麦茶と、夏の終わりのとある一夜

 麦茶に浮かぶ氷が溶けるのは、あと数分くらいだろう。

 若干濃い麦茶を氷が徐々に薄めていく。そして二つは完全に同化した。

 蝉の鳴き声もコオロギや鈴虫の鳴き声に移り変わり、徐々に空気が冷え始めてきた。それを網戸越しに感じながら、麦茶で喉を鳴らした。

 やっと、貴女を溶かせた。

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