杉三中編 宝物

増田朋美

第一章

宝物

第一章

公園を移動している杉三と蘭。

杉三「すごい人垣だね。」

蘭「何かあったのかなあ。」

と、パトカーが一台、人垣の前を通る。

警察官「まもなく、選手が通過いたします。もう少しお下がりください。」

蘭「ああ、分かった。今日はマラソン大会だ。」

杉三「マラソン大会?」

蘭「そうだよ。毎年、この時期になるとやるんだよね。杉ちゃん、危ないから、今日は買い物はやめて、家に帰るか。」

杉三「いやだよ。」

蘭「だってあの人垣を通り抜けるのは自殺行為だよ。」

杉三「そうじゃないよ。」

蘭「それに僕たちは、歩けないんだから、意味がないじゃないか。」

杉三「僕は応援したいな。」

蘭「馬鹿なこと言わないで!僕らは、マラソンなんかに縁はない。歩けないんだから、スポーツなんかとかかわっても仕方ないよ。さっさと帰って、明日買い物に行こう。」

杉三「でも、一生懸命走るんだから応援してあげなくちゃ。それのどこが悪いのさ。」

蘭「そうじゃなくて、その人垣の中に入るのが危ないと言ってるんだ。車いすをひっくり返されたらどうするの?それが僕らは一番怖いでしょ。」

杉三「ひっくり返されてもいいじゃない。僕は応援したいんだ。」

と、人垣のほうへ移動してしまう。

蘭「ちょっと、杉ちゃん!野次馬はやめろってば!」

しかし、杉三には聞こえていないらしい。

と、そこへ人垣から歓声が聞こえてくる。

蘭「ああ、選手が来たのか、杉ちゃんは大丈夫かなあ。」

しかし、怖くて人垣に入ることができない。

杉三はその人垣をかき分けて、

杉三「僕にも選手を見せて!」

しかし、蘭が言ったとおり、車いすの人間には、人垣ばかり見えて、選手を見ることはできないのだった。

杉三「僕にも見せて!」

と、かき分けようとして人にぶつかる。

男性「いってえな!車いすなのに、レースを見る権利なんてねえぞ。それより人の足を踏んずけるなよ!」

杉三「ああああ、ごめんなさい!」

と、後ろへ下がろうとするが、人にぶつかって車いすはひっくりかえってしまう。

女性「ちょっと、気を付けてよ!」

と、そこへ一人の女性が駆けつけてきて、杉三の車いすをもとに戻してやる。

女性「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」

幸い、公園の芝生の上であったので、杉三は無傷であった。

杉三「はい、大丈夫です。僕、馬鹿ですから。」

女性「安全なところに行きましょう。」

と、車いすを押して、人垣から脱出させる。そして、遠くはなれた東屋で、車いすをとめ、杉三の体についている、芝をバシバシとはらう。

女性「お着物、汚してしまいましたね。」

杉三「ああ、いいんです。洗い張りに出しますから。」

女性「でも、これ、すごく高級な着物でしょう?」

杉三「僕は大島しか着ないよ。」

女性「それじゃあ、なおさら大変ではないですか?」

杉三「そんなことよりさ、マラソン大会どうなったの?」

女性「どうなったって?」

杉三「だから、マラソン大会は誰が一番になって、誰がびりだったのかなあと。」

女性「まあ、転んだことより、それを気にするんですか?」

杉三「そうだよ。マラソンを見に来たんだもん。当り前じゃないか。」

女性「まあ、あなたって変わったひとね。車いすをひっくり返されて、怖い思いをしても、マラソンのことを気にするなんて。」

杉三「そうだよ。だって、応援してあげたいもん。僕はそのために来たんだもの。」

女性「まあ、車いすスポーツとかやっている方なのかしら?」

杉三「いや、違うけど、マラソンを見たかったの。」

女性「好きな選手でもいたの?」

杉三「ううん、ちがうよ。僕が見たいのはびりの人なの。それを一生懸命応援してあげることが、スポーツの一番の楽しみなんだ。だって、負ける人がいるから勝つ人がいるんでしょ。だから、勝つ人ばっかりたたえるのではなく、負けた人を応援してあげたい。それってへんかな?」

