MANS

神父SON

第1話 ヒーローになれなかった者達の悲劇の巻

 テレビで一度は見たことのあるヒーロー達が住む星。ヒーロー星。脚光を浴びるヒーローはほんの一握りで、大抵の住人は人気ヒーローの下で雑用をこなし一生を終える。人気ヒーロー達は今日も惑星間を飛び回っていた。


 「あぁ、なんで俺主人公になれないんだろう・・・」

 そう言ったのはワンダフルマンである。ウルトラマンに乗っかって一躍有名になろうと出てきたが、一度もヒーロー新聞の誌面に載ることなく、今ではウルトラマンの雑用をこなしながら無駄に時間を消費している。悲しき男である。

 「それはな、俺達が弱いからだ」

 ワンダフルマンと会話をしているのは仮面マンである。彼も同様に仮面ライダーに便乗して出てきたが、「まじ、仮面キモい」や「死んで、仮面マン」「仮面外したらプレデター」などの心無い言葉に意気消沈し、今では仮面ライダーの下で雑用をこなしている。


 彼らがいるのはヒーロー星の路地裏である。メインストリートの喧騒から外れた路地裏は、彼らのような日の光が当たらないヒーロー候補生にとっての唯一の居場所と言える。

 「強くなるやつなんて才能だろ。俺らは才能に恵まれなかっただけ。それだけ」

 「努力もしないやつが何言ってんだか・・・」

 ワンダフルマンが視線を下に落としたときだった。

 

 「おい、お前こんなところで何をしてんだ。いつもこんな辛気臭い場所に居やがって」

 ビルの間を飛んで姿を現したのは、ワンダフルマンの憧れたヒーロー『ウルトラマン』だった。

 「これ持て、これ」

 ウルトラマンが小さなバッグをワンダフルマンに渡す。バッグの中には数え切れないほどのコンドームが入っていた。また、これを使ってお金を稼いだのか・・・言葉にしないがワンダフルマンは目に見えて落胆する。自分の憧れたヒーローは今や犯罪に手を染めるまでになってしまっていた。自分が憧れたヒーローの姿は既にそこにはなかった。

 「じゃあ、仮面マンまた後で」

 「おう、またな」

 こう言って立ち去ることが当たり前になってきている。

 「おい、早く来い」

 ウルトラマンの声で現実に戻され、とぼとぼと後をついて行く。

 そうして今日も雑用業務を一日こなして一日が終わった。


 

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