第三章16話:喧嘩 - Two of debate -



「うーん、まぶし……」


 ―――宿での晩餐から夜は明け、翌日。

 リアは顔に当たる明かりに、渋々と布団からその身を起こした。見ると外からは朝日が射し込み、辺りは既に昼間と見紛うばかりの明るさだ。


 リアがその身を起こすと、傍らには既に起き、本を読んでいるフィアーの姿がある。


「おはよう、リア」


「あ……フィアーおはよ」


 起き上がったリアは目を凝らしながらふらふらと鏡の前に向かい、その髪を櫛で解かしはじめる。

 それを認めるとフィアーも本を閉じ、自分とリアの使った布団を整え、荷物を纏め始めた。


 ……二人がフリュムに来て、やっと一日が経過した。

 昨日までは「ヘパイストス」にいたことで早起きだった二人も、宿屋での柔らかな寝具と揺れのない快適な睡眠に、思わず普段より寝過ごしてしまった。


 なにせ砂賊の船と違って、フライパンとおたまでカンカン音を鳴らして人を起こし回るエリンも、四六時中うるさいグレアもいないのだ。


 ―――そういえば、彼女らはまだこのフリュムに滞在しているのだろうか。

 どこかに宿を見つけたか、それとも『海賊ゼーロイバー』で寝ているのか……後者であれば、喧嘩しながら寝てそうだと、フィアーは内心苦笑する。


 ……だが、その内心、感情が表情に出ることはない。リアが使っている鏡を横目に、自身の身体のままならなさを、フィアーは改めて感じられずにはいられなかった。


 その時だ。


 部屋の扉から、短いノックの音が二回響いた。

 その音に、リアは髪を結びながら返事を返す。


「あ、はーい!」


「失礼致します、お食事のご用意が出来ましたので、食堂までお越し下さい」


 対して外から聞こえた声は、レイナの母―――ロサ・シュンベルのものだ。

 リアより先に起きていたフィアーは、既に食事の用意を頼んでいたのだ。あまりに起きないようなら揺らしてでも起こす気だったが、流石に起きてくれて安心した、とフィアーは安心する。


