section1 突然の事ですが巨乳になりました。 part6


歩き始めてから数十分が経つと、洞窟の入口がありました。ですが 、流石アイスドラゴンがいる洞窟。入り口から冷たい風が流れてきます。だから、


「うう、少し肌寒いです……」


と、声が漏れてしまいました。でもライラスさんは


「ま、まあその格好だと仕方ないか。」


と、優しくカバーしてくれました。が、ヘンリーは


「まあアリアは気合でなんとかしてたね。僕も前寒いところに来た時に、『うう、寒い……』とか言ったら『何言ってるんだこの弱虫!こんなんでへこたれてどうすんだ!』とか暑苦しかったよ。外は寒いのに。あ、これは別に雰囲気の暑いと実際の気温をかけたわけではn」

「はーいおしゃべりはここまでーさっさと行くぞー」

「あっはい」


という風にうるさくなったのでライラスさんに止められてしまいました。当たり前です。


洞窟の中は暗いので松明に火を灯して進んで行きます。すると、だんだん松明じゃない光が差し込む通路に出てきました。もっと進んで行くと、広い空間に出てきました。

そこは地上から見ると大きな穴になっているのでしょうか。上から光が差し込んでいて、ところどころ岩が苔に覆われていたり、どこからか小川が流れてきていました。その空間の中心に、アイスドラゴンは眠っていました。

私達は奇襲を仕掛けようと静かに武器を構えます。

が、しかし、アイスドラゴンは私達の来訪に気付いたのか、目を覚まし、私達を威嚇するため、雄叫びを放ちます。しかし、そんなのはもう慣れてます。逆にそれを期に改めて気を引き締めます


「バレたからには仕方ない。正々堂々叩き潰す!」


こうして戦いの火蓋は切って落とされました。


アイスドラゴンはいきなり冷気の球を吐き出してきました。しかし、


「ぬぅん!!」


先程とは違い、槍と大きな盾を構えたガンドウさんが身を挺して庇って下さいました。

その隙に私とライラスさんは飛び出します。


「おうるあ!」


ライラスさんは手にした光の剣、スパーダ:ルーチェで連続攻撃を叩き込み、私はファイアで弱点を突きます。


「とりあえず援護しとくよ!W(ワイド)・ブレスガード!」


ヘンリーの温かな魔法の光が私達を包み込みました。これで息攻撃もある程度軽減できます。


「よし、しっかり弱らせ、隙を見て一気にトドメを刺す!」


ライラスさんの指示通り、隙を見て攻撃をし、弱るのを待ちます。

数分後。ドラゴンは壁へと追い詰められ、さらにダメージの蓄積具合から命の危機を察したのか、先程よりも大きな雄叫びを上げ、こちらに向かって突進をしてきました。


「皆!俺の後ろに来い!」


ガンドウさんが呼ぶので、それに従い後ろに下がりました。ガンドウさんは盾を構えました。


「ガードカウンター……!」


ガンドウさんは小声で呟き、ドラゴンの様子をしっかり見つめています。そしてドラゴンは首を思いきり振り上げ、ガンドウさんに噛み付きます。

しかし、ガンドウさんはそれを見切り、盾で弾きました!さらに、


「うおおおおおおおお!」


盾で弾いた隙に強烈な突きを顔に放ちます。そしてドラゴンはたじろぎ、隙が生まれました。


「今だ、アリア!ありったけをぶち込め!」

「はい!」


私は一歩前に出て、必殺魔法の構えをとり、そして叫びます。


「くらいなさい!ストームマジック・ファイア!」


無防備なドラゴンに五連続で放たれた炎は確実にドラゴンを捉え、断末魔の叫びをあげ、ドラゴンは倒れていきました。














そう、なるはずでした。


「あれ……なんで……?」


ストームマジックは放たれませんでした。というか、出来ませんでした。


「おい、アリア何やってんだ!ドラゴン来てるぞ!」


ヘンリーの叫びで我に帰りましたが時既に遅し。ドラゴンは私に向かって思いきり尻尾を叩きつけようとしていました。


「ガンドウさんは間に合わない……ライラスは……」


絶対絶命。そう思いました。


わけのわからないまま、ここで、死ぬの……?


その考えが頭をよぎりました。私はその場でうずくまるしか、することがありませんでした。


しかし、


「勇者の護り!!」


聖なる光が目の前に現れました。


「ぐっ!!」


どうやらライラスさんが庇って下さったようです。しかし完全にはダメージを抑えきれなかったのか、少し苦しそうです。


「ライラスさん……ありがとうございます。大丈夫ですか……?」

「ああ、心配ない。すぐケリをつけるからな!」


そう言うとライラスさんはすぐに体制を立て直し、一気に飛び上がりました。その剣には、聖なる雷が纏われてました。そして、ドラゴンに渾身の一撃を叩き込む。その技の名は、


「勇者の一撃!!」


やはりドラゴンの方もぎりぎりだったらしく、その一撃で息の根が止まったみたいです。


「いやあ、危なかった。大丈夫か、アリア」


未だに腰を抜かしていた私にライラスさんはてを差し伸べました。

私はその手をとり、立ち上がり、


「はい、私こそ、心配いりません!」


笑顔で返事を返しました。

しかし、ヘンリーが水を差すかのように、私の心をえぐってきました。


「いや、事前に聞いてたとはいえ、アリアすっかり弱体化したじゃないか。ストームなんちゃらも使えないみたいだし、二段目の攻撃魔法も補助魔法使えない。まるで約立たず、無能……」

「おい、それ以上は言うなよ」


ライラスさんが真剣な表情でヘンリーの胸ぐらを掴む。


「だって、事実じゃないか」

「事実でも言っていいことと悪いことがあるだろ。少しはアリアの気持ちを考えろ。慣れない状況でもアリアは頑張ってんだ」

「へーい……」


ライラスさんのカバーで少しは落ち着きました。今回ばかりはヘンリーも思う所があるみたいです。


それにしても、ライラスさん、ここまで私の事を思ってくれていて、少し嬉しかったです。心無しかかっこよく見えてしまう……


って、この気持ち……まさか……恋……?


いやいやいやないないない。


「おいアリアなんで顔赤くなってんだ?」

「ふぇ!?べ、別になんでもありません!」

「そう、ならいいや。んじゃ、素材集めてさっさと帰るぞ。」


そういうと私たちはアイスドラゴンの素材を回収し、帰路に着きました。



その帰路の途中、私はヘンリーさんのあの台詞について考え込んでいました。あの台詞、以前にも聞いたことが……


あ、そうだ。思い出した。


『お前は無能な魔法使いだな』


あれは父の発言だ。


そして、私は過去の出来事を回想していました。


両親と険悪な雰囲気になり、耐えきれず家出して、冒険者となった、一連の過去の出来事を。


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