第11話

 今度は侍女たちが盆に食べ物を載せて運んできた。侍女たちは裸ではなく、頭と翼だけ出た薄い布の服を着ている。


 やれやれ、やっと食べられる。


 ローズが串に刺さった鳥に手を伸ばそうすると、いつの間にかそばにきていた侍従らしき男に手をはたかれた。


「痛い、何で?」

「わたくしがお毒味いたします」


 男はローズたちめいめいのお盆から一つずつ何かを取って食べ始めた。そして、食べ終えると一礼して去っていった。


「ではゆうげとしよう」


 それまで片隅に座っていた吟遊詩人が立ち上がって前に出て歌を奏で出した。吟遊詩人はララミーの民ではなくマントにチュニック姿だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る