「はーい」


 リアは返事をすると同時に、髪を結び終える。

 所々に寝癖があった長髪は、いつものツインテールへと整えられる。


 その姿に、フィアーは再びあることを思い起こす。


 あぁ、やはり。


 ―――先程の髪を下ろした姿のリアは、テミスにとてもよく似ていたな、と。




 ◇◇◇



 出立の準備を終えた二人は、階段を降りて食堂へ向かった。

 どうやら他の宿泊客も起きているようで、廊下で談笑しているものや、同じく食堂に向かうものなど様々な人達がいた。


 どうやらこの宿「そよかぜ亭」は、かなりの人気宿らしい。

 思えばメインストリートに面していた宿は、おそらくここだけ。冒険者達が集うのも、ある種当然というものだ。


 斯くして二人は、食堂へと到着した。

 昨夜とは違い、何人もの他の客達が既に食事を始めている。

 厨房には主人、プラタの他にも何人も料理人がいるようで、客達の朝食を次々と準備し、並べていた。


「アーチェリー様、おはようございます。こちらにどうぞ」


 食堂に味を踏み入れると、ロサが席を案内してくれる。

 既に食卓には料理が取り揃えられていた。

 昨夜のトマト料理フルコースとは打って代わり、野菜の入った半透明のスープに、焼きたてのパン、あとは幾つかの惣菜と、あっさり目の如何にも朝食というラインナップだ。


「「いただきます」」


 声を揃えて挨拶すると、フィアーはおもむろにスープを味わう。

 複数の野菜の味がマッチした、コンソメスープのような味わいのスープ。昨夜のトマト料理のようなインパクトこそないが、それがかえって朝には良い。


「あれ、レイナちゃんは?」


 食事の最中、リアがロサに質問した。

 そういえば、確かに朝から彼女を見かけていない。食堂にもいないとなると、もしや今は外出しているのだろうか。


「あぁ、朝市に買い出しにいかせておりまして」


 得てして、フィアーの想像は的中した。

 そしてその出掛けた、という事実に、リアはあることを思い出す。


「そうなんですね……あ、フィアー、今日はどうする?」


 そう、まだ本日の予定が固まっていなかったのだ。

 そもそもはフリュムへと到着し、テミスを無事届けることこそが依頼であり、この一週間近くの目標であった。

 それが達成された今、次の目標はフィアーの願っていた大陸南部にある遺跡、トゥルース遺跡の観覧。だが、いつ向かうのか、今日はなにをするのかなどの話は一切固まっていなかった。相談できなかったのは、二人の会話のほとんどが件の新型マギアメイルの話に終始していたのが原因ではあるのだが。


「そうだな……遺跡の方に向かう前に、もう少し街を見て回りたいかな。リアはどう?」


 フィアーはそう口にする。

 遺跡に向かうのはフィアーにとって大切な目標だったが、今すぐ向かう、というほど最優先な目標ではない。

 そもそも、リアにはわざわざ着いてきてもらう形になってしまうのだから、あまり自分の意見ばかり通そうとするのはダメだろう。


 ただでさえ、マギアメイルの件で少しギクシャクしてるというのもあるが。


「うん、確かに。じゃあもう少しゆっくりして、その後に出発しますか」


 リアもそれに同意し、二人の行動指針が定まる。


 ―――だが、その時。


「……あの、遺跡というのはもしや、トゥルース遺跡のことですか……?」


 傍らで仕事をしていたロセが、ふと話しかけてきた。

 その表情は浮かなく、その怪訝な感情が「トゥルース遺跡」という単語へと向けられたものであることはすぐわかった。


「?、えぇ、そうですが……」


「あそこに行くのは、あまりオススメできないかと……実は最近、あそこらは治安が悪くなっておりまして」


「魔物ですか?」


 ロセのやんわりとした静止に、リアは問いを返す。

 ―――魔物が古代遺物付近を巣としてしまい、人の立ち入りができなくなってしまう。

 そんなことは、この世界ではよくあることだった。


 ワルキア近郊の鉱山や森林が魔物に占領された、なんて話はリアも王都で聞いたことがあったし、今回の話もそんなことだろうとリアは思ったのだ。


 だが、ロセはリアのそんな言葉にふるふるとその首をふる。

 そして少し言いづらそうに、声を潜めるように告げた。


「……いえ、人です」


「人?」


「―――この国の帝都防衛隊、それが徒党を組んで、遺跡近くに籠城しているのです」



 ◇◇◇





「魔龍戦役前、この帝都には屈強な守備隊がいたのです。当然国民達も彼等を信じ、尊敬の念を持っていました」


 ロセは静かに、そう話す。

 老若男女問わず、慕われていたという帝都防衛大隊。精鋭揃いのその部隊は、都市近くに敵や魔物が出没すると、その御旗を掲げながら出陣し、その悉くを殲滅し帝都へと凱旋したという。


