ディザスターチルドレン

@rickhm

第一話 災厄の子

「教会の権威を守るためだ、仕方ない」

教会司祭ブリューナクは言った。

「ですが、あまりのご沙汰では?」

教会の守り手アイラはとても不満気で心配そうだった。


「吸血鬼、狼男、などの魔人は動物と同じ扱いでよい」

あってはいけない決断が民意によってなされたのだった。

民は喜び躍り狂う。


「俺の家だぞ、なにをするんだ」

魔人達の家が取り壊される。

「殺せ殺せ魔人を殺せ!」

広場に鳴り響いた号令はいつまでも続いた。


「どうしてぇ‥‥‥‥!」

一晩にしてナックスは、ストリートで生きることになってしまったのである。


ナックスこの時に、まだ10歳だった。


ストリートに降り注ぐ雨‥‥‥‥暴動による異常さは、子供ながらに刻まれたのだった。


「無理だ、魔界に行く」

いくつもの魔人が魔界に行き魔王の傘下へ下った。

しかしそれは、悪に堕ちることも意味していた。


「諦めたくない‥‥‥‥」

きっとその時彼が持っていた能力と言えば諦めない気持ちと狼男の能力だけだっだろう。


「お願いします、お慈悲を」

しかし魔人などには誰も施してくれない

ただ、旅人や傭兵だと話は別で施しがもらえる可能性が高いのだ。

ナックスはぬすみをするつもりはなかった。


その夜、月は満ち満ちていた。

満月を避けながらストリートで暮らすのは厳しいものがあった。

ついに悲劇は起きたのだった。

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