　遥か昔、まだ人類が地上でその文明を築いていた頃。それは突如として現れた。

【鋼魔病】

　身体のありとあらゆる部分が漆黒の様に黒い鋼へと変貌していくウィルス性の感染症。その鋼は変幻自在に形を変えることができ、金剛石（ダイアモンド）よりも堅い。そして頭部を侵食されその瞳を紅く光らせた者は例外なく、人を襲う怪物と化していった。

　どういった経緯で現れたのかは不明、感染経路も不明。ただ一つ分かっていたのは、人間以外には感染しないことだけだった。それは瞬く間に世界全土へと蔓延し人類を滅亡へと追いやっていく。

　そして、人類はその存亡をかけたある計画（プロジェクト）に着手した。

【新天地建造計画（プロジェクト・エデン）】

　──鋼魔病とは、大地を穢した人間への罰である──

　誰かが唱えたこの言葉に、ある財団が反応して総力をあげて実現させた。滅びゆく人類の希望を背負った浮遊都市（フロンティア）の完成である。

　そして、奇跡的にも浮遊都市内での鋼魔病罹患（りかん）率は激減した。

　こうして人類は滅亡を免れた。多くの犠牲を払いながら、漆黒の骸の上に新たなる文明社会を発展させていった。

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