 だからあの日―――帝都に魔物が流れ込んだあの夜も、当然護ってくれる。


 ―――誰もがそう期待し、思い込んでしまった、と。


「……ですが、あの魔物が襲いきた夜、守備隊達の出動は遅れに遅れました。挙げ句の果てには、皇帝命令とやらで帝城周辺のみに留まって防衛を始める始末で……」


「国民達からの支持を失った、と」


 果たして、臣民を護ることが使命であったはずの防衛隊が出撃したのは、城門が破られ民が食らわれ始めたその最中のことだった。


 帝城の格納城壁を割り現れたのは、十数機のマギアメイル。

 その偉容に、出動が遅れたことに憤ってすらいた者たちも、思わず期待をした。


 ……詮なきことだ。


 自身らの命の危機。その最中に現れた救いの手に、歓喜しないはずはなかった。


 ―――だが、帝都から現れた魔動鎧達は、その背中に聳える巨大な帝城を離れることはしなかった。

 防衛陣を敷き、魔物を―――人すらも、帝城へと侵入できないようにしたのだ。


 そしてその結果は、周知の通りだ。


 結局帝城の護りは雪崩の如き魔物の海に飲み込まれ瓦解。皇帝に連なる家系の者たちは、一人残さず軒並み魔物達の生餌と成り果てた。


 国は滅び、帝はその命を散らし、民もまたその命を天へと還した。

 ……彼等の取った行動は、その悉くが意味を為さなかったのだ。



「その後前線から救援にきたフリュム軍とワルキア軍の活躍によって都はどうにか原型を留め、命を繋ぎました。ですから、私たち帝都に残る者たちは皆、ワルキアの方々に深く、感謝をしております」


