんなことを?


 彼女はクラスの中心に立って皆を引っ張っていくようなキャラではない。では目立たず影の薄い存在かというと、そうではなく、その容姿端麗さから男子の中で人気がある。そんな彼女に好意を持って近づいた男子は多数いたそうだが、あまりにも真面目すぎることや男子を小馬鹿にしたような態度に嫌悪感を持ってしまう人がほとんどだという話だ。程よく主張する体のラインと、背中に届く程度の黒髪が周囲の目を引く美しさを持つが、キツめの印象を持つ顔とそんな噂から、今では彼女に近づく男は少ない。

 女子高生ではあるが、女子というよりも女性と表現したくなる雰囲気だ。彼女が大きな声を出しているところを見た記憶は俺にはない。


 そんな俺の中の彼女の印象が変わっていく。なんというか、意外と変な人なのかもしれない。いや、変でない人などいないか。誰しもが変人の側面を持っているものだ。


 ……何の話だっけ。CMか。


「ごめん、全然意識して見てなかった」

「そう」


 彼女は小さなため息をついた。機嫌を損ねてしまっただろうか。しかし、突然CMについて聞かれても、返答に窮してしまうのはある種当然と言えないか。日常的に見るものではある。けれど、あまり記憶に残るものではないうえ、話題の種になることも滅多にないはずだ。

 だが、今はその種が必要なようだ。俺の目には、彼女はCMについて話したいように映っている。俺は彼女の言っていた15個のCMについて振り返る。


「えっと、電話会社のCM、あれは結構好きだな」

「あぁ、3個目と11個目。人気あるよね」


 順番を覚えているのか。すごいな。感心して彼女を眺めていると、彼女の表情が少し緩んだのがわかった。


「ストーリーになってるCMが最近増えた気がするの。出演者を見るだけで何のCMかわかる。それはいいことなのかもしれないけど、私はあまり好きじゃないな」


 好きじゃない。そう言いながらもどこか楽し気な雰囲気がする。


「そうなの? 面白いじゃん」

「興味がある人にはいいと思うけど、興味がない人はどう? 見たくないドラマの続きを不意に見せられる。いつ、どこで流れるかはわからないから避けることができない」

「……なるほど」


 見たくないCMはたまにある。でも、大体のCMは月日が経過すれば放映されなくなる。だから大して気に留めなかったけれど、彼女の言い分はわかる。


「まぁ、私は宝くじのやつは好きだけどね。あの空気感と俳優さんが好き」


 宝くじでストーリーになってるやつは……あぁ、アレか。

 彼女は小さな笑みを浮かべていた。


「ゲームってやる?」

「ゲーム? まぁそれなりに」


 いや、ごめん。かなりやってる。なんとなく誤魔化してしまった。訂正しようかと思ったが、その前に彼女が口を開く。


「じゃあゲームのCMってどう?」


 ゲームのCMか。よく見るな。今の15CMの中にも1つか2つあった気がする。これに関しては思うことが少しある。


「ソシャゲに多い気がするけど、アニメーション形式で女の子が可愛い声でしゃべるやつってあるじゃん。あれを1人で見る分には構わないけど、家族で見てる時に流れると少し困るな。あと、ゲーム内容の説明や画面が表示されないのはどうなのかなって思う」

「ふーん、そうなんだ」


 小さく頭を上下させ、そっけない返事が返ってくる。俺は数秒黙って次の行動を待つが、彼女が口を開く様子はない。俺に話を続けろということだろうか。


「俺が年を取って、それで懐古しているだけかもしれないけど、昔のCMの方が見入る感じがあったと思う。ガキだった頃はCMを見て、アレもやりてー、コレもやりてーって思ったもん。とはいっても、最近のやつの何がダメなのか、はっきりとはわからないなー。俺が子供心? みたいなのを忘れただけなのかもな。最近はインターネットで先に情報ゲットしちゃうし――」


