走り屋以外のキャラメイク
加奈子:さて、これから説明することになるのは、主にキャンペーンシナリオで使うことになるルールです。
純:はて? キャンペーンシナリオってなんなんですか、先輩?
加奈子:キャンペーンシナリオというのは、いくつかのエピソード、つまり普通のシナリオを連続してプレイする長期間に渡るゲームのことよ。普通のシナリオが大体小説の一章分にあたるとしたら、キャンペーンシナリオは、その作品の一冊分か、ことによってはまるまる全部にあたるわね。
純:なーるほど。なんとなく理解。
加奈子:だから今回は、そんな長丁場のシナリオに必要となる、キャラクター関連のルールをメインに説明したいと思います。まず初めに説明するのは──
純:説明するのは──
加奈子:走り屋以外のキャラクターに関するメイキングルールです。
純:ええッ!? 何それッ!?
加奈子:何かおかしいかしら、純?
純:いやいやいや、全然おかしいですって。だってこのゲーム、「峠の走り屋TRPG」謳っちゃってるんですよッ! 走り屋以外のキャラクターなんて、いったいどこに出番があるんですかッ!?
加奈子:純、あなたの言ってることのほうが、わたしの言ってることより何倍もおかしいわよ。
純:???
加奈子:例えば、原作小説の早苗ちゃんを思い出してみて。
純:ああ、あの眞琴ちゃんの親友の、眼鏡でおさげの女子高生ね。
加奈子:あの
純:ハッ!
加奈子:そして、物語に絡んでこない登場人物かしら?
純:了解。そういうことね。わかりました!
加奈子:わかってくれて嬉しいわ。つまりキャンペーンシナリオのような長期間のプレイになると、いわゆる走り屋ではない登場人物たちも、それなりに重要な役割を持つ場合が出てくるっていうわけ。
純:馴染みのショップのメカニックさんとか、ガソリンスタンドの店長さんとか、要するにそんな感じのひとたちのことね。走り屋としてバトルはしないけど、ちゃんとストーリーには絡んでくる、みたいな。そういえば、市販の走り屋漫画なんかにも、そういった立場のキャラクターが何人もいるわね。
加奈子:そうそう。参加するプレイヤーが実際にその立場を選ぶかどうかはわからないけど、物語としては欠かせない役割のキャラクターたちよ。だからこそ、そういったキャラをきちんとプレイできるよう、ルールを定めておいたほうがいいと思うの。というわけで、これからそうしたキャラクターデータに関する作成ルールを説明しますのでお聞き下さい。
純:慎んで拝聴します。
加奈子:とはいっても、基本的には走り屋キャラクターと作成方法は同じです。システム的には、「一般人」のキャラクターがそれに当たります。先に述べたとおり、タイプが「一般人」で、かつ走り屋ランクが0未満になったキャラクターは、走り屋ランク③として扱います。走り屋ランクを持たないキャラクターたちは、バトルを行う際、通常のルールとは別に不利な修正を受けることになります。
純:それって、どういう修正ですか?
加奈子:まず、走り屋ランクを持たないキャラクターは、バトルの際、走り屋ランクが-3であるものとして扱われます。加えて、自分の出した
純:なるほどなるほど。
加奈子:あと、先にも言いましたけど、「一般人」のキャラクターは走りに絡んだバトルスタイルを修得することができません。愛車は決めても構いませんが、データとして使う場面は少ないでしょうね。GMと相談して、走りと無関係のクルマを選ぶのが、むしろ
1~3:一般技能・専門技能のいずれかを1レベル
4~5:一般技能・専門技能のいずれかを合計2レベル
6:一般技能・専門技能のいずれかを合計3レベル
通常のキャラメイクでは技能値の最大が3になりますけど、この場合に限り、技能値を最大4まで上げても構いません。
純:了解です。
加奈子:あと、走り屋キャラと走り屋じゃないキャラを折半したキャラクターを作成することもできます。「愛好家」のキャラクターがそれに当たります。
純:ということはバトルスタイルを持つことができるわけですね。
加奈子:ええそう。でもこうしたキャラクターは、走り屋じゃないキャラクターほどには技能値を獲得することができません。1D6して上昇させられる技能値の合計を決定します。
1~3:一般技能のいずれかを1レベル
4~5:一般技能のいずれかを合計2レベルまたは専門技能に1レベル+一般技能に1レベル
6:一般技能のいずれかを合計3レベルまたは専門技能に1レベル+一般技能に合計2レベル
純:わかりました。
加奈子:あと、走り屋らしからぬバトルスタイルがあってもいいとは思いますので、そのためのバトルスタイルを追加します。キャラクタータイプが「一般人」のキャラクターであっても、以下のバトルスタイルのどれかなら修得することができます。もちろん、「一般人」以外のキャラクターも、これらを修得してかまいません。
特殊なバトルスタイル
●サラブレッド
運動技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●ヤクシャ
威圧技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●ミネルヴァ
