第五章
翌日の午前二時、俺は約束の場所へ向かうことにした。
新校舎ができた今、使うことのなくなった旧校舎。
その中で唯一入れる教室。
先日はこの教室からピアノの甘く切ないメロディが聞こえていたが、今日は聞こえない。
物音どころか、人の気配すらしないのだ。
「おかしいな、ハルと待ち合わせたのはこの教室のはずだけど……」
不思議に思いながら教室の扉を開ける。
旧校舎の扉はカラカラと乾いた音をたてて開いた。
しかし、そこには誰もいない。
「ハル………いるんだろ?」
問いかけるが、返事は返ってこない。
どこかに隠れているのかと思い、ハルが隠れられそうな場所を探す。
机の下、ロッカー、掃除用具入れ。
ピアノの下……やはりどこにもいない。
ふと、ピアノの上を見た。
そこには、きれいな便箋がある。
そっと拾い上げ、宛名を見る。
シグレヘ。
これは、俺に宛てられた手紙らしい。
字体が 昨日見た日記と同じ。
これは、ハルが俺に宛てて書いた手紙。
恐る恐る、手紙の内容を確認する。
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