 ハッとして口を閉じる。思わず饒舌になってしまった。彼女の様子をうかがうが、表情に大きな変化はない。


「ごめん、つい」

「いや、私はゲームをあまりやらないから興味深いよ。ありがと」


 不意に見せた優しい表情にドキッとしてしまう。俺は咄嗟に彼女から顔を背け、テレビへ意識を向ける。どこかのロケの映像が流れ、画面端のワイプでお笑い芸人がワハハと笑っていた。


「私、耳障りなうるさいやつ、苦手なんだよね」


 チラと視線だけを向けると彼女もテレビを見ていた。


「うるさいCMか~」


 俺は彼女の言葉を繰り返して、考える。確かにそういうCMはある。多くのCMは15秒か30秒くらいで終わるはずだけれど、そのわずかな時間すらも我慢できずにチャンネルを変えてしまったり、一時的にミュートをしたり。


「私の偏見かもしれないけど、関西のノリ? みたいなのがあんまりね。変にウケを取ろうとしてるみたいな」

「あ~、でも淡々としてるよりはいいんじゃないの?」

「まぁ、そういう意見はわからないでもないけど」


 少し不満の入り混じった小さな声。そのままの調子で彼女は続ける。


「防虫のCMあるでしょ?」

「あぁ、あるね」


 いくつか思い浮かべる。蚊、ハエ、蟻、ゴキブリなど、1種類に特化した物から、幅広い種類に効く物まで。様々な防虫剤や殺虫剤がこの世には存在する。虫が苦手な俺にとってそういった物は必要だしCMで周知してくれるのは助かるのだが、CMの映像内の虫ですら可能であれば見たくはない。


「たまにしかないけど、あれをご飯の時間に流すの、マジでやめてほしいと思わない?」

「めっちゃ思う!!!」


 俺の突然の大きな声に彼女が驚いた様子でこちらを眺めてくる。自分でも少し驚いた。それくらい俺にしては大きな声だった。1つ咳ばらいをして落ち着く。


「あれはホントにやめてほしいんだよな。飯食ってる時にゴキブリが死ぬ過程なんか知りたくないよ。一気に食欲減退する……」

「私も同感」


 彼女の発言に口角が無意識に持ち上がってしまう。意見が一致するということは、やはり嬉しい。

 ……嬉しいが、そこから会話が広がらない。再び沈黙。テレビからの騒がしい声が心なしかより大きく響き渡る。俺は話題を探した。


「他にはどんなCMがやってた?」

「お酒が2回、スポーツ飲料が2回、あとは消臭剤と洗濯洗剤、住宅、自動車、保険……他にはドラマの宣伝が何回かあったかな」


 記憶力、ホントにすごいな。俺の質問に対するこの答えが正しいのか俺には判断がつかないけれど、きっと正しいのだろう。


「CM好きなの?」


「う~ん、まぁ……そうなのかな」

 彼女は少し顔を下に向けて考え込みだした。


 本当に綺麗な顔だ。肝試しが始まる前から風呂は解放されていたが、彼女はもう入ったのだろうか。普段の彼女の顔の様子はあまり覚えていないが、今は化粧っ気が少ないように感じる。

 つい見とれていると、彼女が視線を上げた。目が合いそうになり、すぐに逸らす。


「好きという表現が適切かはわからないけど、CMはあの短い時間でいかに人を注目させるか、引きつけるか、そのためにいろんな工夫が見える。それが見ていて面白いなって」

「いろんな工夫、か」

「そう。最初にキミが挙げたストーリーになってるやつもそうだし、人気の俳優をキャスティングしたり、有名な映画やミュージカル、ゲームとかの音楽を使ったり、逆にオリジナルの曲を作ったり」


「確かになー」

 知ってるゲームの曲がテレビから突然流れ出すと思わず画面を見てしまうものだ。


「別に私は人気者になりたいわけじゃない。ちゃんと私を評価してくれる人が数人いてくれれば十分。でも、人の目を引きつける技術や知識はきっと何かの役に立つと思う」


 真剣な表情と口調、そしてその考え方に思わず関心してしまう。彼女は成績が良いという話を聞いた覚えがあるが、なんだか納得してしまった。漠然と毎日を過ごしている俺なんかとは違い、日常の些細なことからたくさんの知識や新しい考え方を手にしているのだろう。


