第28話:ハジメテ

 ダクネス視点






「あ、あまりにも静か過ぎやしないか…?」


 私たちの冒険者としての拠点、アクセルの街から約二日かけて辿り着いた、紅魔の里。

 それを見たカズマの第一声は、私が考えていた事と全く同じであるそんな言葉だった。


 紅魔の里の入り口に佇む門をくぐり抜け、その近くにあるグリフォン像を通り過ぎると、辺りには村が広がっていた。


 しかしその村は、いつも賑やかなアクセルの街と比べると、あまりにも静かすぎる場所だった。


「なぁ、めぐみん。

 この村はいつもこんな感じなのか?」


 静か過ぎるとは言っても、それはあくまで外から来た私たちの感想。

 この村にとってはこれが普通なのかもしれないと、一つの仮定を立てて質問してみる。


「い、いえ…。

 私の記憶が確かならば、この場所はもっと賑やかな場所でした…」


 どうやら私の仮定は外れたらしい。

 まあ、それもそのはず。

 でなければ、この状況は普通じゃない。


 まず、誰一人として外を出歩いていない。

 一人も、歩いていないのだ。

 もうすぐ暗くなるから、全員家の中にいるのかもしれない。

 そういう考え方もある。


 しかし、そうするとまた別の疑問点が出てくる。

 それは、どの建物にも明かりがついていないということ。

 暗くなるのだから家に入っているのだとすれば、家に明かりがついていないのはおかしい。


 これでは、村全体から人が消えてしまった、そう思っても仕方がないような雰囲気だ。


 この村には、何か異変が起こっている。

 それは、今のこの村を訪れた人なら誰でも思う事だろう。

 何故こんなことになったのだろうか?

 私たちがここに来た理由と、何か関係があるのだろうか?


 そんな事を考えていると、カズマの隣でめぐみんがポツリと呟く。


「……こめっこ…」


 それは、おそらく紅魔族であろう誰かの名前。

 響きから女性だとは推測がつくが、家族なのか、それともこの街にいる親友か何かなのか。

 私には分かりはしないが、とても大切な人の名前なのだろう。


 そう呟いためぐみんは、急に静かな村の中を駆け出した!


「アクア、ダクネス、追うぞ!」


 それは、何かを察したように叫んだカズマの声。


 それに続いて、私の中でもカズマの考えている事を想像してみる。


 おそらくめぐみんは、今呟いた人物の無事を確認するために走っているのだろう。

 ならば、もしその人物がいた時に、近くにこの状況を作り出した張本人がいるかもしれない。

 そしてそいつが、好戦的な人物だとしたらどうなるか。

 そうだった場合、爆裂魔法しか使えないめぐみんでは、その人物も巻き込んでしまうため戦うことができない。


 そんな事を想像したカズマは、私たちを連れてめぐみんを追い始めたのだろう。

 めぐみんに続いて走り出したカズマを追い、私とアクアも走り出した!






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 





 私たちより先に走り出しためぐみんに追いつくのは、そう遅くは無かった。

 何故なら、めぐみんはある場所で立ち止まっていたからだ。


 そして、立ち止まっているめぐみんの視線の先には。

 まだこの村に来て間もないが、それなりに走り回ったにもかかわらず、今初めて見つけた、明かりのついている家があった。


「はぁ…、はぁ…。めぐみん、ここは?」


 走って乱れた呼吸を整えながら、カズマはめぐみんに尋ねる。


「ここは…、私の実家です」


 という事は、先程呟いた名前はお母さんか、もしくはめぐみんの姉妹なのだろう。


 そう思いながらまた先程の建物を見ると。

 そこには、一般の家庭よりも少し貧しい家族が住んでいるような、木造の平屋が建っていた。


「じゃあ、ここにしか明かりはついてないみたいだし、お邪魔してもいいか?」


 そんな事を思っていると、カズマはめぐみんに質問をする。

 少しでも早く、めぐみんの両親から話を聞きたいのだろう。


「ええ、良いですよ」


 カズマの問いかけに、特に迷う事なく了承しためぐみんは、家のドアの前に立ちコンコンとノックする。


 やがて、家の中からドタドタと駆けてくる音が聞こえて来た。

 玄関のドアがそっと開けられ……。

 中から、めぐみんによく似た小さい女の子が現れた。


 か、かわいい……!


 そんな感想とともに、思わず顔が綻んでしまう。

 すると、その少女を見ためぐみんは。


「こめっこ、無事でしたか。良かったです。

 あなたの姉が、今帰りましたよ。

 もしお父さんとお母さんがいるのなら、呼んで来てくれませんか?」


 そう、その少女に問いかける。

 そして少女は、『分かった!』と言わんばかりに頷き振り返ると。


「お父さーん、お姉ちゃんが、男引っ掛けて帰ってきたー!」


 間違ってはいない。

 間違ってはいないけども……!


