第6話
(6)
海岸で西を向いて歌っている人を取り残して、僕の意識は軽々と海を越えます。あれは対馬です。釜山からソウル。平壌。大連。北京。ウランバートル。国境を歌声のリレーは軽やかに超えて行きます。人々は仕事の手を止め、あるいは止めないで歌声を西へ届けます。
これはきっと地球の自転速度な様な気がしてきましたよ。何があったのか知らないけれど、この時代の人はこうして歌声を西へ西へと届けながら暮らしている様です。ちょっと南下してインド亜大陸を目指します。ひょいひょいのひょいと。
ガンジス川のほとりも。パキスタンはカラーチと言う港町。アフガニスタン。もっともこの時代は国際情勢がどうなっているかなんてわかりっこないです。もしわかってもこの場でお伝えすることは出来ません。イラン。トルコから、ルーマニア。ハンガリー。ドイツ。フランス。地球はこの時代も丸く、自転はちゃんとしています。スペイン。ポルトガル。モロッコ。歌声は鳴り止みません。トゥーーーーーーーー
一人一人がトゥーーーーーと歌う時間は計ってないからわかりませんがおそらく1分ほどじゃなかろうかと思います。なんせこっちは歌声リレーに負けないように飛び続けていますので、いく先々でトゥーーーーーーで迎えてもらっています。もっとも誰にも気付かれていませんが。さあ、もうひと頑張りです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます