双子転生!~王位押し付け物語~
春花
プロローグ
何処までも続いているのかと思えてくる真っ白な部屋。
そこに2人の人間が現れる。
1人は20代半ばの男性、1人はまだ20歳にもなっていないだろう少女。
赤の他人で〝生前〟は何の繋がりもない二人だが、同じ日、同じ時刻に自殺という共通点があった。
突然の事で戸惑っている2人の前に現れたのは一人の老人と三つの椅子。
「お二人さん、座らんかの?」
驚きの余りフリーズしてしまった2人に優しい声を掛ける。
「ここ…どこ?」
最初に掠れた声を捻り出す事が出来たのは、女の子の方だった。
「これから説明しよう。立ち話もなんじゃから…の?」
拒む理由も無く、二人は座る。そんな二人の目の中には、もう全てどうでもいいと言わんばかりの絶望の色を滲ませていた。
「まずは自己紹介だな。ワシは創造神。名前は無いが、地球ではゼウスと呼ばれておった。二人共、人生の最期に聞いた言葉は覚えておるかの?」
「私はどこからか〝もったいない〟と聞こえてきました。」
「僕もです。」
「うむ。二人は、輪廻転生という言葉に聞き覚えはあるかの?2人も、亡くなって輪廻転生の輪に加わる予定だったのじゃが…余りにも絶望が強く出過ぎてそのままだと来世に悪影響を及ぼすのでな。ここに連れてきた。」
「…じゃあ、地獄ですか?自殺ですし。」
「いや、違うぞ?ここでカウンセリングを行ってから転生じゃ。」
「カウンセリング…?」
「あぁ。2人が楽になれるまで吐き出してもらって、来世に記憶を持ったまま転生。」
「なんで記憶を持ったままなのでしょう?」
「それは…こちらの都合になるが…二人が転生予定の肉体が双子で二人共肉体の〝潜在力〟が強い。普通の魂を入れると肉体か精神、どちらかが壊れてしまう。そこで、絶望はしても歪まなかった綺麗な魂…つまり2人の魂をカウンセリングの後、入れる。二人共、あそこまで辛い思いをしてきた。ステータスの補正、スキルも選ばせて持たせよう。」
「なんで…そこまでして僕達の魂を?」
「転生先の双子は…国王の子供じゃ。王位継承権第1位の第一王女と第2位の第二王子。側室の王子が王位継承権第3位。
ここで普通の魂を入れてしまって壊れると、流産の後に王妃は死ぬ。側妃は第一王子の出産の際に亡くなっておる。ショックを受けた国王、第一王子と続けて亡くなり、王家は全滅。だが、2人の魂を入れる事が出来ると、王家が全滅ENDが避けられる。
アトランテ王家には加護を与えておるのでな。なくなって欲しくない。
そろそろカウンセリングを始めようかの。二人共辛いと思うが…全部吐き出すと楽になる。」
そう言った老人の目は、2人に絶望を吐き出させる様な優しさがこもっていた。
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