4-8
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木の陰から、武装した男たちが出てきた。汚い見てくれだが、鍛えられている。無精ひげ、長髪、傷、禿、垢だらけの肌、太い指。野蛮な奴らだ。
「なんだよ」
エリオットはため息を吐く。次から次に。「奴らは?」
「怒ってるみたいだ」とアンナ。
「そういうことじゃない」
「六人いる」
「数えたのか?」
「勘でいったとでも思うか?」
「そういうつもりじゃない」
傭兵たちが武器を構える。剣、斧、槌、槍、ナイフ。
「どれも痛そうだ」
エリオットが目頭を抑えた。「眩暈がするよ。疲労が溜まってる」
「誰の使いだ?」
アンナが傭兵たちにきく。
傭兵たちは何も答えない。答える素振りすら見せない。
「友達だったか?」とエリオット。
「友達じゃなかった」
それからアンナは「先制攻撃だ」といい走り出した。
■
アンナは目の前にいた長髪の傭兵に突っ込む。長髪は剣を振りかぶるが、アンナが懐に入るほうが速い。アンナは自分の肩を、長髪の腹に押しあて、身体を浮き上がらせ、そのまま引っ繰り返す。地面で仰向けになった長髪の顔を踏みつけ、素早く剣を奪った。
「アンナ、危ない」
斧を持った無精ひげとハゲの男二人が近づいていた。エリオットは走る。
「受け取れ」とアンナ。
剣を放ってきた。
「こうなるってわかってたのに」
エリオットは早さを落とさずに剣を掴み、そのまま回転。「ふざけんな」
斧を持った無精ひげの首を刎ねた。頭が飛び、血が噴出する。
アンナはもう一人のハゲに拳をくらせて、よろけたところで頭を掴むと、首を折った。
「なかなかやるじゃないか」
首の折れたハゲを地面に放ったアンナがいう。
「昔、こういう方面の仕事をしてた」とエリオット。
剣先から血が滴り落ちている。
「お前は雑魚かと思ってたよ」
アンナが死体を跨ぐ。
「俺は死刑執行人だぞ。弱いわけないだろ」
エリオットが剣の血を払った。
「残りは三人だ」
アンナが肩をまわす。
「俺は一人だけだ。もうあと一人しかやらないぞ」
「十分だ」
対峙した傭兵たちに突っ込む。
■
五人を殺して最後の一人になった。太ったハゲだった。
「誰の差し金だ」
鼻が砕かれ、口の周りが血だらけだった。目からは戦意が消えている。
アンナは仰向けにさせた太ったハゲに跨り、胸倉を掴んで首を絞め上げる。
「く――くるし――い」と太ったハゲ。
当然だった。首を絞めている。
「すぐは殺すなよ」
エリオットがいった。
「加減はわかってる」
手を緩めた。太ったハゲは咳き込む。
「誰の依頼でここにきた?」と改めてアンナが太ったハゲの頬を叩く。
「エーリカだ。奴の依頼だよ」
太ったハゲは鼻が砕けて呼吸がし辛いのか、ずっと口を半開きで息を吸っては吐き出している。
「そんなとこだよな」とエリオット。「俺たちは奴の周りをしつこく嗅ぎ回った」
「そろそろ話すか」
アンナは立ち上がる。「エーリカの屋敷に行くぞ、エリオット」
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