第3話:パラダイスへ直行

 オレは、街のATMで10万ほど金を用立(おろ)し、財布にしまった。


「よ~、金持ちジャン。奢って~有名人。」

 ヤスが待ち構えて肩を組んできた。


「バ~カ、不動産屋に払う金だよ。」

「お~、童貞くんも、やっと

一人暮らしか~。」

 おいおい、大声で言うなって

……。


「も~、やりたい放題だな~。」

 チ○コを鷲掴(わしづか)み。


「お前な~、掴むなって!」


 コンビニで缶ビールを山ほど

買った。

 両手のレジ袋には缶ビールが

いっぱいだ。


「おい、どんなトコだよ。

そのパラダイスって……?」


「童貞くんにとっちゃぁ、

天国だって、マジ~。」

 おい、街中で、童貞、童貞って

言うなよ……。

 お前にはデリカシーってモノが

ね~のか。


「ビールと酒の肴(さかな)

ばっかジャン。」

「ったり前だろ~。手ぶらじゃ、

行けね~だろ。礼儀だよ。

礼儀!」


「お前に礼儀なんかあんのか……

。ったく、」

 ちょうどキャバクラの看板が

目に入った。

「まさか、キャバクラじゃね~

だろうな……。」


「ケッケケ、そんな下手な

キャバクラより

美女揃(びじょぞろ)いだぜ~。」


「どんなトコだよ。それ……。」

 逆の意味で怖いぜ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る