第6話

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海岸で西を向いて歌っている人を取り残して、僕の意識は軽々と海を越えます。あれは対馬です。釜山からソウル。平壌。大連。北京。ウランバートル。国境を歌声のリレーは軽やかに超えて行きます。人々は仕事の手を止め、あるいは止めないで歌声を西へ届けます。


これはきっと地球の自転速度な様な気がしてきましたよ。何があったのか知らないけれど、この時代の人はこうして歌声を西へ西へと届けながら暮らしている様です。ちょっと南下してインド亜大陸を目指します。ひょいひょいのひょいと。


ガンジス川のほとりも。パキスタンはカラーチと言う港町。アフガニスタン。もっともこの時代は国際情勢がどうなっているかなんてわかりっこないです。もしわかってもこの場でお伝えすることは出来ません。イラン。トルコから、ルーマニア。ハンガリー。ドイツ。フランス。地球はこの時代も丸く、自転はちゃんとしています。スペイン。ポルトガル。モロッコ。歌声は鳴り止みません。トゥーーーーーーーー


一人一人がトゥーーーーーと歌う時間は計ってないからわかりませんがおそらく1分ほどじゃなかろうかと思います。なんせこっちは歌声リレーに負けないように飛び続けていますので、いく先々でトゥーーーーーーで迎えてもらっています。もっとも誰にも気付かれていませんが。さあ、もうひと頑張りです。

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