 俺は少しずつ彼女に惹かれている自分の心を認識した。彼女についてもっと知りたい。大した接点もない俺に突然CMについて聞いてくるのだから、真面目でありながらも少し変わった性格をしているのかもしれないが、そんなところにも興味が湧く。口数は普通くらいではないだろうか。男子を小馬鹿にする雰囲気は感じ取れない。口調は優しくないが、会話の組み立て方や言葉遣いは丁寧だ。


「なに?」

 彼女は目を細めた。俺は気後れしながらも返事をする。


「なんか、変わってるなと思って」

「ごめん、いきなり変なこと聞いて」

「いやいや、謝らないでいいって。面白かったよ」

「そう言ってくれると私も気が楽」


 呟くように口にし、会話が途切れた。


 いや、途切れてしまった。そう感じている自分がいた。何か、彼女と話をしていたい。今まで彼女のことを深く考えたことはなかった。それが、この十数分で随分と印象が変わった。


 彼女にとって2人きりで男子と話すのは、もしかすると珍しいことではないのかもしれない。こうして多くの男子を誘惑し、キープしているのだろうか。


「CMの話、よくするの?」

 彼女の真意を少しでも測りたい。彼女の様子を注視していると、彼女は顔を横に振った。


「全然。初めてかも」

「……なんで俺に聞いたの?」

「――――」

 彼女は口を小さく開け何かを言おうとしていたが、そのまま動きを止めた。何かを考えているようだ。何を? 俺が不快に感じず丸く収まるような理由か?


「言いたくないなら別に言わなくてもいいけど」

「――暇だったからテレビでも見ようと思ってここに来たら、キミがいて……」

「今は誰もいないと思ったし、しかも俺の前に座るから驚いたな」

「私も誰もいないと思ってた。私も驚いた。でも、キミのことは前から少しだけ気にしてたの。だから、いい機会かなと思って」


 気にしてた……? 俺のことを? 自分で言うのもアレだけど、彼女の興味を引くような要素が俺にあるとは思えないが。


「うるさい男子って得意じゃなくて。キミは落ち着いてるなって」

「そ、そう?」


 確かにうるさくはないだろうけど。落ち着いてるというより、やる気がないというか、大きな声を出すのが面倒くさいから静かにしてるだけといった方が正しい。


「俺は落ち着いてるんじゃないよ。ただ、話すのがメンドイだけ」

「うん、そうだと思った。私も割とそうなんだよね。でも、今キミは私と会話を成立させようと頑張ってたでしょ?」


「え、えっと――」

 俺の考えや性格を見通されているようで恥ずかしい。実際、頑張っていた。

「そう、だね」

 彼女の顔を見ることができず、俯き小さく返事をする。そんな様子の俺を見てか、彼女は小さく笑い声を漏らした。


「無理しないでいいよ。キミと黙ってテレビを見てるだけの時間、私は結構楽しかった。でも、ちょっと話をしてみたくなってさ」


 俺は下を向いたまま黙ってしまった。心臓が高鳴る。顔が熱い。なんなんだ? 彼女はこんな恥ずかしいセリフを意識せずに口にしているのか? 俺はいったいどうしたらいいんだ?

