第7話 『小さな壷』
小さなギルドとなった晴人とロゼッタの2人。
双剣使いの萌宮一族のリーダーである快斗は先に一人で第10階層へと行ってしまった。
「私たちもそろそろ上に行きますか。」
そう言いながら第10階層を目指す小さなギルド。
後ろを振り返ると攻略会議に参加してしたハンター達が残っている。
彼らは怖気付いているのか、中々動こうとしない。
第10階層へと辿り着いた晴人とロゼッタは上を見上げていた。
「大きな扉だな。」
「ここが10階層のボスの扉よ。」
過去にロゼッタは10階層のボスを1人で倒したことがある経験者だ。
10階層のことはなんとなく把握している。
「開けるわよ。」
大きな扉を二人で開けた。
鉄板みたいな感じで少し重たい。
すると──。
霧が掛かり始めた。
大きな扉は勝手に締まり元へ戻れなくなってしまった。
中央に何かある──。
「なんだこれ?」
晴人はボス空間の中央へ進んだ。
そこには小さな壷が1つ置いてある。
不気味な壷だ。匂いはない。
色は水色で星のような形をした開口部。
中を覗こうとする晴人──。
「離れて!!!」
大声でロゼッタが言った。
すると壷の中から目のような赤い点が2つ光ったのだ。
“パリーーンッッッ…。”
突然、壷が割れて破片が晴人の頬を傷つけた。
切り傷ができ少し血が垂れた…。
「下がって!!!」
晴人は慌ててロゼッタの元へ戻り中央を見た。
そこには小さな壷が割れただけと思っていたが亀のようなモンスターがいる。
「もしかして…。あいつが10階層のボスモンスター!?」
晴人はボスモンスターを見て”弱そう”と思っている。
見た目は小さく、ボスモンスターとは思えないくらい弱そうに見える。
爪は鋭く尖っていて緑色の亀で名前は『ヒュドロス』という。
ロゼッタは弓を構え始めた。
後に引き続き晴人も古い大剣を構えた。
「来るわよ。」
するとヒュドロスは自身の鋭い爪を晴人に目掛けて飛ばしてきた。
“ヒュッン…。”
“カキーーーンッッッ…。”
ロゼッタは勢いよく飛んできた爪を自身の弓矢で矢を飛ばし当てた。
晴人はロゼッタの弓使いに感心していた。
「何、突っ立ってるの?来るわよ。」
次々と鋭い爪は2人に飛び交って来る。
晴人は自身の古い大剣でカバーし守っていた。
ロゼッタは矢を飛ばすのではなく振り回して爪を弾いていた。
「この爪、毒が塗られてるから気をつけてね…。」
「んで…。あいつをどうやって倒すんだ?」
「甲羅を割ってその後に中身にダメージを与える。」
ヒュドロスは甲羅がある為、直接的にダメージを与えることができない。
なので一度、甲羅を割ってその後にダメージを与えないと倒すことができない。
──弱点は、尻尾。
ロゼッタは作戦を思い付いた。
私がヒュドロスの攻撃を受けている間に晴人は背後に回って尻尾を切る。
怯んでいるすきに一斉攻撃して甲羅を割ってその後に集中攻撃。
「わかった。んじゃ頼んだぞ。」
晴人がワールドを走り回っている。
そう──。霧のおかげで身を隠すことができるのだ。
ヒュドロスの攻撃は、ロゼッタ1人に集中した。
すると背後から晴人がやってきて尻尾目掛けて走ってきた。
「喰らえーーー!!!」
“スパッ…。”
ヒュドロスの尻尾が切れ、2人は甲羅の集中攻撃をして中身の攻撃に成功。
見事、討伐に成功した。
「ふーう…これでビギナー卒業ね。」
「そうだな…。」
2人はヒュドロスを倒したことに達成感を味わいホッとしていた。
晴人はビギナーハンター卒業でステータスカードがアップグレードした。
色はホワイト。
ロゼッタと同じ色だ。
すると──
“バタッ…。”
「──えっどうしたの、大丈夫…。」
突然、晴人が倒れてしまった──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます