第四章

葵 晴………あおいはる。

ハル。


その名前を見た瞬間に、この日記はハルのものだったのかと理解した。

それに、自身で命を絶ったという文。

つまり、ハルは生きていない。

幽霊ということになるのだろうか。

ふと、ハルと出会った日のことを思い出す。


『ねぇ……僕と友達になってよ』


微かな孤独感を抱えた藍鉄色の瞳。

中性的な声。

普通の人間にしか見えないのに、彼はもう死んでいるという

なぜ、ハルは命を絶ってしまったのだろうか。

ハルについてわかると同時に、疑問も生れた。


しかし、ハルについてはある程度理解した。

・本来ならばこの世にいないはずの人物。

・未練があって、幽体で屋上にいる。

・見える人と見えない人がいる。


人間、命がけの時に言動や行動にでるのは一番大切なことだという。

彼の未練は……?


「とりあえず、いまはこれだけわかれば充分だよな……」



あとは、本人に聞けばいい。

答えてくれなくてもいい。

俺はハルが何者でも友達でいたいと思っている。


早く、早く夜になれ。

そう思っていたが、その夜はなかなか寝付けずにいた。

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