 ぼんやりとした頭を回転させようと試みるが、成果はあまりよくない。そんな俺の思考回路に彼女はとどめの一撃を繰り出してきた。


「私、キミのことが好きなのかも」


「!?」

 あまりに突然すぎて頭の中も体も、全てが停止する。どうにかゆっくりと顔を上げると彼女は俺に向かって優しい微笑みを浮かべている。


 俺は次の言葉を発することができず、ただ心臓が高鳴っていくのをボーっとした意識の隅で感じていた。

 彼女は髪をかき上げ、小さな息を吐いた。そして、優しい笑みが少しイヤらしい笑みへと口角の端がわずかに歪んだ。


「どう? 私のこと、意識した? ふふ、予想外な展開にするのも注目集める技術の1つでしょ?」


 今までの感情の薄い口調が嘘のような、明るく楽し気な声。


 あぁそうか、わかった。やられたな。これは、さっき彼女が言っていた、注目を集める方法の実践だ。俺は頭を抱えた。最初から全部彼女の計算通りだったのだろうか。


「ごめん、怒ってる?」


 淡々とした声色に戻った。わずかに語尾が上がらなければ疑問文だとわからないかもしれない、そんな言い方。


「怒ってはいないけど、何か怖いよ」

「怖い?」

「全部演技だったのかと思うとね」

「好きっていうのは演技だった。でもね――キミと話をしていると楽しいな、とは思ってるよ。それに、私もなんだか落ち着ける」

「また、そういうこと言って」

「こっちは本心」


 彼女の眼差しは真剣そのものだった。


 俺はどうしたらよいかわからず、とにかく今の状況に何か変化を起こそうと考えた。チャンネルを変えようとリモコンに手を伸ばす。けれど、彼女も同じタイミングでリモコンに手を伸ばしたのを感じ取った。俺は手を止めた。彼女はリモコンを手に取った。


「ごめん。何か見たい番組ある?」

「い、いや、別に」

「そう」


 彼女がリモコンをテレビに向けると番組が切り替わった。CMが流れる画面の上部に次の番組名が表示された。これはたしか……。


「私、このドラマ好きなんだよね」

「そうなんだ」

「見てる?」

「いや、見てない。ドラマはあんまり見ないな」

「ふーん」


 味気のない会話。そして無言。CMを眺めていると、確かに色々な特徴がある。有名な音楽を使って注目を集めるもの、商品名を連呼するもの、アニメーションを使っているものなど、様々だ。


 そしてドラマが始まった。あぁ、やっぱりこれは、今話題になっている高校生カップルのやつだ。見てはいないけれど、知っている。お互いのことを全然知らない男女が、ちょっとしたきっかけでお互いを意識しだし、やがて惹かれあう。けれどもそこには様々なトラブルが……云々。聞きかじった知識だが、そんな話らしい。

 俺と同じ年代の話だ。どうにも彼女のことを意識してしまうな。

 このドラマは恋人同士ではないどころか、たった今知り合ったばかりと言ってもいいような男女が見るようなものではないはずだ。彼女は俺と見ることに何も抵抗はないのだろうか。きっとそうなのだろう。俺のことなんか意識するまでもないということだ。


 俺もここから彼女との仲が発展していくことはないだろうと考えた。もしそういう運命にあるのならば、さっきリモコンを取ろうとしたときに手がぶつかったはず。そして、お互いに「あっ」とか小さく漏らして照れる。そうやってお互いを意識するきっかけを建築していくのだ。

 しかし、俺は手を止めた。リモコンを取ろうとした俺の右手とリモコンを取った彼女の左手は触れ合うことなく、終わった。その間の距離は15センチといったところだろう。俺と彼女の仲は15センチが限界ということだ。それより近い関係にはならない。


「じゃあ俺は部屋に戻るよ」

「そう」


 彼女はドラマに熱心な視線を向けていた。俺は立ち上がった。彼女は視線をこちらに送ることすらしなかった。


 15個のCMを通じて、彼女と15センチの距離までは近づくことができた。しかし、そこまでだ。彼女と一緒にCMを見ることはもう2度とないだろう。少しさびしさを感じないでもない。居心地の悪さを我慢して、一緒にドラマを見ればよかったのだろうか。けれど、もう立ち上がってしまった。

 いや、これでいいんだ。彼女と俺は本来混じり合うことのない存在同士だ。彼女は人気があって話題になることも多い。一方で俺はクラスであまり目立たない男子の1人に過ぎない。


 俺はもう1度彼女の綺麗な横顔と黒髪を見て、それから背を向け、ゆっくりと去った。

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