教養技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●オモイカネ
推理技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●ロビンフッド
交流技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●ヘスティア
家事技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●クシャトリヤ
腕力技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●クベーラ
商売技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●ケツァルコアトル
電脳技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●ヘパイストス
機械技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●マスカレイド
欺瞞技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●トゥルバドール
演出技能の判定の際、サイの目修正+2を得る。
●シックスセンス
なんらかの行為判定を行う際、まずひとつだけサイコロを振り、その出目を見た上で実際に行為判定を行うかどうかを決定することができる。
●カノープス
対象となるキャラクターが承認している場合に限り、他のキャラクターが行った行為判定を1度だけやり直しさせることができる。行為判定のやり直しは、やり直しの判定が実際に失敗するまで、1シナリオ中何度でも行うことができる。対象となる1シナリオがどこからどこまでを範囲とするかはGMの裁量による。
●サラディン
交流判定に+3の修正を得る。ただし対象となるキャラクターは、修得者から経済的利益を受けていなくてはならない。
●エキストラ
1シナリオに付き1回だけ、行為判定の実施時に「魅せ場」を宣言することができる。魅せ場が宣言された行為判定は、サイコロを余分に1個追加して振り、出目のいずれかを任意で選んで用いることができる。対象となる1シナリオがどこからどこまでを範囲とするかはGMの裁量による。
●フーリガン
身体値の絡む対抗判定を行う際、サイコロの目に+1の修正を受けることができる。
●カサノヴァ
異性に対する交流判定に+3の修正を得る。ただし対象となる異性は、修得者に好意的な印象を抱いていなくてはならない。
●グリーンホーン
自分以外のキャラクターが目前で成功させたものと同じ内容の行為判定を同一のシナリオ内で行う際、サイコロの目に+1の修正が付く。対象となる1シナリオがどこからどこまでを範囲とするかはGMの裁量による。
●ディレッタント
教養技能の判定の際、準備期間を宣言することで有利な修正を受ける可能性が出る。準備期間は日を単位とし、サイコロをひとつ振って宣言した日数以下の目が出た場合、その出目の分だけ実際の判定時にサイの目がプラスされる。準備期間が終了する前に判定が行われた場合や宣言した日数以下のサイの目が出なかった場合には、判定時のサイの目に修正は加えられない。
●プレデター
異性に対する容貌の評価が1ランク向上する。容貌評価が「最上級」のキャラクターは、この場合に限り、容貌評価が「傾国」(異性10000人中、9999人が恋愛対象と認める)となる。
●アテンダント
他者から具体的な指示を受けた行為判定を行う際、サイコロの目に+1の修正を受けることができる。
●コモン
行為判定で2D6を振る場合、2D6の代わりに1D6の半分(端数切り上げ)+5で判定を行う。
●オデュッセウス
バトルを行う際、自分以外のキャラクターに「助言を与える」ことができる。助言を与えられたキャラクターは、そのバトルが決着するまでの間、走り屋ランクが+1される。ただし、助言を受け取ることのできるキャラクターは、走り屋ランクが0以上でなくてはならない。
●クロノス
自分以外のキャラクターに「助言を与える」ことができる。助言を与えられたタイプ「対戦」「努力」のキャラクターは、成長判定(後述)を行う際に振るサイコロの目に、それぞれ+1の修正を受けることができる。
●バーバヤガー
自分自身がチューニングしたクルマで走る際、クルマの性能が+2される。
●ピグレット
財布を使った判定に+1の修正を受けることができる。
●マスコット
自分を恋愛対象として見ていない対象との交流判定に+3の修正を得ることができる。
●サジタリウス
ドラマチックポイント(後述)の蓄積が、6の目だけでなく5の目でも発生する。
加奈子:あと、「一般人」のキャラクターは、愛車を購入する際、「財布」の数字を-3まで減らすことができます。この修正によって振るサイコロの数が0以下となった場合、その数字+1個のサイコロを振り、出た目の合計をマイナスの数字とみなして判定を行います。
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