 ロセはそう口にすると共に、食堂の端の方に座る男女へと目配せし、会釈する。


 男女は片方が少し年上くらいであろう美しい金髪の青年、もう一人は灰にも近い白髪の少女。


 ―――その少女をみた瞬間、フィアーは少し違和感を覚えた。


 なんだろうか、この親近感は。

 まるで自分自身とシンパシーを感じるかのような、そんな感覚。


 相手方も同じような感覚に襲われたのか、怪訝な顔をしながらもぱたぱたと手を振ってくれた。


 ―――話の流れからすると、彼らはワルキアの騎士なのだろう。

 そこに思い至り、フィアーは思考を目の前の会話へと向け直した。


「……ですが彼等は、自分達を差し置いてワルキアの騎士が帝都を救い、統治をしていることに我慢がならないらしく……」


 ロセは情けない、といったように手を額に当てる。

 それはそうもなるだろう、とフィアーは思った。


 自国を助けてもらったというのに、その事に感謝すら覚えず離反し賊へと身を落とした元英雄達。

 ワルキアに暫定支配される現状に不満があるのは当然の事とは思うが、それにしてもやることが違う。


「離反して、勝手に遺跡を根城にしてるなんて……」


「はい、そんなわけで南方へ向かうのはあまりオススメが出来ません、お客様の身になにかあったら事ですし……」


 そんなところで、フィアーは話が落ち着いたのをみて、思案する。

 話を聞く限り、その遺跡付近を根城にしているマギアメイルの一団は相当な手練れだろう。

 帝都襲撃の折に何があったのかは分からない。だが、前後の話を聞く限り、決して非力な集団なわけではなく、精鋭揃いのエリート達であったのは間違いない。


 そんな部隊が何故、襲撃の際にそのような選択を取ったのかは分からないが、少なくとも侮って生き残れる相手では間違いなくない。


 そのような相手が根城とする、遺跡。

 そこに「運送屋」一騎で踏み込むというのは、流石に無謀ですらなく、話にもならないだろう。


 なにより。


「……」


 話を聞いて、神妙な顔をしているリア。

 彼女を、そんな危険な場所へと踏み込むのに巻き込む訳にはいかない。




「……ご忠告、ありがとうございます。ちょっと考えてみます」


 だからフィアーは、選択した。



 ◇◇◇




 宿を出て、数分。

 二人はフリュム帝都の煉瓦造りの道を、ゆっくりと歩いていた。


 そこに会話は、暫くなかった。

 リアからすれば、それはただ気まずさからの沈黙だった。

 散々フィアーが行きたがっていたトゥルース遺跡。記憶の痕跡があるかも知れないその場所に、行ける可能性はついさっき断たれたばかりだ。


 正直、かける言葉もない。

 ……だけど、これ以上の沈黙が続くのは、尚のこと嫌だった。


「……フィアー、遺跡に向かうのは厳しそうだね」


 リアは不意に、そう話を切り出した。

 もう少し気の効いた話題にもしたかった所だが、如何せんこのタイミングで話せることなど渦中の遺跡以外にはなかった。


「……」


 それに対し、フィアーはひとたび沈黙する。


 ―――彼の中で、既に答えは決まっていたのだ。


「いや、まだ手はある」


 フィアーはそう言い、これから向かおうとしている先を見る。

 その視線の先は騎士団詰所とは別の方角―――そう、エンジがいた工場だ。


「えぇ?何を……ッて、まさか!」


 そして、当然リアもフィアーの考えに気づく。

 その無謀な考え。リアが、最も取ってほしくない選択を。


 ……フィアーが考えた、最適解はこうだ。

 まずはエンジ・ヴォルフガングが造った新型マギアメイルを受領する。そしてその機体で反乱軍の勢力圏を突き抜け、一気に遺跡まで到着。


 反乱軍が睨みを効かせている相手はあくまでも帝都と、そこに駐留するワルキアの騎士団だ。

 民間機の術式識別を出している機体にそこまで執心するはずがないし、機体性能によってはそもそも気付かれずに通り抜けられる可能性だってある。


 もちろん、危険がないではない。

 だけれど、少なくとも到着できない恐れはほとんどないはずだ。エンジ・ヴォルフガングの手の入った機体の有用性は、今までの搭乗歴で十二分に理解している。自身の命を預けるに足る性能だと、間違いなく信じられる。


