お人好し探偵の娘

@taeyri

第1話 入学式

とある建物の入り口には、1人の少女が立っている。恐らく新品であろうスーツをまとい、鞄を持っている。

「よし。」

彼女はそう呟き、建物へと入っていった。入り口横の看板には、このように書いてあった。

“K大学入学式”


建物の中は人で溢れていた。彼女は誘導に従い、席に着く。サークル紹介のチラシを眺めていると、隣に女の子が座り、話しかけてきた。

「初めまして。黒木 渚って言います。よろしくね。」

「川瀬 凛です。こちらこそ。」

「凛って呼んでいい?私のことは、皆は“なぎ”って呼んでる。」

「もちろん。じゃあ私もなぎって呼ぶね。」

「うん!よかったー。友達が出来て。工学部の機械工学科だから、女子が少ないでしょ。だから、友達出来るか不安だったの。」

その時、式の開始のアナウンスが流れ、2人の会話は、一旦終了した。式が終わり、2人は連絡先を交換して別れた。

凛が自分の住むアパートへ帰る途中、スマホが鳴る。ディスプレイには、〔優〕と表示されている。彼女は電話を出ないで切り、アパートへの道を進む。アパートへ着き、時間を確認すると、5時だった。彼女は部屋着に着替え、料理をしようとした時、またスマホが鳴った。ディスプレイには、〔夏子〕と表示されている。今度は電話に出た。

『もしもし。お母さん。』

『あ、凛ー?どうだった入学式。ごめんね、行けなくて。』

『どうって、入学式に感想なんてないよ。それに、もう大学生なんだし、入学式なんて、来なくて大丈夫だから。』

『そう?あと、東京はどう?』

『どうって、まだ3日だから、分かんない。』

『それもそうね。何かあったら言いなさいね。お父さんすごーく心配してるから。』

『うん。分かった。ありがとう。じゃあね。』

『はーい。』

電話を切り、夕飯を作る。今日はオムライスだった。彼女は食べ終え、片付けも終わらせると、パソコンと向き合い、それから夜の10時までパソコンを使っていた。その後、シャワーを浴び、眠りについた。


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