女性「まあまあまあまあ、、、。あなたって本当に変わった人ね。そんな思想を持ってるなんてもしかしてお寺でも行ったのかしら?まあ、でも、けがはしなかったみたいだし、よかったわ。これからは、気を付けてね。」

と、蘭がやってくる。

蘭「杉ちゃん、本当に気を付けてよ!今は芝生だったから助かったようなもので、これがもし道路とか、駅の上ならどうするの!それに人にだって迷惑かけるじゃないか。すみません、貴重な時間を。」

女性「ああ、お兄さんがいたんですか。しかもお兄さんまでご不自由でいらっしゃるとは。」

蘭「いや、お兄さんではないのです。」

杉三「蘭は、僕の友達で、お兄さんではないよ。」

女性「あら、兄弟ではないのですか?」

蘭「よく言われるけど違うんです。まあ、僕が世話をしないと、この人はどこにも行けないのは確かですけど、僕たちは兄弟ではないんですよ。」

女性「それなら、なおさら大変ですね。でも、そうやって、一生懸命世話をされてて、すごいと思いますわ。」

蘭「いやあ、どうなんだろう。」

女性「だって、これだけ変わった人を世話するのは、かなりつらいんじゃありませんか?」

杉三「変わっているというか、ただの馬鹿です。あきめくらの。この際だから、名前を名乗りましょうか。影山杉三です。こっちは伊能蘭です。杉ちゃんと呼んでください。」

女性「まあ、その顔に似合わない、硬いお名前なんですね。」

杉三「だから僕は、そう呼ばれるのが嫌いなんです。杉ちゃんと呼んでもらったほうがずっといい。」

蘭「お礼をしたいので、お名前とご住所教えていただいてもよろしいですか?今回杉ちゃんが、こんな迷惑をかけてしまったから。」

女性「ああ、羽生ゆき子と申します。」

蘭「失礼ですけど、どのような字を書くんですか?」

女性「羽二重の羽に、生きるで羽生、ゆきは平仮名で子供の子です。」

蘭「羽生ゆき子さんね。あれ、はにゅうゆきこ、どっかで聞いたことがあった名前だな。」

ゆき子の目が一瞬妙な動きをする。

ゆき子「まあ、私もよく言われるんですよ。でも、字が違いますから、気にしないでください。」

杉三「ちょっとまって。」

ゆき子「は、はい、なんでしょう?」

杉三「何に似ているの?」

ゆき子「ええ、職場でいわれるんです。同じ名前だねって。でも、違いますから気にしないでください。」

杉三「職場ってどこ?誰と同じ名前なの?」

蘭「杉ちゃん、あんまり根掘り葉掘り聞くのはよしなよ。すみません、この人は、すぐに他人の言うことに首を突っ込むので、、、。」

杉三「待ってよ、蘭。ちゃんと聞いてから帰りたい。蘭だって聞いたことのある名前なんでしょ?。足の悪くて、運動が大嫌いな蘭が覚えている名前なんだから、相当有名なはずだよ。」