「エンジさんの、あのマギアメイル。あれさえ在れば、問題なく遺跡まで着けるはず―――」


「だから!ダメだっていってるでしょ、あんなのに乗るなんて!」


 だがそんな作戦は、リアの叱責の前にはにべもなく却下された。

 彼女はフィアーの身の危険をなによりも案じていた。

 もしも彼の身になにかあったら、心配で夜も眠れないだろう、と彼女は思う。

 だからそれが、反対の一番の理由だった。


 ―――だが、そんな心配の気持ちは残念ながらフィアーには完全には届かなかった。

 むしろその全力の否定は、かえって彼が元来持つ意固地さを、余計に引き出す結果となった。


「……リアがなんと言おうと、ボクの気持ちは変わらない。あれしか記憶への糸口がないのなら、ボクはそこにすがるしかない」


「それに危ないから、リアには無理して着いてきて貰いたくはないよ……むしろテミスの件だって落ち着いたんだから、リアにはワルキア王都でゆっくりしていてほしい」


 それは、フィアーが素直にリアの身を案じた提案だった。

 リアの言うとおり、言葉以上に危険のある行為であることは間違いない。そのことは、フィアーだって当然重々承知している。


「なに、それ……」


 ……だが、その迂闊な発言はリアはヒートアップさせてしまうのに、十分すぎる種火だった。

 手を震わせ、俯くリアはばっと顔を上げ、声を振り絞る。


「わたしが、居ない方がいいってこと……?」


 顔を上げたリアの目には、小さな涙が浮かぶ。


「……違う、そうじゃない。でも、危険があるっていうなら、リアだけでも―――」


 その只ならない様子に、流石にフィアーは慌てた。

 ええい、自分の言葉下手と無表情さのせいで、またも要らぬ誤解を与えてしまった。


 そう考えたフィアーはどうにか誤解を解こうと、弁明を並べ立てる。


 ……しかしその必死な様子は、かえってリアの中に燻っていた火種に、油を注ぐ結果にしかならなかった。


「……記憶なんて、なくたっていいじゃない」


 ―――だから、ついに爆発した。


「!、なにを……」


「こうして一緒に過ごせている、それだけでいいじゃん!過去なんて……」


 リアは胸の内を、ありのままに吐露する。


 ……思えば、当然なのだ。


 リアにとってのフィアーとは、記憶を喪っている今の彼が全てだ。

 勿論彼が喪失した記憶を取り戻したいと思う気持ちは、とてもよくわかる。その一点に限っては、リア以上にその気持ちを理解できる人間はこの世界にはそうはいないだろう。


 だが、だ。

 彼女としては、今のフィアーが側に居てくれれば、それだけで嬉しかった。

 孤独に過ごし、ただ仕事のみに邁進して生きてきた彼女にとって、フィアーは大切な義弟―――否、それ以上の存在になろうとさえしていた。


 だからこそ思ってしまう。

 その記憶というものを、無理に身体を危険に晒してまで突き止めるべきものなのか、と。



 ―――だがその言葉は、今度はフィアーの中の一線すら踏み越えてしまうものだった。


「過去、なんて……?」





「……リアは産まれてきてからの記憶がずっとあるから、そんなことがいえるんだ」




「―――ッ」




 ―――リアの顔もまた、「やってしまった」、とばかりに目を見開き、固まる。

 そしてフィアーもまた、自身の失言、ともすれば暴言とさえ取れるその言葉に、目を見開き情けない声をあげた。


「あ……」



 結局のところ彼等偽物の姉弟は、お互いに、お互いの一番触れてはいけない地雷を踏んだのだ。


 ―――そして似た者同士の偽姉弟は、そのことにお互いが傷付いてから、気付いてしまった。




 数秒流れる、あまりにもきまずい雰囲気。

 だが今さら、発言をなかったことになどできない。お互いが聞き届け、反応をしてしまった以上にはその影響は永劫、二人の間に響いていくことになる。



「……ごめん、リア。言葉が過ぎた」


「うぅん……わたしこそ……」


 だからこそ二人は、お互いに素直に謝った。

 お互いの意見と関係を尊重するスタンスの二人としては、謝らずにこのままずるずると話を引きずることをよしとは出来なかったのだ。



「……でも」


 だがリアは、「でも」、と口にする。


 無神経に怒りの琴線に触れたことを謝りはした。だがそれは、それまでに持っていた意見までもが変わるということでは決してないのだ。

 だからリアは先ほどまでと同じく、新型のマギアメイルに乗るというフィアーの決断を、重ねて否定する。説明と、代案を交えて、丁寧にだ。


「やっぱり私はあのマギアメイルに乗るのは反対。だったらやっぱり、騎士団のところにいってブランさんにマギアメイルを借りられるか聞くほうが先だと思う」


「……」


 ……正直なところ、フィアーも譲りたくはなかった。だが、リアの言は確かに正論ではある。包囲網を抜けるだけで交戦しないのであれば、オーバースペックな機体など必要ない。

 ましてや『騎士ナイト』はエンジによる改修も入った十二分に高性能な機体。それを差し置き、危険性の高い機体に乗るなというリアの意見はもっともではある。


 でもフィアーは、あの機体に乗りたかった。

 何故だろうか、地下で機体を目にしたその瞬間から「あれに乗るのはきっと自分だ」、という変な確信があった。


 そしてその感覚は今でも自身のなかに渦巻き、この喧嘩じみた議論の発端にさえなってしまったのだから、笑えない。

 フィアーは、内心で自分の意固地さを少し反省する。



「……遺跡近くにいるっていう反乱軍のことも聞けるし、丁度いいか」


 だから、ここはリアの意見を取り入れることにした。

 なんということはない。このまま拗れて、この大切な義姉と喧嘩別れするくらいならと、少し譲歩をすることを選択しただけ。


「わかったよリア、先に騎士団の詰所まで、一緒にいこうか」


「……うん!」


 だがその返事は、リアが機嫌を直し涙目ながら笑顔を浮かべるにじゅうぶんなものであった。


 斯くして、一触即発の事態を回避した二人は再び、騎士団宿舎へと向かった。

 正直、高価なワルキア王国騎士団専用マギアメイルである『騎士ナイト』がまた貰える保証は、一切ない。


 だが、話を聴ければ自ずと活路は開ける。

 言うだけ無料、とはよくいったものだと、フィアーは内心でほくそ笑む。




 そんなこんなで二人は、連れ立って街路を歩いて行くのであった。


 ―――その目的地から、また一つの動乱が巻き起こるなどとは、夢にも思わずに。



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