さよなら大好きな人

おイモ

さよなら大好きな人

 僕は病気です。それもどこもおかしくないような病気です。ああ、さよならをしたくて仕方ない。怖いんです。あなたが景色が記憶がすべてが怖いんです。死にたいほどに怖い。だからさよならをするんです。

 一なりAから始まり、十なりZでなくてもいいからどこかで終わらせたい。続きを考えてしまう僕が怖い。続きがあると思っている僕が気持ち悪い。妄想は妄想のままにしておくべきだ。だから僕はあなたを妄想で止めておくためにあなたとさよならをしたい。あなただけじゃない。あなたは僕の全てであったから全てとさよならすることになりますね。

 死んでしまおう。早く死にたいと思っていたんだ。十二の頃から死ぬことばかり考えてきた僕だから夢が叶うことになるのかな。理由をもって死にたい。あなたのために死にたい。大好きなあなたのために大好きなあなたとさよならをしたい。

 僕があなたを思う誠実な心はどんな人間にもありません。病気な僕しかそれを持っていないのです。僕だけが誠実であって、僕以外は立派な人間です。僕が人間でなく病気なだけ。誰が悪いわけじゃない。僕は周りとどれだけ違っていてもあなたを愛する誠実な思いを持ち続けます。だからあなたのために死にたいのです。

 こうして命が擦り切れていく瞬間にも僕はずっと大好きなあなたのことを考えています。大好きなあなたは大好きなあなたらしく大好きなあなたとして大好きなあなたでいてくれています。僕の目が見えなくなっても、耳が聞こえなくなっても僕はあなたを愛しています。誠実な僕はあなたを愛しています。

 僕の病気はもう取り返しがつきません。もう治らないのです。あなたのことをどれだけ愛していても僕は救われない。僕はあなたのことを考え続けるだけ僕は苦しくなる。僕が僕でいるためには大好きなあなたを思うしかないのです。

 あなたがどれだけ美しいか、愛おしいか、そしてその温もりがそれだけ僕を苦しめるか、あなたは知っていますか?僕はどれだけあなたに苦しめられているのか、あなたはわかりますか?あなたは僕のことをどう思っているのですか?あなたは僕を愛していますか?あなたはどこにいますか?あなたはどうして何も言ってくれないのですか?

 僕は病気です。愛しているあなたは僕のために何をしてくれますか?僕はあなたに尽くします。僕はあなたのために生きていて、あなたのために死にます。あなたの声が聞きたい。僕はあなたの声を知らない。あなたの髪に触れたい。僕はあなたの髪の長さや癖を知らない。僕は何も知らない。僕は何も知らない。僕はあなたを愛しています。あなたは僕のことをどう思いますか?

 愛しています。さよなら大好きな人。

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