蘭「そうけど杉ちゃん、あんまりそうやって、人のことを聞きたがるのはよくないよ。第一、聞いたって、僕らに何も得することはないでしょうが!」

杉三「いや、ちゃんと聞いてしまわないと気持ち悪くて仕方ないんだ!」

蘭「さっきは、ああやってマラソンを見ようとして、今はこうやって他人に迷惑かけていることも気が付かないとは、本当に困るなあ、、、。」

杉三「だって、かわいそうなんだもん。」

蘭「かわいそう?」

杉三「うん。きっと、その人となまえが同じだから、いろいろつらいことがあったのでしょうよ。名前が同じことでいじめられた人はほかにもいるじゃん。」

蘭「杉ちゃん、、、。」

杉三「きっと、この人も、そういう経験をしたんだ。顔を見ればすぐわかるさ。」

ゆき子「いいわ。」

蘭「いいわって、言わなくていいんですよ。単に杉ちゃんがこうして知りたがってしまうのは、病気の症状以外なんでもありません。だから気にしないでください。」

ゆき子「杉ちゃん、でいいのかな。」

杉三「いいよ!」

ゆき子「その通りよ。」

蘭「その通りって何が?」

ゆき子「お二人とも時間あるかしら。少し来てもらいたいところがあるの。」

杉三「いいですよ。こんな馬鹿な僕でよければなんでも聞くよ!」

ゆき子「じゃあ、来て頂戴。この公園では誰かが聞いているかもしれない。」

杉三「人が聞いたらいけないんですか?」

ゆき子「そうよ。まだ、誰にも話していないから。」

杉三「わかったよ!」

ゆき子「じゃあ、ちょっとこちらにいらしてください。」

と、彼の車いすを押していく。

蘭「杉ちゃん、聞いたのはいいけれど、他言しないようにね。」

と、二人の後をついていく。


三人は小さな喫茶店に入る。

ゆき子「こんにちは。新しいお客さん。」

髪の真っ白になったマスターが、二人のほうを見る。

杉三「こんにちは、影山杉三です。こっちは、僕の親友の伊能蘭。杉ちゃんと呼んで下さい。」

マスター「どうぞ、ゆき子さんのお友達なら大歓迎です。まあ、お好きなお席にどうぞ。車いすさんだから、席をどかしたほうがいいかな。」

杉三「はい。」

蘭「すみません、杉ちゃん、すぐ調子に乗るんだから、、、。」

ゆき子「ここに座って。」

二人は一番奥の席に向かう。マスターが、椅子を二つ移動させる。

ゆき子「じゃあ、始めようか、私の身の上話。」

マスター「やっとそうやってしゃべれる人を探してきたのか。」

ゆき子「ええ。やっとね。マスターもこれで心配しなくていいよ。」

マスター「よかった。」

蘭「どういうことですか?僕らがそんなに重要なんでしょうか?」

マスター「ああ、今までさんざん聞かされた話をやっと他人にしてくれたからね。」

蘭「それほど重大とは、、、。」

杉三「それならなおさら話したほうが楽になるよ。僕は馬鹿だから、何でも聞くよ。」

ゆき子「じゃあ、話すわ。私、本名は羽生雪子なのよ。戸籍上はその名前なの。今、改名の手続き中。わかるわね。羽生雪子と聞けば。」

杉三「わからない。だって僕はあきめくらだもの。なんで名前を変えるの?名前って、素晴らしいものだと思うけど?」

雪子「文字を読めないのかもしれないけど、テレビは見るでしょう。ほら、この顔で私がわからない?」

と、長い髪を手で束ねる。

蘭「あ、やっぱりそうだったんだ!」

杉三「わからないよ!僕、テレビは大嫌いだから、一度も見たことないもの!どうして隠す必要があるのさ!」

雪子「蘭さんはわかる?」

蘭「わかりますよ。羽生雪子さん。十二年前に、マラソン大会で優勝して、大スターみたいになった人だ。あの時は、テレビのコマーシャルにも出てたし、スポーツ選手でありながら、女優みたいなこともやってましたよね。でも、次のマラソン大会には出場せず、忽然と姿を消してしまった。そうですね。」

雪子「そう、その通りよ!あなたは、きっと視聴者を裏切ったダメな芸能人としか見ていないでしょうね、私を。多くの人はそう思ってるって、みんな言ってたわ。」

蘭「一体どうしたんですか?あの時、マラソン大会を突然棄権して、それ以来、二度と選手としても芸能人としても姿を見せなくなってしまった。それが、もう改名してしまうとは、

きっと何か重大なことがあると思うんです。」

雪子「ええ。私は、もう、マラソン選手ではなくなってしまったから。あのマラソンの直後に、足が悪くなってしまって、マラソンに出場できなくなってしまったんです。栄光をもらったのは一度きり。だから、もう、普通の人間になろうって決めたけど、世間はそうはいかないんですね。いろんなところに就職しようと思ったんですけど、羽生雪子である以上、奉公口など見つかりません。だから、髪も伸ばして、名前を変えて、そうして生活していこうって思ってるんですけど、でも、もうこの顔を誰にも知られてしまっているから。公園の掃除くらいしかできないんですよ。」

蘭「ああ、なるほど。だからマスターにそれを話していたんですか。でも、そういう気持ち、わからないわけでもないですよ。僕も、歩けなくなったのは、後天的なものだから、歩けたころのことが忘れられないということは結構ありますし。できればもう一度歩ける体になりたいなあって、思ったこともあったけど、できないですしね。ああ、なんで人は生きてるのかなって、思ったこともなかったわけではありません。だから、僕は批判したりはしませんよ。」

雪子「羽生雪子である以上、私は普通の人間にはなれません。私は、人並みに生活するには、選手としてやっていたことを全部捨てる必要があるのです。でも、それを捨てれないのもまた私なのであって、そこの葛藤で今悩んでますね。」

杉三「だから僕、テレビを見るのは大嫌いなんだ。テレビってさ、いいところばっかり映して、ほかのことは全く伝えないからさ。僕はあえて、ほかのところを映してから、良いところを映すべきだと思うんだよね。映画なんかも嫌。きれいな人ってのは、汚い人がいるからいるわけだからさ、そっちを優先させてから奇麗な人を映すべきだと思うのに。でもさ、奇麗なひとは、一度そうなってしまうと、意識を変えることがなかなかできなくなるのも、また事実みたいだね。」

蘭「杉ちゃんのテレビ嫌いは、単に文字が読めないだけじゃないのか。」

杉三「うん、みんな理由があるんだよ。」

雪子「そういう概念を持ってる人を初めて見たわ。」

杉三「だからね、テレビというものに出るってのは、単に企業のやりたいことに利用されるだけだと思うんだよね。でも、多くはその被害には気が付かないよね。ほんとはガツンと言いたいけれど、それもできないよね。だから、改名しなくてもいいし、髪も切っていいんじゃないの?僕は、素直な姿で出ていたほうがいいと思うよ。だって、雪子さんが悪いわけでもないんだから。」

雪子「そうね。贅沢なのかもしれないけど、私、マラソンをやめてからいくところがなくなってしまったの。だって、どの企業に応募しても、マラソンをしたんだら、その関係のほうに行けばいいじゃないかしか言われないのよ。私が、足が悪くなってもうマラソンにかかわれないっていくら言ってもああいうところは通じないのよね。だから、私、なんでマラソンをやっていたんだろうなって、今思うとすごく後悔してるのよ。だって、マラソンが好きだったから、そのために忠実に生きたのにそれのせいで、居場所をなくしてしまったのだから。まあ、こんな贅沢はやってはいけないのかと思うけど、、、。でも、時折思ってしまうのよね。」

蘭「そうですねえ。なんとなく気持ちはわかりますよ。僕は、刺青の展示会に応募しましたが、それのせいで結局体をダメにしてしまった。現在も少しは続けていますが、以前のように長期間彫ることはできなくなりましたからね。まあ、できるからいいじゃないかと言われればそれまでですが、でも、なんでこうなるのかなって考えたことは山ほどありましたね。」

杉三「でも、蘭はそのおかげでアリスさんと結ばれたじゃないか。だから、そうなるって言ったって、必ず得るものはあるんじゃないですかね。僕は、馬鹿だからそう思いますけど。

どうなんでしょうか。」

雪子「そうかしら、私が何か得られるものがあるかしら。」

杉三「今は、それがまだ見えてないだけじゃないかなあと思いますけどね。なんか悲惨な人生だったかもしれないけど、教訓というものは得たんじゃありませんか?次に失敗しないようにするためにさ。」

雪子「次なんて、私は残りの人生、マラソンにかかわることはもうできませんよ。蘭さんのやってることは、体を使うことじゃありませんから長続きするのでしょうが、私のような運動選手は、もう、体が商売道具みたいなものですから、それが壊れたら、他にできることは何もないんですよ。」

杉三「でも、体があるでしょ。口もあるでしょ。」

蘭「杉ちゃん、何を言いたいんだ?」

杉三「どうやったらマラソン大会で一番をとれるかは知ってるでしょ?」

蘭「あんまり頓珍漢なこと、、、。」

杉三「頓珍漢じゃないよ。だって実際、マラソン大会で一番をとってるんだから、そのためにはどうしたのか伝えられるでしょ。」

蘭「ああ、コーチにでもなれと?」

杉三「自分がマラソン大会で走れなかったら、代理の人に走ってもらったらどう?体が不自由だったら、余計に思いを伝えられると思う。そして代理の人にもしっかり伝わると思うよ。」

雪子「でも、私、教えてあげられる人もいないし、実業団もやめてしまったし、、、。」

杉三「僕思うんだけど、走るって実業団とかいるのかなあ。難しい技術とか要るかなあ。

走るって誰でもできるスポーツだと思うけどね。体が健康でさえあれば。だって、マラソンをするお年寄りもたくさんいるし、、、。そういう人たちに伝えていくことはできない?」

雪子「でも、選手を養成することは私には、、、。」

杉三「楽しむってことを提供するプロになってもいいんじゃない?」

雪子「つまり、一般の人に?」

杉三「そうだよ。」

蘭「杉ちゃん、でもさ、そういう人にはもったいなさすぎる人だよ。この人は。」

杉三「でも、マラソンを求めている人はいっぱいいるよ。ボストンマラソンのように一般の人が、プロの選手と同じコースを走るマラソンもあるでしょうが。」

蘭「それはアメリカでしょ。」

杉三「そうかもね。でも近いものはあるよねえ。それに、これからマラソン選手になりたいっていう子供もたくさんいるよねえ。そして、その選手が走ってるのを、一生懸命応援したい人もいるよねえ。」

蘭「杉ちゃん、どうしてそんなにひらめくんだ?」

マスター「いや、いいぞ、杉ちゃん。君の発言は最もだと思う。雪子さんも自分に素直になったほうがいいよ。さんざん居場所がないといって泣きついてきたのを、初めて聞いてもらったんだから、少しは応えてあげたらどう?」

雪子「マスターまでそんなこと言うのですか?」

マスター「いや、もう、十二年同じセリフを言い続けているのに、こうして聞いてくれる人が現れたのは、きっと何かの合図だよ。だからそれに答えたほうがいい。それまで拒絶していたら、本当にダメな人間になってしまうよ。」

雪子「マスターまで、、、。」

杉三「だから、その思いを外へ向けてほしいな。走るって、難しい技術も何もいらないんだから。」

蘭「僕も、杉ちゃんの意見を参考にしたほうがいいと思います。」

雪子「ええ、、、。」

しばらく、店の中は沈黙が流れる。

雪子「わかったわ。」

マスターは、大きなため息をつく。

杉三「やったあ!」

蘭「杉ちゃんもこういう時には役に立つんだねえ。」

マスター「合図を見逃さず、素直に生きてね。」

杉三「きっと、マラソンをとてもとてもほしがっている人が出てくるよ!」

雪子「本当にありがとう。私の身の上話に付き合ってくれて。」

蘭「じゃあ、杉ちゃん、僕らは帰ろうか。」

杉三「うん、また来るよ。」

蘭「ここから公園に戻るには?」

マスター「ああ、近くにタクシー会社もあるから、それに乗っていくといい。番号はこれ。」

と、蘭にメモを手渡す。

蘭「ありがとうございます。」

とスマートフォンをとってダイヤルする。

しばらくするとタクシーがやってきたので、二人はそれに乗って帰っていった。











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