 私と同じ事を思っているのだろうか。

 カズマとめぐみんは、走り去っていく少女に手を向け、口をパクパクしながら動かないでいた。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 めぐみんの家に入ってから、少しして。


 私の隣には、カズマがいて。

 その正面には、めぐみんの親である、ひょいざぶろーとゆいゆいがいる。


 そんな私たちは、物凄く重たい空気の中にいた。


「ほら見て御覧なさいこめっこちゃん!

 ここにある一つのコップが、手を使わないでスルスルと動いていまーす!」


「わー、凄い!

 ねぇねぇ、これ、どうやってるの⁉︎」


 後ろでは、空気を読めないことには定評のあるアクアが、こめっこに宴会芸を披露してはいるが。


 つい先ほどまで私たちは、普通に会話をしていた。

 めぐみんの両親から、遠くからわざわざありがとうとお茶を出され。

 逆に私たちは、つまらないものですがとウィズの店による前に買ったお土産を渡し。

 ごく普通の、歓迎ムードだった。


 しかしそんな空気も、とある一言で一気に変わる。


 カズマの、


「さて、そろそろ本題に入りましょうか?」


 という、その一言で。


 そこから、今までには感じたことのないぐらいの重たい空気が、この場所には流れていた。


 ここで第一声を発するのは、本題に入ろうと言い出したカズマか、もしくは今回の問題の当の本人である、めぐみんだろう。


 しかしそのめぐみんは、この部屋の隅っこに敷かれた布団の中でスヤスヤと眠っている。


 まあ、それも無理はない。

 途中で体力を分けてもらったとはいえ、めぐみんは爆裂魔法を使い体力と魔力を大量に消費している。

 その上、このパーティーの中で一番しっかりしてるとはいえ、めぐみんはまだ14歳。

 二日も歩き続けたら、それは疲れも溜まるだろう。


 すると、カズマもそれは分かっているらしく。


「では、まず最初に色々と説明してもらってもいいですか?

 あの手紙の内容についてとか、あと、この村の今の状況についても知りたいですね」


 そう、静かに問いかけた。


 喋り方自体は、今までに見た事がない程に優しいものだ。

 しかしそれと同時に、カズマから感じ取れる雰囲気は、それとは全くの逆。

 もしカズマが紅魔族ならば、目が真っ紅まっかに輝いていそうなほどに感情の昂りが感じられる。


 そして、それを聞いたひょいざぶろーは。


「すまなかった。

 今回の事は、完全に私たちの失態だ。

 私たちは、もう後には引けないところまで来てしまったんだ」


 そう言って、ゆいゆいと共に、私たちに向かって土下座をした。


 それ見た私は。


「ま、待ってくれ!いきなりそんな事をされても、私たちには何も分からない!」


 急な謝罪に驚きを隠せず、頭を上げてくれと二人に頼む。

 するとカズマも。


「そうですよ。まだ俺たちは、何も知らないんです。

 まず先に、説明をしてくれませんか?」


 私と一緒に、二人に頭を上げるように言う。


「そ、そうですね。ごめんなさい。

 何も説明もしないで謝ってしまっては、驚かせるだけですね。

 ほらあなた、言いづらいでしょうけど、カズマさんに今回のことを説明してくださいね?」


「あ、ああ。分かった」


 ゆいゆいがそう言うと、ひょいざぶろーは少し言いづらそうにしながらも、ゆっくりと話し出した。


「そうだな、話すとしよう。

 ……あれは、我々の村に、とある貴族が訪れた日の事だったよ」


 貴族。

 その言葉に少しビクリとしたが、今は話を聞き続ける。


「その貴族は、結構な護衛を連れて村を訪れてね、沢山の買い物をしてくれたんだ」


 ほう、まだ特に悪い奴というわけではなさそうだが。

 ただ貴族が来ただけで、特にこの問題には関係していないのだろうか?


「そしてその貴族さんは、うちでも色々と買っていってくれたんだ」


 貴族が買い物に来たのなら、それはそれは儲かった事だろう。

 商人をしているのなら、それは嬉しいことのはずだ。


「だが、それが問題となってね。

 その貴族がうちから買っていった物の中には、『衝撃を与えると爆発するポーション』が混ざっていたんだ」


 ……………。


 衝撃を与えると、爆発するポーション?

 そんな物一体、どこで使うのだろうか?


「一応説明はしたんだが、それを屋敷に着いた時に誤って爆発させてしまったみたいでね。

 死亡者は出なかったが、屋敷は壊れ、ケガ人も出た。慰謝料を払って貰わなければ実力行使にでると言い出したんだ」


 全くもって、貴族という奴らは……。

 私も貴族ではあるが、ダクティネス家はそんな事に力を使ったりはしない。


 それに、この貴族はおそらくだが、わざとそのポーションを爆発させている。

 この村で、そのポーションを買ったという事実を作り、そのポーションのせいで自分たちの屋敷が壊れたと謳い、慰謝料をもぎ取ろうとしているのだろう。

 そして、それに応じなければ一般市民に手を出すとは……。


「ん?だがここは、紅魔の里だろう?

 たかが一つの貴族に実力行使に出られたくらいで、負けるとも思えないのだが…」


 そう。ここは、紅魔の里。

 全ての者が、生まれながらに高い知力と魔力を持ち、魔法使いの上級職、アークウィザードになる素質を持っているような場所。


「ええ、私たちも最初は、そんな貴族は迎え撃つつもりでいました。ですが……」


「「……ですが?」」


 ゆいゆいの言葉に、私とカズマの声が重なる。


「あの貴族たちは、私たちの村を訪れたときに、ここからある物を奪っていたのです」


 そう言い、ゆいゆいは話を続ける。


「それが、『魔術師殺し』なんです」


 魔術師殺し……?

 聞いた事はないが、名前からしてもうダメなヤツじゃ……。


「その『魔術師殺し』という道具は、その名の通り、魔法が効かない対魔法使い用兵器。

 我々紅魔族にとっての、天敵なんです」


 ……ああ、これで納得がいった。


 おそらくその貴族は、最初から彼らを脅す気は無かった。

 単に、優秀な魔道具などで有名なこの紅魔の里に、買い物に来ただけだったのだろう。

 しかし、この村でその『魔術師殺し』を見つけて、ひょいざぶろーから買ったポーションと共に、その計画を思いついたのだろう。

 でなければ、魔法使いのエキスパートばかりが揃っているこの紅魔の里に、そんな脅しは通用しない。

 そんな作戦をすぐに思いつく辺り、やはり落ちぶれた貴族はくずばかりだ。


 だが……。


「……だけど、なんでここからめぐみんの結婚と繋がるんだ?」


 カズマが、先ほどまで使っていた敬語は忘れ、怒りの感情を抑えられないような声で、私も思っていたことを、二人に問いただす。


 するとひょいざぶろーは、苦しそうな顔になって。


「それは……。

 その貴族が、もし金を払えないのであれば、一番優秀な紅魔族の娘を寄越せと……」


 バキッ‼︎


 そこまで聞いたカズマが、途端に机を叩いた。


 するとそこには、少しの間沈黙が流れ。


「悪い、ダクネス。

 ちょっと外でアクアとこめっこの面倒を見ててくれないか?」


 カズマは、今までに聞いたことがない程に低い声で、私にそう伝えた。


「し、しかし……!」


「お願いだ。もうここから先は、自分を抑えられるか分かんないんだよ」


 私も仲間なのだからと、そう伝えようとするも。

 そのカズマの声は、あまりにも辛そうで、悲しそうで、苦しそうで。

 そして、あまりにも大きな怒りが感じられて。

 そんなカズマに、言い返すことのできなかった私は。


「……分かった。だが、私もお前とめぐみんのパーティーメンバーだ。それだけは、忘れないで欲しい。

 それに、相手は貴族だ。もし私の力が必要になれば、遠慮なく頼って欲しい」


「ああ、もちろん。

 お前の事は認めてるし、いざという時は即効頼りに行くさ。

 あと……、ありがとな」


「礼は言うな……。

 ……よし、アクア、こめっこ!

 大人たちは今大事な話をしているから、二人とも、私と外で遊ぼう!」


 そう言って、私は未だに先程のカズマに怯えている二人の手を引きながら、めぐみんの家を出る。


 大丈夫だ。

 カズマならきっと、解決してくれる。

 あいつは、いつもは家でダラダラして、完全に人生を舐めきっていて、何かあると金にものを言わせるような、まさに私の好みのど真ん中を行くようなやつだ。

 しかしそれでいて、彼女思いで、たまに他の女にセクハラをしてその彼女に怒られたりはするが、本当に一途で、いざという時には、誰にも思いつかないような作戦を立ててみんなを救える、そんなやつだ。


 あいつなら、きっとあいつなら。

 今回の事も解決して、またみんなでダラダラしようと、ダルそうな目をしながら誘ってくれるはずだ。


 私は、あいつを、信じている。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 カズマ視点





 ダクネスが二人を連れ出してから、少しして。

 再び訪れた沈黙の中。


 俺は、考え事をしていた。


 どうしよう。

 さっきは、完全に感情に任せてダクネスにあんな事を言ってしまった。

 嫌われたりしてないだろか?

 パーティーを抜けるなどと言ったりはしないだろうか?

 後で、この問題が解決したらちゃんとダクネスに謝ろう。


 しかし、少し落ち着いて冷静になった今思えば、本当に、感情を抑えられるか分からなかったのも事実だ。

 ひょいざぶろーの話を聞いていて、一度大きな権力を持った奴は、本当に屑が多いなと、改めて思い知った。

 貴族がみんな、ダクネスのような市民の平和を願う奴らならばいいのに。


 しかし、そう思っていても今の状況が変わるわけではない。

 自分で中断しておいてなんだが、続きを聞かなければ。


「先程は取り乱してすいませんでした。

 自分で中断しておいてなんですが、続きを聞いてもいいですか?」


「ああ、いや。気にしないでくれ。

 私もあの貴族には、頭にきていたのだ。

 ……それで、続きなのだが。相手の貴族の要望が、『一番優秀な紅魔族の娘』と言う事だったから、めぐみんと君たちをアクセルから呼んだんだよ」


『一番優秀な紅魔族の娘』。

 ……ゆう…しゅう…?

 めぐみんの両親は、めぐみんが爆裂魔法しか使えない事を知らないのだろうか?

 知らないのだとしたら、まあ爆裂魔法を使えるほどの魔力量を持つ、めぐみんが一番優秀と考えるのだろう。

 それに、これはいつかめぐみんから聞いた話だが、紅魔の里にも日本と同じような学校があるらしく、めぐみんはその学校のテストではいつも一番だったらしい。

 それならば、期待されても当然なのかもしれない。


「まあ、そうですね。

 うちのめぐみんは、優秀ですから」


「ああ、その通り。うちのめぐみんは、優秀なんだよ。

 それで、めぐみんがアクセルから呼ばれたわけだが、時にカズマくん。君は、ここに来るまでに村の様子を見てきたかな?」


「はい、見てきましたけど……、やけに静かでしたね。

 それが、このことと何か関係があるんですか?」


「ああ、関係はある。

 先程も話したように、我々はその貴族に、『魔術師殺し』を奪われてしまった。

 その『魔術師殺し』がある相手には、我々紅魔族は手も足も出ない。

 そこで、その貴族がいつ襲って来るか分からないから、君たちを迎え入れる私たち以外は、今は別の場所に避難しているんだ」


 そうか。

 そう言うことだったのか。

 それならこの村のあんな状況にも、納得がいく。


「よほど大変な状況だったんですね」


「ああ、里のみんなも、動揺を隠せずにいたよ」


 それも無理はない。

 今までは魔王軍すら恐れる最強の魔法使い軍団だった紅魔族が、たった一つの兵器で手も足も出ない赤子同然の扱いをされるようになってしまうのだ。

 そんな相手からいつ襲われるか分からないなど、たまったもんじゃない。


「この問題を解決するには、やっぱり……」


「ああ。金を揃えるか、もしくは……めぐみんを、嫁に、出すしか……」


「お金は、揃わなかったんですか?」


「そうだ。里を見てきたならわかると思うが、この里は質素で、皆の持ち金を全て合わせても、今回の貴族の要求する金額には足りない。

 だから……、だから、めぐみんを……!」


 ひょいざぶろーは、だんだんと目を紅く光らせながら、悲痛な声で叫ぶ。


 苦しいのだろう。

 悔しいのだろう。

 当たり前だ。

 自分の娘が、そんな訳も分からない性格の捻じ曲がったやつに取られるのが、苦しくない訳がない。

 悔しくない訳がない。

 この人は、この人なりに頑張ったのだろう。

 自分の娘を、渡さないために。

 だが、できなかった。

 それ故の、この叫びなのだろう。


 と言うことは、めぐみんをその貴族に渡さずに解決するためには、誰かが金を準備するしかない。

 そんな考えに至った時に、俺はある悪魔のアドバイスを思い出していた。


『その問題を解決するためには、財布の紐をしっかりと結んでおくが吉!旅の道中、決してどこかの借金製造機の駄々に心を許し、寄り道して金を失わぬよう気をつけるのだな!フハハハハハ!』


 当時はこいつ、本当に真面目にやってるのかと一発入れてみたくなったが、こう言うことだったのか。


「すいません、ひょいざぶろーさん。

 その貴族から要求された金額、教えてもらっても良いですか?」


「ん、構わないが……。

 ……6億だ。6億と、2000万。合わせて6億2000万エリスだ。

 我々の村では、この量の金額を、準備することはできなかった……」


 おっと。

 これまた、見通す悪魔がそちらについているかのような値段ですね。


 今の俺たちの預金残高は、約6億2300万エリス。

 ベルディアとバニル、二人の魔王軍幹部の撃破による6億と、大物賞金首であるデストロイヤー撃破によって手に入れた4000万。

 そこから屋敷を手に入れた時に家具を買ったり、それぞれの装備を揃えたり、生活費に割いたりで、それなりに減って6億2300万。

 本当に、全部バニルの考策なんじゃないかと思ってしまうぐらい、ギリギリまで絞られる。


 300万かぁ。

 20代のサラリーマンの平均年収がそのくらいと聞いた気がするが、年頃の乙女(一応)が三人もいるパーティーだもんなぁ。

 一年と保たないんだろうなぁ。

 物分かりのいいめぐみんとダクネスはともかく、アクアには色々と言われそうだなぁ。

 少ししたら、またクエストざんまいの日々に逆戻りかぁ。

 また、いっぱい失敗すんだろうなぁ。


 ……でもまぁ、そんな生活も俺達らしくて良いか!


「……分かりました。

 では、そのお金は、俺が用意します」


「「えっ⁉︎」」


 俺のその言葉に、ひょいざぶろーとゆいゆいの言葉が重なる。


「お金は、俺が用意しますから。

 ですから二人は、安心してください」


「だ、だが…、6億2000万エリスだぞ?

 そんなお金、一体どこから……」


「お二人は、俺たちのパーティーの功績を、めぐみんの手紙で教えてもらったりしていないのですか?」


 俺が、そう二人に問いかけると、二人は顔を見合わせて。


「い、いえ…。途中まではそのような手紙はそれなりに届いていたのですが、娘がアクセルに着いたあたりからは、カズマさんとの惚気話しか手紙には書いていなくて……」


 えっ、ちょっ!めぐみんさん!

 あんた何してんの⁉︎

 せっかくカッコつけてたのに、なんか変な雰囲気になっちゃったんですけど!


 俺がそう思いながらめぐみんの方を見るてみると、俺たちとは反対側を向いて寝ているめぐみんの耳が、いつもより少し赤い気がした。

 ……おい、まさか起きてないだろうな?


「ま、まぁ。なら説明しますよ。

 ……まず俺たちは、あの大物賞金首、デストロイヤーを撃破しました。

 そして、そのデストロイヤーにとどめを刺したのが、御宅のめぐみんです」


「「えっ⁉︎」」


 この反応を見るに、おそらく本当に伝えていなかったのだろう。

 めぐみんは、そんな事も伝えずに俺のことを手紙に書いてたのか?

 そう思うと、なんか本当に恥ずかしくなってきた。


「次に、俺たちのパーティーは、魔王軍幹部も二人倒しています。

 まずベルディアですが、めぐみんは、そのベルディアの手下を一撃で全滅させた上に、ベルディアにしっかりとダメージを与え、うちのアークプリーストが、最後にとどめを刺しました」


「「ええっ⁉︎」」


 えっ。

 まさか、これも伝えてないの?


「そして最後に、バニル戦ですが。

 これは、めぐみんが一発で仕留めました」


「「えええっ⁉︎」」


 ……ちょっと待ってくれ。

 俺もビックリしたい。


 ほんとに、何やってんだよめぐみん!

 まあ俺も、もしこの世界に親がいるならずっとそんな手紙を送ってそうだけども!

 さすがに大事なところ伝えなすぎだろ!


「えっと……。

 というわけで、大物賞金首討伐と、魔王軍幹部2体の討伐したので、報酬で6億4000万エリス貰ってます」


「「ろっ⁉︎」」


「い、いや……。

 その後結構使って、今は6億2300万エリスになってますが……」


「そ、それでも!

 6億2000万は、用意できるのかね⁉︎」


 そう言いながら、ひょいざぶろーが俺の胸元にしがみついてくる。


「あ、あなた……。

 それでは、カズマさんの生活が……」


「……え?あ、ああ……。……そうだな。

 ……じゃ、じゃあ、せめて半分!3億だけでも、私たちに恵んではくれないだろうか⁉︎」


 ゆいゆいの言葉を聞いて、一度は落胆するものの、再び、縋るように俺の胸元を引っ張るひょいざぶろー。

 感情の抑揚が激しいのは今は許すから、せめて服から手を離してからにしてほしい。


「ま、待ってください!

 落ち着いてください!大丈夫ですよ!

 俺の生活なんて、心配しなくていいですから!俺が全額払いますから!」


「「えっ⁉︎」」


 俺の言葉に、二人はこちらを見て固まる。


 やがて、二人の目からは涙がこぼれ落ち、


「ほ、本当かね⁉︎

 全額払ってくれるのかね⁉︎」


「本当です、全部払いますよ」


 ひょいざぶろーは、未だ俺の胸元を掴んだまま叫び、


「で、ですが……。

 それでは、カズマさんの生活が…」


「大丈夫ですよ。めぐみんのためならそのぐらい、大したことないですって」


 ゆいゆいは、めぐみんとよく似たその顔に涙を溜めながらも、嬉しそうな顔でこちらを見る。


「な、なんでそこまで………。

 なんでうちのめぐみんのために、そこまでしてくれるのですか?」


 そんな事を、ゆいゆいが聞いてくる。


「それは勿論、めぐみんが好きだからですよ。

 今の俺に、めぐみんが隣にいない生活なんて、あり得ません。

 それこそ、どんなに使っても一生では使い切れないようなお金と、めぐみん。

 どちらかを選べって言われたら、俺は間違いなくめぐみんを選びます。

 例えどんなに世界中の美女を自由にできるとしても、そこにめぐみんがいないなら、俺にはそんな世界あり得ません。

 そう言い切れるぐらいに、俺はめぐみんが好きで、愛してるんですよ」


 それは、昨日の夜、この人たちの愛しの娘さんに伝えた言葉。

 その言葉を、その両親にも伝える。


 すると、二人は先ほどまで溜めていた涙を流しながら。


「良かった……!娘が選んだ男が君で、本当に良かった……!」


「ええ、ええ!本当に、本当に良かった!」


 そう言って、夫婦は涙を流しながら抱きしめ合っていた。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 俺が全てを解決した後、ダクネスとアクアがこめっこを連れて帰ってきた。


 問題を解決した事と、解決した方法を二人に伝えると、ダクネスはともかく、意外にもアクアも『それで良かったんじゃない?』と賛成してくれた。

 こいつも一応、女神なんだな。

 こいつの女神らしいところを見たのは、ベルディア戦以来な気がする。


 まあ、そんなことは置いといて。

 全ての問題が解決し、みんなが揃ったので、未だに寝ているめぐみん意外で、夕飯を食べることにした。

 なぜめぐみんを起こさないかというと、ゆいゆい曰く、『うちの食事は戦争です。戦争時に起きていない人は、そもそも参加することすら出来ません』だそうだ。

 ゆいゆいさんの体型もスレンダーだが、めぐみんの体が他の子と比べて少し貧相なのは、遺伝のせいだけではないのかもしれない。


 食事を終えた俺は、次に風呂を勧められた。

 昨日は野宿なので濡れタオルで体を拭いただけだったのでこれは嬉しい。

 元日本人な俺は、風呂はそれなりに好きなのだ。

 旅の疲れと汚れを落とすべく、いつもより少し長めに風呂に浸かる。


 暫くして、体があったまったので部屋に戻ると、ゆいゆいさん以外の全員が寝ていた。

 皆、旅で疲れていたのだろうか?


「あら、カズマさん。上がったのですか?

 どうやら皆さん、長旅でお疲れの様で、カズマさんがお風呂に入ってからすぐに寝てしまいましたよ」


「そうですか、すいません。

 うちのパーティーが迷惑かけて」


「いえいえ、今回はカズマさん達には本当に助けて頂きましたから。

 これくらい、なんて事ありませんよ。

 今回は本当に、ありがとうございました」


 そう言ってゆいゆいは、優しい笑顔のままこちらに向かって頭を下げる。


「あはは、そう言っていただければ嬉しいです」


「それにカズマさん。もう私の事は、実の母の様に扱ってもらっていいですからね?あれだけの事をしてくれた人にいつまでも敬語で話されるなんて、少し悲しいですから」


「そう……ですか。分かりました。

 じゃあ、おやすみ。義母かあさん」


「はい、おやすみなさい。

 ……あ、カズマさんは向こうの部屋で寝てくださいね。

 ここは、さすがにもう寝れませんから」


 そう言われて俺は、居間とは少し離れた別の部屋へと案内される。

 そして、その案内された部屋の真ん中に敷かれた布団には、めぐみんが寝ていた。

 振り向いてゆいゆいさんを見ると、


「うふふ、おやすみなさい」


 そう言って、扉をパタンと閉めて、


「『ロック』!」


 ……ん?


「うちは貧乏ですから、夜は物が盗られないように全てのドアと窓に鍵をかけているんです」


 そ、そうか…。

 窓と玄関さえかければ済むような気もするが、少し心配性なのだろうか?


 まあいい。

 今回の旅は、凄く疲れた。

 今日は俺も、夜更かしせずにすぐ寝てしまおう。

 そう思いながら、部屋を見渡す。


 ……あれっ?

 めぐみんが寝ている布団以外、俺が寝る場所がないんですが?


 いや、一緒に寝るのは今更だから別に良いのだが、まさかめぐみんの親から公認されるとは思ってもいなかった。

 今回の出来事で、俺は随分とめぐみんの両親に気に入られたようだ。


 そう思いながら、俺はめぐみんが寝ている布団に入り込む。


 本当に、今日と昨日はドタバタした二日間だった。

 一時はどうなることかと思ったが、何事も無く終えることができて本当に良かった。


 いや、何事も無かった訳ではない。

 確かに、金は無くなった。

 しかしそんな事、めぐみんがいなくなってしまうことに比べれば安いもの。

 ただ、出会ったばかりの頃に戻っただけだ。


 いや、それも少し違う。

 俺たちは、出会った頃よりも深く、お互いのことを知り、愛している。

 それだけで、十分じゃないか。


 金なんて、また貯めれば良い。

 別にクエストに行かなくても、俺には日本で培った異世界知識がある。

 それを使って、商売するのも良い。

 もしかしてこれも、あの悪魔の中では計算済みなのだそうか?

 なんでもできてしまいそうなあのチート悪魔だからこそ、こういう時に浮かんできて腹が立つ。


 ヤメだヤメ!

 とりあえず今日は、あんなに大きな問題を解決したのだ。

 その余韻に浸りながら、めぐみんの隣でゆっくりと寝ていよう。


 そう思いながら、目を閉じる。


 だんだんウトウト、ウトウトとしてきて、あと少しで眠る、そんな時。


「……カズマ、起きてますか?」


 そんな声が、俺の隣から聞こえてきた。


「ああ、起きてるよ」


 沈みかけていた精神を引き上げ、目を開きながら答える。

 すると目の前には、同じくこちらを向いて目を開くめぐみんがいて。


「どうした?」


「い、いえ……。あの……」


 めぐみんはモジモジしながら、照れくさそうにこちらを見つめて。


「……ん?ああ、もしかしてトイレか?」


「ち、違いますよっ!なんでそうなるんですかっ!

 ……えっと。そうじゃなくて、ですね…」


 だんだん、だんだんと目を紅く輝かせながらめぐみんは、


「……その、二人きりなのに、何もしてくれないんですか?」


「……な、何言ってんだよ。昨日の夜も言っただろ。俺は、そういう事をしたくなった時に言ってくれって。

 男の子はなあ、一回アレがああなると、結構辛いんだからな?」


 俺がそう言うと、めぐみんは俯きながら。


「何言ってるんですか。さっきはあんな事まで二人の前で言っていたくせに……」


 そんな事を……。


「……もしかして、起きてた?」


「はい、起きてました」


「……どのへんから起きてた?」


「カズマが、机を叩いた音で起きました」


 ああああああああああ⁉︎

 本当に⁉︎

 俺あの恥ずかしい言葉、全部本人に聞かれてたの⁉︎

 確かにあの手紙の時に少しは疑ったけれども、本当に起きてるとは思わないじゃん!


「ま、まあ……。

 盗み聞きした私も悪いと思うので、私の想いも伝えますから聞いてください」


「え?」


 そう言っためぐみんは、起き上がりながら話し始めた。


「私は、あなたと出会うまで、爆裂魔法しか愛してこなかった。それ以外の魔法を使えない、ポンコツ魔法使いだった。そんな私の人生を肯定して、パーティーに入れてくれた、あなたが好きです。

 それまで注ぎ込んできた私の爆裂魔法への努力を、意味のある努力であったと認識させてくれた、あなたが好きです」


 そんな昔のことを、まだ覚えていたのか。


「たまにエッチで、女性にスティールを使えば必ずパンツを奪ってしまう、そんなあなたが好きです。

 一緒にお風呂に入れば、ヘタレて直接体は見れない、あなたが好きです」


 ……あれ?

 ねえ、これバカにされてない?


「口を開けば暴言ばかりで、かと言って甘い言葉をかければ、他人から大丈夫かと心配される、あなたが好きです。

 気分が悪ければ、彼女にだって恥ずかしい事をさせる、かと言って気分が良ければ良いこともする。善人にも、悪人にもなりきれない、あなたが好きです」


 あ、はい。わかりました。

 これは完全に褒められてませんね。


「キスをすればすぐに顔が赤くなってしまう、そんな可愛いあなたが好きです。

 自分がどんなに酷い目にあっても、すぐに人に優しくできる、あなたが好きです」


 ……やっぱり、褒めてはくれてるのかな?


「誕生日には、街のみんなに頼み込んでまで祝ってくれる、あなたが好きです。

 そして、最後まで私を見捨てず、里まで救ってくれた、あなたが好きです」


 ………………。


「そんなあなたを、私は愛しています」


 そこまで聞いた俺は、気が付けばめぐみんを押し倒していた。

 こんなことを言われて何もしない奴は、男じゃないだろう。

 昨日の夜とは、全く逆の立場だ。


「めぐみん、本当に良いのか?」


「ええ、良いですよ。

 あなたの好きにしてください」


 その言葉を最後に俺は、めぐみんにキスをした。


 ま、まずはキスだよな?

 うん、あってるはずだ。


 で、でも、次はなんだ?

 服を脱がしても良いのか?


 クッソ、思い出せ!

 思い出すんだサトウカズマ!

 日本にいた頃何回も見た、あのAVを思い出せ!


「……はぁっ、はぁっ」


 唇から離れると、目の前に広がるのは頰が少し火照っためぐみんの顔。

 感情が昂ぶってるのか、目も紅く輝いている。


 何も言わずに、めぐみんの服に手を掛ける。

 するとめぐみんは、抵抗することなく力を抜いて俺に身を委ねてくれる。


 ピンクのパジャマに付いているボタンを、一つ一つ丁寧に外していく。

 全て外し終えたら、あとはゆっくりと服を脱がす。


 上半身の服を脱がし終わると、栄養が足りないせいなのか、もしくは遺伝なのか。

 同学年の子よりも少し慎ましい体と双丘が月明かりによって露わになる。

 めぐみんのその双丘は、多少小さくはあるものの、形が整っていて、童貞が興奮するには十分なものだった。


 俺はその慎ましい双丘の先に位置するピンク色のそれを、片方は舐め、もう片方は、指で転がすように撫でる。


「ふわぁ……、あぁっ……」


 すると、めぐみんの口からそんな声が漏れる。


 先程も言っていたが、俺と会うまでは爆裂魔法ばかりだっためぐみんだ。

 おそらくこういったことは初めてで、自慰すらもした事はないのだろう。

 体が、そういうことに慣れていないのだと思う。


 だから俺は、めぐみんのピンク色のそれを、優しく、優しく弄ってやるのだ。


 しばらくそれを続けていると、めぐみんの反応もだんだん変わってくる。


「んっ……、んんっ……!」


 そろそろ、慣れてきたのだろうか?

 顔が火照りだし、体の反応も最初より大きくなる。


 なら、次は……。


 次は?

 な、何すれば良いんだ?

 下か?もう下いっちゃっていいのか?

 ……くっそ、一か八かだ!


 そして俺は、めぐみんの下半身の衣類に手を掛ける。

 すると、最初は少し抵抗があったものの、途中からは力を抜き、足をゆっくりと伸ばしてくれた。


 おおっ!

 こ、これがっ⁉︎


 そこに広がるのは、まだ毛も生えてなければ、AVで見るものよりはまだロリロリしい女性器。


 指を使ってそれを開き、仕組みをよく観察する。

 めぐみんは恥ずかしいのか、自分の顔を手で覆い隠している。


 こ、ここに入るのか……?

 これは…、あまりにも狭すぎやしないか?


 挿れた時に痛そうだなと、胸が少しチクリとしたが、そうはならないようにと、まずは指で慣らす。

 最初は、一本だけ。

 左手でめぐみんの黒髪に手櫛をしながら、右手の中指でゆっくりほぐしていく。


「んっ……、んんっ……」


 痛いのか、それとも感じてくれているのか。

 めぐみんの口からは、小さな声が漏れる。

 俺の耳元で、艶やかな声が。


 それを少しの間続けていると、めぐみんのアソコから液が漏れ始める。

 それを確認した俺は、中指と薬指の二本に増やしてほぐす。


 そしてめぐみんと見ると、なんとも言えない表情をしながら俺を見つめてくる。

 それを見ていると、なんだか胸のあたりが暖かくなってくる。


 その暖かくなった胸に誘われるように、俺はめぐみんに触れ合うだけのキスをする。


 そしてそれを離すと同時にめぐみんが。


「カ、カズマ……。

 私の中で……何かが目覚めそうです…!」


 イキそうなのだろう。


「よしめぐみん、力を抜け。

 力を抜いて、その何かに身を委ねろ!」


 その言葉と同時に、俺は右手の指の動きを速くする。


「あ……、ああっ……!カズマ、来ます!

 私の中で、何かが目覚め……んんっ、んんんっ!んっ!」


 俺に抱き着きながら、初めての絶頂を迎えためぐみん。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」


 痙攣が止まってからも、俺に抱きつき続けている。

 しばらくこのままがいいのだろう。


 そのあとしばらく抱き合っていると、めぐみんの方から俺の背に回していた腕をどけた。

 そしてめぐみんは、俺の耳元で

『いいですよ…』

 と、全てを包み込んでくれるような笑顔で呟いた。


 お父さん、お母さん、俺、異世界で大人になります!


「……いくぞ?大丈夫か?」


 めぐみんを寝かせたまま、服を脱ぎ、俺はめぐみんの足の間に座って確認する。


「はい……、大丈夫です」


 その言葉を聞いた俺は、痛がらないのを確認しながら、ゆっくりとめぐみんの中に入っていった。


 それと同時に、ナニに感じる暖かさと圧力。

 今まで愛用して来た俺の右腕とは、段違いの気持ち良さ。


「くっ…………、動く……ぞ?」


「はい……、大丈夫っ……です」


 めぐみんがそう言ったので、試しに何回か腰を前後に動かして見る。


「んっ…、んっ…、んっ……!」


 すると、奥を突くたびに聞こえるめぐみんの声。


 やばい!

 その声とか、この圧だけでイキそうなんですが!


 でも流石にそれでは、覚悟を決めてくれためぐみんに対して申し訳なさすぎる。

 頑張って、せめてめぐみんがもう一度イクまでは我慢だ……!


 何回か腰を動かしても、めぐみんに痛そうな様子はなく、感じてくれているようなので、少し早めに動かす。


「んっ、んっ、んっ……はぁっ、カズマぁ」


「はぁっ、はぁっ、めぐ……みん……!」


 動けば動くほど、中は熱くなっていき、締め付ける強さは強くなってくる。


 これが…、セックス……!

 やばい、ナニが溶けそう!


 腰を振るたびにビリビリきて、めぐみんの声を聞くたびに、先っちょがムズムズする。


 やばい、本当にやばい!

 もう、もちそうにねぇ!


 それは、偶然にも俺に限界が近づいてきた時、あの女神様が俺に微笑んでくれたのか。


「カ、カズマ……。はぁっ、はぁっ。

 また、きそうです……!」


 そんな、天使の声が……!


「めぐみん…、イキそう?」


 俺がそう問いかけると、めぐみんは首を縦にコクコクと振る。


「俺も…、イッていい?」


 さらに続けてそう問いかけると、めぐみんはなおも首を縦に振り続ける。


「次は……、一緒にイキましょう……!」


 その言葉を聞いた俺は、遂に、めぐみんの中で果てた。


「うっ…、ううっ…ううっ!」

「んっ…、んんっ…んんっ!」


 先程と同じように抱き合って、次は二人で一緒に絶頂を迎えた。









 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る